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星の町  作者: えもと
10/18

夜空 1

自分で言うのも何だが、カレーの出来は結構良かった。


その証拠に、北斗君は「おいしい」と言いながら平らげてみせた。


「そう、良かった。おかわりは?」


そう聞く私に、頷きながらカレー皿を差し出した。

これは、食べるってことか。

笑顔でお皿を受け取り、おかわりをよそう。


「はい。いっぱい食べて、おっきくなるのよ」


言いながらおかわりを渡すと、「うん」と大きく頷いてみせた。


再びカレーを食べ始めた北斗君の横で、


「響子さんは料理が上手なんですねぇ。よくされるんですか?」


と、英理さんが聞いてきた。


そこまで感心したような声を出されると、いくらなんでもオーバーな気がする。

小学校の調理実習の方が、もっと高度な物を作っているはずだ。

私は苦笑しつつ、


「大袈裟ですよ。カレーなんて小学生でも作れますよ。でも、料理はしますね。一人暮らしな

もので、作らないと食べられませんからね」


そう答えた。


「そうだったんですか。でも、自分で作ってばかりいると、たまには人が作った物が食べたくなりませんか?」


「なりますねぇ。誰かの手料理が恋しくなりますよね」


「今日、久しぶりにキッチンに立たずにおいしい料理が食べられて、なんだか悪い気もするんですけど、嬉しくて。ありがとうございます」


彼はそう言って笑った。


「いえ、一宿一飯のお礼には届きませんけど、喜んでもらえたんなら良かったです」


私も笑顔でそう返すと、


「こないだ、学校で『ちんじゃおろーすー』習ったから、今度はおれが作る」


北斗君は元気良く、そう宣言した。


「ほんと?それは楽しみだわ」


「キッチンは壊さないようにね」


私の言葉に続けて、本気か冗談か、英理さんは朗らかに言った。

その言葉に、北斗君はちょっとバツの悪そうな顔を見せる。

前科があるのか・・・。


「大丈夫。次は上手くやるよ」


どこから来たものか、北斗君は自信満々に言う。


そんな風に、和やかに時間は過ぎていった。

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