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サザンの嵐・シリーズ  作者: トト
「SILVER・WOLF篇」番外~邂逅~
28/236

~エピローグ~

「ありがとうな、ロト」

「いや、そう思うなら無謀な事はするなよ。自分の“力”が一番だ……なんて自惚れない事だ」

「相変わらず手厳しいなあ~“SILVER・WOLF”様は。だが、最強の接触テレパス殿は既に故人だろう? 俺に敵う奴なんかこの世にゃ居な……あっ! いや、上には上が居るんだったな」


 ロトの冷たい視線を感じて男は思わず自らの言葉を取り消した。


 ロトは溜息をつきながら……


「ああ。銀河は広いからな、自重しろよ」

「へいへい、肝に銘じます。じゃあ、行くとするか」


 男は待合室の椅子に置いてあった荷物を肩に担いだ。


 男の乗る船の出港時間が近づいている。

 ロトは男を見送る為に共に宇宙港に来ていた。

 男は故郷の惑星(ほし)に帰って家業を継ぐのだという。


「今まで家族に心配をかけたからな。これからは真っ当に生きて恩返しをしようと思う」


 男はそう語った。


「なあ、ロト」

「……?」

「あそこはあんたにとって“大切な場所”だったんだろう? その……俺なんかを連れて行って良かったのか?」


 男は珍しく殊勝な態度でそう言った。


「そんな事を気にしてたのか? ……らしくないな。別に、俺がマールに会いたいと思った時に、偶々お前が俺の傍にまとわりついてたからな。……序でだ。"俺より上が居るんなら会わせろ"ってしつこいし」

「おいおい! ひでぇなぁ、そりゃあ~。俺は序でかよ!」


「充分だろ? それにこう見えても、俺はお前をそれなりに信頼してるんだぞ。お前は俺の知ってる奴によく似てるしな」

「あんたの知り合いに、俺が?」

「ああ、よく似てる。そいつはお前みたいな髭面じゃないけどな。右目を傷めてて、何時も眼帯をしてたし。でも性格とか、持ってる雰囲気がそっくりなんだ」


 お人よしで、涙もろくて。

 でも、いけない事はいけないと、きちんと俺を叱ってくれた。


「そうか。そりゃあ~嬉しいなあ。“SILVER・WOLF”様が俺を信頼して下さってたとは!」

「いいから、もう行け! 乗り遅れるぞ」

「へいへい」


 照れくさそうなロトとは対照的に男は満面の笑みで歩き始めた。


 だが暫く進むと矢庭に振り返って


「ロト――っ! 俺の名前はディオス! ディオス・クロイだ、忘れるなよ――っ!」


 そう言えば、一度も名を呼ばなかったな。

 周りの奴らがそう呼んでいたから、知ってはいたが……。


「ああ。気をつけて、元気でな」


 呼んでやれば良かったかな、最後くらいは。

 でも大丈夫だ、ディオス。

 忘れないから。


 ――俺はお前の名を。お前自身を、永遠に忘れない!――



 そうしてロトは、満足気なディオスの後ろ姿を見送った。



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



「騒がしい奴だったな。でも久しぶりにお前と一緒に居るような気がして楽しかったよ、フリー」


 ロトは宇宙港の窓から宇宙(そら)を見上げながら、“フリー”という名の人物にそう語りかけた。



    挿絵(By みてみん)



 一緒に笑って泣いて、そして俺を護る為に逝った――俺の側近。


 この遥かなる時の彼方に眠る、お前もまた大切な俺の道標(みちしるべ)


                     

                        番外篇~邂逅~ 完


 ディオス・クロイは番外編「邂逅」への導入の為にのみ作ったキャラだったので、実は学生時代に描いた漫画にはタイトルに至るまでの三ページしか登場しません。

 ですから、勿論名前もありませんでした。

 今回連載するに当たって、漫画では三ページだった部分をより詳しく書いてプロローグに。

 そして、このエピローグを付け加える事によって、名無しの男に“ディオス・クロイ”という名を与えました。


 やっぱり少ししか登場しないキャラでも、そのキャラの人生を考えてしまうので年月が経つにつれて思い入れが深くなっちゃうんですよね。

 ディオスは「サザンの嵐篇」に登場するロトの側近フリーと似ているという設定ですしね。

 フリーについてはネタばれになるので詳しく書けませんが、容貌はプロローグの挿絵でディオスの横顔を描いているので、ディオスから顎鬚を取って右目に眼帯をしている男を想像してやって下さいませ。

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