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サザンの嵐・シリーズ  作者: トト
「SILVER・WOLF篇」~指令№Z.30432~
3/236

~第三話~

 惑星ロウヴは、人口一千万人足らず。

 人口()のほとんどが農業に従事している、所謂“農業惑星”だった。

 長閑な田園風景が果てしなく続く惑星(ほし)――


 ノアールはソールからの情報を基に“SILVER・WOLF”を見たという人物を訪ねた。

 惑星リースを発つ前に面談の約束(アポイントメント)は取っていたが、その人物は何時まで経っても約束の場所に現れない。

 再度連絡を取ろうと試みたが、無駄足だった。


 ノアールがロウヴに到着する前に、その人物の消息は既に途絶えていたのだ。


 やはり何者かが“SILVER・WOLF”の情報を意図的に抹消しているとしか思えない。

 それとも“SILVER・WOLF”と銀河連邦の接触を阻止したいのか? 


(俺の動きはその何者か――個人か、或いは組織か?――にリークされていると考えた方が無難だろうな)


 そう思った瞬間――


(まさか……っ!?)


 嫌な予感が脳裏を過ぎる。


「ソール! 聞こえるか、ソールっ!?」


 ノアールは腕時計に内蔵されている通信機を作動させた。


「…………」


 繋がってはいるようだが応答はない。


「返事をしろ、ソール!?」


 数瞬の後……


「……何だ? 騒々しい。怒鳴らなくても聞こえてるよ」


 何時もと変わらぬソールの声が聞こえた。


(取り越し苦労だった、か?)


「いや、変わった事はないか……と思ってな」

「変わった事? 別に何もな、い……ああっ! 足許で見知らぬ男が二人ほどお寝んねしてるくらいだぜ」

「っ!?」


 ソールの返事を聞いて、思わずノアールは絶句する。


(そんな事を、事もなげに言うな!)


「やっぱり襲われたのか!? 大丈夫か、怪我はっ!? 済まない、俺の所為だ! 俺が……」


(迂闊だった。まさかソールを巻き込む事になろうとはっ!)


「な~に、気にするな。俺も仕事柄こんな事は日常茶飯事だ。それより、お前の方こそ気をつけろよ。俺を襲った奴ら、身許を証明するものは何も持ってなかったが、こいつら多分……SDAだぞ!」



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



 SDA――それは"SPACE=DUKE=ARMY"と呼ばれる謎の組織の略称。

 “D”はSDA総帥のファースト・ネームだという話もあるが、真偽の程は分からない。


 何時、結成された組織なのか?

 総帥とは何者なのか?

 本拠地は何処にあるのか?

 そして、その目的は――?


 それすらも定かではない。しかし連邦に匹敵する勢力を誇る一大組織。

 連邦内部に――否、上層部にもさえSDAのメンバーが紛れて居るという噂まであった。


 ソールが狙われたのなら、自分が狙われるのは必定。


 ノアールは殊更に居住区を避けて行動していた。

 相手を誘き出すには自らが囮になるのが一番だ。



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



「連邦の情報部にもこんなイイ男が居たんだね~。厳ついオッサンばかりかと思ってたよ」


 その声がする直前から、腕時計の警告音(アラーム)が鳴り響いていた。


「ESP反応……SDAの超能力者(エスパー)か!?」


 相手は三人――

 赤い髪の女エスパーだった。


 ノアールは勿論、対エスパー戦の訓練を受けているし、それなりの装備も携帯している。


 “ESPジャマー”――それはある一定レベルのESPを無効化出来る装置。


 ESPが使えなければエスパーと言ってもただの人間。

 銃撃戦や格闘において、余程の相手(エキスパート)でもない限り、ノアールが遅れを取るとは考えられない。

 しかし……


 ジャマーは確かに作動していた。……が、それは何の効力も発揮しなかった。


(どういう事だ? このジャマーはAランクのESPを無効化出来る筈だぞ!) 


 ――まさかっ!?――


 ノアールは敵のESPを躱しながら障壁(シールド)を張った。

 けれど、まるで三位一体のような息の合った凄まじいESP攻撃に、シールドを維持するエネルギーが著しく消耗する。


 シールドが消滅すれば命はない。


「殺られるっ!」


 ノアールはその瞬間、死を覚悟した。

 だが……



    挿絵(By みてみん)


 ノアールは対ESP用の装備を全て身につけてます。

 ジャマーはベルト、シールドは腕時計(通信、探知機能も付加)に内蔵されてます。

 ご大層なお荷物を持って自由には動けませんしね。

 これらは小型で高性能ですが、小型であるが故に長時間使えないという欠点もありますけどね。


 因みにノアールが普段(任務によって臨機応変に変更しますが)所持している銃は“麻酔銃(パラライザー)”です。

 これは相手を麻痺させて傷つけずに確保する為ですが……勿論、出力を上げれば殺傷能力は充分にありますよ。

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