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絵を描く人①  作者: むらさきクマ子
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病んでいた私

私が芸術を生きる糧としている人と結婚したのは、その芸術について理解していたからではありません


振り返ると、その頃の私は病んでいたのだと思います

男の子を二人抱え、急にやむお得ない理由で離婚した私は、何不自由ない温室からほっぽり出された状態でした

と言っても、お金がなくて困っていたわけでも、仕事の間、子どもたちの世話をしてくれる人が居なくて、子どもを放置していたわけでもありません

母が、しっかり子どもたちを預かってくれ、手に職のあった私は、子どもたちに不自由な思いをさせることなく十分な物を買い与える経済的余裕もありました


けれども、心が死んでいたのです

死んでいる心を、ネジで巻きまきして無理やり動かし、無心で仕事に行き、無心で食べて身体を維持していました

心が機能しないのは、自分を守る防衛反応だと思うので、時には必要なのだと思います

けれども、それがあまりに長い時間続いたとき、人は心の病に罹ってしまうのかもしれません


幸い、私は幼少時代、愛に包まれた恵まれた家庭で育ったので、何事にも自分で立ち直る能力をきちんと備えていました

なので、この時も、なんとか色々な発散先をみつけ、たくましく立ち直れたのです

それは、例えば、仕事先で離婚に至る様々な出来事を、例え話を踏まえながら同僚に話してみたり、友人とランチに行き、身の上話を聴いてもらったり、、、


通常の人間は、自分より不幸な立場にある人の話を聴くと、安心できるようで、不幸な境遇のときには、不幸であるたくさんの人がいくらでも話を聴いてくれました


それでも、それだけではまだ満たされず、ネットで知り合ったバツイチ男とコソコソ陰で付き合ったり、そのくだらない男と、自分の子どもをほっぽり出して、駆け落ちすることまで真剣に考えたり、、、


今では考えられないこともやらずにはいられなかったのです

そんな堂々巡りで誰にも言えないような恥ずかしい面を陰で持ちつつも、それがあってこそ、私は、表では、しっかりとした母親、外での仕事が気丈にこなせたのです



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