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星の町  作者: えもと
16/18

星の町 3

「せーの」


とタイミングを合わせて、同時に鍵盤をたたいた。


いつ以来だろうか。

ピアノなんて触るのは。

弾けるかどうか怪しかったが、意外とちゃんと弾けて驚いた。


『ちゃん、ちゃん』と最後のオチまでつけて、


「ちゃんと弾けるじゃん。上手だったよ」


北斗君はそう言ってくれた。


「ありがと」


「どう?楽しかった?」


「うん。一緒に弾くのって面白いんだね。すごく楽しかったよ。北斗君は?」


「おれも、楽しかった!」


笑顔で答える彼に、


「ありがとね」


私がもう一度、お礼を言うと、


「それは、さっき聞いたよ?」


小首をかしげて、そう言った。


「さっきのは、褒めてくれてありがとう」


「じゃあ、今のは?」


「優しくしてくれて、ありがとう。元気付けようとしてくれたんだよね。違う?」


私の言葉に、ちょっと考えてから、


「昨日、疲れちゃったって言ってたから・・・。ここでピアノ弾けば元気になるかなぁと思って。元気になった?」


そう言った北斗君を、私はぎゅっと抱きしめた。


「わっ!なになに?」


言いながら、私の腕の中でジタバタしている。


「いや、いい子だなぁと思って。あ、なんか弾いて欲しいなー」


私が言うと、


「じゃ、じゃあ、離してよ」


ちょっと照れた様に、抗議の声をあげた。


手を離して立ち上がると、


「どんなのが良い?」


と聞いてきた。


「北斗君が、好きな曲が良いな」


私の言葉に、少し考えてから、


「じゃあ、おれの一番好きな曲、弾くよ?」


そう言って、うなずくあたしを見てから、鍵盤に手を伸ばした。



曲は―――「きらきら星」だ。


北斗君の指が、リズムを刻む。



それを聞きながら、窓の外の青い空を眺めた。


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