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サザンの嵐・シリーズ  作者: トト
「サザンの嵐篇」~時の道標(みちしるべ)~第三部
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~第一話~

 大国サザンは南方に位置する国――と言っても、その領土は広大で地域に因って気候は大きく異なる。

 故に、サザンの北方で国境を接する小国アル・サドマリクはその国土の三分の一が氷土に覆われた北の大地。

 だが、彼の国はその歴史も古く、王家は“北のアル・サドマリク、南のサザン”と並び称される名門だった。

 しかし、それ以上にこの国が(辺境の小国であるにも係わらず)周囲の国々から特別視され、サンダーに支配された強国サザンさえも手を出せずにいる所以は、その国土並びに王家創世に纏わる或る伝承の為であった。

 アル・サドマリクは唯一不可侵の国。


 ――彼の国には“守り神”が存在する――



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



  挿絵(By みてみん)



 俺は故郷の村を出て、まず北に向かった。

 スィーより遙か北方に位置するシュンガの港から船に乗り、キアヴェンナ大陸を目指す。

 ナルサースク公国随一の港町ティールでアル・サドマリク王の使者からの親書を受け取り(親書にはアル・サドマリクへ入国する為の手筈が記されている)隣国ルチオフェル、カルコファン――そして遂に俺たちは、アル・サドマリクと国境を接するアルマンディンに辿り着いた。


「アルマンディンから我が国に入国する場合、クドリアビー砦を通るのが通例となっております」


 親書と共に齎された地図を指差しながら、リンの御付きの爺が俺たちにアル・サドマリク入国の手筈を詳説する。


「しかし、サザンはロト王子殿下のアル・サドマリクへの入国を是が非でも阻止したいようで、此方の警備は厳重で突破するのは至難の業。事を荒立てれば、一気にサザンとの全面戦争に突入するという事態に発展しかねません」

「っ!」


 “全面戦争”という言葉を聞いて、俺たちに一瞬、緊張が走った。


「そこでアドラ・ジャウザ王は、アルマンディンのクリストバルから我が国のシドウィルへと通じる坑道を完成させられました。……と申しましても、これはかつて使用されていたものが落盤事故によりシドウィル側が通行不能となり長い間放置されていたものです。ロト王子殿下の生存が明らかとなってから、王は来たるべき日の為にアルマンディン(アルマンディンは既にサザンの属国)には悟られないように密かに坑道の改修を行われたのです」

「…………」


 俺の生存が明らかになってから? 

 そんな以前から、この計画は進行していたのか!?


 俺はアドラ・ジャウザ王の用意周到さに思わず舌を巻いた。


「我々はこの(のち)、方々とはお別れし、予めこの国に待機させていた配下と"ロト王子殿下御一行はクドリアビー砦に向かわれた"という流言飛語を流し、方々に扮した影武者を実際に砦に向かわせる手筈になっております。その間に方々は、密かにこの坑道を使ってアル・サドマリクに入国なさって下さいませ。シドウィルには王御自らが『お出迎えに馳せ参じる!』と仰っておられました」

「アドラ・ジャウザ王が、御自ら!?」


 驚く俺たちに


「勿論です! 我が王にとってグロディア様は最愛の姉君様。そして何より王は、ロト王子殿下、貴方様に一日も早くお会いしたいと……」

「俺にっ!?」

「はい。我が王は、誰よりも敬愛し慕っておられた亡きレグルス・ナスル陛下の御子であらせられる貴方様の成長あそばされたお姿をご覧になられるのを、それはそれは楽しみにされておいででございます」

「…………」


 爺の"その言葉"は俺の心に重く圧し掛かる。


 そう――アル・サドマリクに入るという事は、そういう事なのだ!

 俺はただ、母グロディアの故郷に、そして“叔父上”に会いに行く訳ではない。

 亡きレグルス・ナスルの御子、次代のサザン王としてアル・サドマリク王と渡り合わねばならない。

 当然、周囲は俺をそういう目で見るだろう。

 それだけの覚悟が今の俺にあるのか?


 だが、もう後戻りは出来なかった。



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



「それでは名残惜しいですけれど……此処でお別れですわ、グロディア伯母様」


 アドラ・ジャウザ王の配下と合流した後、リンは深々と母グロディアに頭を下げてそう言った。


 そして矢庭に俺の方に向き直ると、母に聞こえぬように小声で


「伯母様を頼みましたわよ、ロト王子。必ず王宮まで無事にお連れ下さいませね」

「分かってるよ、そんな事!」



    挿絵(By みてみん)



 こうして俺たちはリンと別れ、シドウィル・クリストバル坑道へと歩を進めた。


 順当に行けば、俺たちの方がクドリアビー砦に向かうリン一行よりアル・サドマリクへの入国は早い。

 だからリンはシドウィルではなく、王宮で俺たちを待っていると言ったのだ(クドリアビーからは王宮の方が近いらしい)


 手筈通りに進めば、アル・サドマリクへの入国はそう難しい事ではないと思われた。

 だが……その考えがあまりにも楽観的過ぎた事を、俺たちは直ぐに思い知らされる事になる。


 そして、もうこれ以上、誰も傷つけたくないという俺の想いが最悪の事態を引き起こす事になろうとは、この時の俺には、想像する事さえ出来なかった。

 ロトたちの旅の道筋を言葉だけで説明するより分かり易いかな……と思って描いた地図ですが、雑で申し訳ありません。

 勿論、他にも国はありますが、ロトたちが通った国しか記載してないですし……。

 かなり適当に描いたので、こんなもんかなあ~と温かく参考程度に見てやって下さいませ。

 カラーだったらもう少し分かり易いと思うんですが、見難くて本当に申し訳ありません。

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