~第十一話~
「ロト王子、何時までそんな事を続けるつもりですか? 護るだけでは決して勝てませんよ!」
「防御壁を突き抜ける? そんな、馬鹿な!?」
防御壁が破られた訳ではない。
だが、俺の身体には至る処に小さな切り傷が出来ていた。
それはまるで、無数の“光の針”が身体を掠めて行ったようだった。
「これは、私の結界。異空間を統べる能力を攻撃に特化したもの! 防御壁に触れる直前に異空間に入り、防御壁を抜けた瞬間、再び現空間に出現する。貴方の今の力ではこの攻撃を防ぐ事は不可能です」
「そんなっ!」
――ロト王子、どれだけ凄まじい潜在能力を持とうとも、それを使いこなせなければ生き残る事は出来ません。
相手の能力を見極め、それに対抗し得るには、それ相応の力を持った相手との実戦経験が必要不可欠なのです――
「これで分かったでしょう? 護るだけでは相手に勝つ事は出来ない。さあロト王子、反撃なさいませ!」
――防御壁を解除した?
何と無謀な! 否、潔いと言うべきか?
それにしても確かに素晴らしい身体能力。この私の攻撃を尽くかわすとは!
しかし――
《リマリオさんには何か考えがあるんだ。……でなければ、彼女が本気なら、俺たちはもうとっくに殺られてる!》
リマリオに気づかれないように思念波で呼びかけたセレナに、俺も思念波でそう答えた。
「そろそろ避けるのも限界でしょう?」
リマリオの言葉通り、俺の体力はとっくに限界が来ていた。
それでも……。
「攻撃はしない! 俺はあんたを傷つけたくないんだ!」
避けきれない光の針で俺の全身は傷だらけになっていた。
――貴方がリマリオを傷つけたくないのは分かる!
私だって同じ気持ちよ。でも、私はリマリオより貴方が心配なの。
もうこれ以上、貴方が傷つくのを見たくない!――
「見かけによらず強情な方ですね。ご自分が傷つくのは厭わないという事ですか? それならば、仕方がない」
そう言うと、リマリオは徐にセレナの方に向き直った。
「まさかっ!?」
次の瞬間!
無数の“光の針”がセレナ目掛けて放たれた。
防御壁は役に立たない! この距離では庇う事も出来ない!!
「セレナ――――っ!!」
俺はセレナに駆け寄りながら光の針目掛けて力を発動させた。
二つの力がぶつかり合って相殺される。
「やめてくれ、リマリオさん!」
セレナを背後に庇いながらそう叫んだ。
だが、彼女の攻撃は益々激しさを増す。
このままでは殺られる! セレナを護れない! 何とかしなければ……。
そう思った。
大丈夫だ。力は制御出来ている。
リマリオさんの注意を一瞬逸らせられれば、それでいい。
今の俺ならその間にリマリオさんの結界を破れるかもしれない。
俺はリマリオに向かって初めて力を発動させた。
この程度の力なら、避ける事も防御する事も彼女になら容易い筈……。
けれど――
「リマリオさん……っ!?」
彼女はまるで、それを待っていたかのようだった――




