~プロローグ~
「ノアール、“SILVER・WOLF”ってどんな奴だ?」
「はぁあ? お前一体、何を?」
「いや、お前の任務に口を出すつもりはないんだ。伝説のエスパー“SILVER・WOLF”が実際に居るとしたらどんな感じなのかなあ~と思ってな。単なる好奇心で聞いてみただけだ」
「…………」
そう言いながら、ソールもノアールから答えが返って来ると期待していた訳ではなかった。
久しぶりにソールを訪ねてきたノアールだったが、深刻そうな顔で椅子に座り込んだまま一言も喋らない。
ソールが話しかけても上の空で、何時間もこの調子では流石にソールの方が参ってしまった。
(今度は一体何があったんだ? さっきから苦虫をすり潰したような顔しやがって。俺が話しかけても無反応だったのに“SILVER・WOLF”って言葉には反応するんだな。……ってぇ事は、任務で何かあったって事なんだろうが)
ソールがあれやこれやと思案していると……
「そうだな。一面銀世界の森を抜けた先に忽然と広がる深く静かなエメラルド・グリーンの湖。どんな極寒の中でも凍てつく事なく満々と水を湛えた“悠久の湖”だ」
「はぁあ~っ!?」
「だから、 “SILVER・WOLF”の外見の印象だ! 聞いたのはお前だろ?」
「あ、ああ。それはそうだが……」
予想外のノアールの言葉に、一瞬ソールは面食らった。
「存在で言えば、"水面に映った月"だな。確かに其処に在るのに、決して触れられないんだ」
「いやいや、褒めてるんだぜ。……イイ傾向だ」
(この男にこんな言葉を吐かせるとはな。俺も会ってみたいものだな、伝説のエスパー“SILVER・WOLF”に)
「なあ、ソール。お前は“Reincarnation”を信じられるか?」
「Reincarnation? “輪廻転生”の事か?」
「ああ」
「さあ、な。知識としては知ってるが、それ以上の事を考えた事はないな。俺は仏教徒じゃねぇし……。前世がどうとか、俺は今が良ければそれでいい。まあ、刹那主義と言うか、退廃人間の典型だな」
ソールは自虐気味にそう言った。
「それが、“SILVER・WOLF”と何か関係があるのか?」
「いや、そういう訳じゃないんだが……」
ノアールは言葉を濁した。
サンダー長官から手渡されたメモリーチップ。
その中に記されていた内容から推測される“SILVER・WOLF”の過去。
それは俄かには信じ難い“もの”だった。
↑この二人の会話はエピローグに続きます。
次回からは過去の話に遡ります(ロトの回想です)




