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サザンの嵐・シリーズ  作者: トト
「サザンの嵐篇」~時の道標(みちしるべ)~第一部
30/236

~第一話~

 「時の道標(みちしるべ)」は主人公ロトの回想、ロト視点です。

 ここからはSFというより、ファンタジー色が強くなります。


      挿絵(By みてみん)



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



 俺は“スィー”と呼ばれる小国の山間(やまあい)にある小さな村で育った。


 村の人々は皆、気さくで親切で、赤ん坊だった俺を連れてこの村に流れて来た祖父を家族同然に迎え入れてくれた。

 俺が産まれて直ぐに亡くなったという両親(俺は祖父からそう聞かされていた)とはどんな人たちだったのか?

 もし父と母が生きていてくれたなら……そういう想いが少しもなかったと言えば嘘になる。


 母譲りだという俺の青銀の髪とエメラルド・グリーンの瞳は村では確かに異質で、他国の匂いを隠す事は出来なかったが、隣に住む幼馴染のミーナとその両親を筆頭に、分け隔てのない村人たちの純朴な愛に包まれて、俺は“余所者”だという引け目も、両親の居ない淋しさも感じる事なく日々を穏やかに過ごしていた。


 村の外れに住んでいる“占い師のお婆”の昔語りを聞くのも楽しみの一つだった。


 “お婆”と村人たちが呼んでいたから、俺もそう呼ぶ事に違和感はなかったが、今思うと彼女の本当の歳は分からない。

 本当はもっと若い人なのかもしれない。

 全身黒装束で顔も見えなかったし手にも手袋をしていて、彼女の肌を見た事は一度もなかった。


 声は低音のハスキーボイスで、静かに淡々と語るその口調が遠い潮騒の調べのように心に染み入る――そんな不思議な魅力を持っていた。


 占いを生業としている彼女は"お婆の占いはよく当たる"と評判だったが、仕事の時は邪魔をしちゃいけないという遠慮もあって、俺は彼女が誰かを占っているところに居合わせた事はなかった。


 勿論、俺自身の事を占ってもらった事もなかったが、ただ一度、俺が13歳の誕生日の前日に彼女の家を訪ねた時、彼女は俺にこう言った。


「明日はお前の13歳の誕生日だね。祝いの代わりにお前の未来を占ってあげよう。ロト、お前はこれから旅に出る事になるよ。長い、長い旅だ」


 その頃、世界は“サザン”という大国の脅威に曝されていた。

 スィーが平和だったのは、サザンから遠く離れていた為。

 若しくは、こんな辺境の小国はサザンの眼中にはなかったのか?


 どちらにしても、そんな世界の情勢など知る由もなく育った俺の運命は、13歳の誕生日を境に激変する事になる。

 そして、その“占い師のお婆”の言葉通り、俺は旅に出る事になるのだが、彼女の言葉の真の意味を俺が理解するのは、それからずっと後になってからの事だった。

 もう、お気づきの読者様もいらっしゃると思いますが、「時の道標(みちしるべ)」は、“エターナル・サザン”という異名を持つ惑星GHI-EK4に存在した文明――今はもう失われてしまった文明が、かつて栄えていた頃の物語です。

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