表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サザンの嵐・シリーズ  作者: トト
「SILVER・WOLF篇」番外~邂逅~
22/236

~プロローグ~

          挿絵(By みてみん)


「お~い、ロト! 何処まで行くんだ~? 俺はもうへとへとだ。それに此処は“特区”だろう? こんな処に勝手に入って大丈夫なのか?」

「用が済めば出て行く。お前が会いたいって言うから連れて来てやったんだぞ。文句を言うな」

「それはそうだが、ほんとにこんな処に居るのか?」

「ああ、この先だ」


 そう言って、ロトは森の向こうを指差した。


「納得したら、約束だぞ。もう俺に付き纏うな」

「綺麗な顔して、相変わらず冷たいなあ~“SILVER・WOLF”様は。はいはい、分かってるって。俺は約束は守る男だ」


 男は本気とも冗談ともつかぬ口調でそう答えた。


「…………」


(一見いい加減そうに見える男だが、こいつは約束を違える様な事はしない)


 短い付き合いだが、ロトはそう確信していた。



 男はロトのよく見知った男に、その風貌も持っている雰囲気も、そして口調までもが酷似していた。

 だからこそ“此処”に連れて来る気になったのだ。


 ロトと共に居る男は40代前半。

 顎鬚が印象的な、がっちりした体格の男だった。


 特区(特別指定区域)――それは立ち入り禁止区域という訳ではない。

 しかし、この場所は特区に指定された広大な土地全体がバリケードで囲まれている為、ロトは男を連れて特区の中に瞬間移動(テレポート)した。


(どう考えてもヤバいよなあ~。こんな何もない場所が特区になってるのも変だと思ったが、周りをバリケードで囲んでるって……此処の何処かに、特区に指定した輩が秘密にしたい“何か”があるって事なんじゃないのか?)


 男があれやこれやと考えていると


「もう直ぐだぞ」


 と言って、ロトは歩を緩めた。

 

 前方に(森を抜けた先に)何かの建造物が見える。


 近づいてみると、それは何十年(ひょっとすると何百年?)も放置されたままの荒れ果てた屋敷だった。

 建物の一部がまるで爆破されたように崩れている。


「此処は?」

「パステブロー家の別荘跡だ」

「パステブロー家?」

「ああ。“北欧貴族の流れを組む名門”なんだそうだ」


 前を歩くロトの表情は男には見えなかったが、その声には何処か自虐的な響きが含まれていた。


「おいおい……勝手に入っていいのか?」


 男の戸惑いを他所に、ロトは建物の中へと入って行く。

 そして、まるで見知った場所であるかのように(多分知っているのだろうが)一直線にある部屋を目指した。


「これは、あんたの肖像画なのか?」


 目的の部屋に入って、正面の壁に立て掛けられていた一枚の肖像画を見た途端、男はロトにそう訊ねた。

 ロトは首を横に振る。


「じゃあ……兄弟か何か、か? 確かに髪と瞳の色が違うな。否しかし……かなり古い肖像画だぞ、これは」


 男の疑問に


「これは、マール……」



    挿絵(By みてみん)



(こんな顔も出来るのか)


 男はそう思った。


(何時も無表情で、ほとんど感情を表に出さない“SILVER・WOLF”にこんな顔をさせるとは……)


 男は肖像画の人物に少なからず嫉妬(ジェラシー)を覚えた。



 ∗∗∗



 俺とロトが出会った時、俺はロトが伝説のエスパー“SILVER・WOLF”だとは知らなかった。


 “接触テレパス”としての力を右に出る者はいないと自負していた俺は、ロトの心を読もうと躍起になった。

 ……が、遂にそれは出来なかった。


 ロトは言った。


「その程度で自惚れてたら何時か痛い目に遭う。上には上が居るんだ。昔、そうとは意識しなくても俺の心が手に取るように分かる人が居た」


 それが“彼”だった――


 「邂逅」は“番外”と銘打っていますが「SILVER・WOLF篇」の原点ともいうべきエピソードです。

 時系列で言うと「SILVER・WOLF篇」の一番最初の話ですね。

 ノアールと出逢う、ずっと以前のエピソードという事になります。

 このプロローグも勿論ノアールとの出逢いより前の話になりますが、次回の第一話からは過去(約200年前)の話に遡ります。

 因みにこの特区のある場所は“地球”ですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ