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サザンの嵐・シリーズ  作者: トト
「SILVER・WOLF篇」~風のオルフィー~
20/236

~最終話~

      挿絵(By みてみん)



「だが、全てはこれからだ。その前に、もう一度だけ確認しておく。君はこれでいいのか? 本当に後悔はしないかね?」

「…………」


 一瞬の間。

 通信相手の躊躇いが否応なしに伝わって来る。


「はい。私はあの時(・・・)から、何があろうと貴方について行くと心に誓いましたから」

「そうか……なら、いい。では彼が復帰次第、私の許に来るように伝えてくれ……ウェルナー大佐」

「了解致しました」



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



 三週間後――

 オルフィーで負った傷が癒え任務に復帰したノアールは、サンダーの呼出を受けて長官室を訪れていた。

 サンダーに聞きたい事は山ほどある。

 だが――


「怪我はもう大丈夫かね、ウェルナー大尉?」

「はい。ご心配をお掛けしました。それよりも長官、貴方にお聞きしたい事があります」

「ほぉ~、何かね? だが、君の聞きたい事がケースの中身に関してなら、答える必要を認めない。君が知る必要はないと最初に言った筈だからね」

「っ!」

「君の任務はケースをカノープス司令に手渡す事。それ以上でも、それ以下でもない。君はそれを全うした。それで良いのだよ」

「し、しかし……っ」


 ノアールが自らの想いを口にする間もなく、その言葉でノアールの疑念は一蹴された。


 サンダーは一筋縄ではいかない。

 流石、この若さで最高司令長官に上り詰めただけはある。

 彼の真意を探るには、現在(いま)のノアールには荷が勝ち過ぎた。



「それより今日、此処に来てもらったのは外でもない。ウェルナー大尉、君に見てもらいたい物がある」


 そう言ってサンダーはノアールにメモリーチップを手渡した。


「これは?」

「君が見たがっていた物だ」

「私が?」

「スラファト・アル・ハサム博士の研究報告書だよ。GHI-EK4に関するね」

「アル・ハサム博士の?」

「ああ。連邦のデータバンクで検索しても項目すらなかっただろう? これは既に抹消されたデータだ」

「…………」


(どうして長官がそんな事を知っている? 俺の行動は長官に筒抜けなのか? それに何故、抹消された筈のデータが存在するんだ?)


「これを閲覧する為のパスワードは後で教えるが、これには特殊な仕掛けが施してあってね。一度見るとデータは失われる。勿論コピーしようとしても同様だ。使用した機器に入っているデータも失われるから、くれぐれも気をつけ給え」

「コンピューター・ウイルスですか?」

「そうだ。本来は閲覧禁止の最重要機密事項(トップ・シークレット)。君を信用していない訳ではないが、万全を期すのは当然だろう? 君の任務には必要だと判断したから特別に閲覧を許可するのだよ」

「やはり、GHI-EK4と“SILVER・WOLF”には深い繋がりがあるという事ですか?」

「それは、それを見た後で君自身が判断すればいい」



    挿絵(By みてみん)



 考古学の権威、スラファト・アル・ハサム博士の惑星GHI-EK4に関する研究報告書。

 既に抹消された筈の最重要機密事項(トップ・シークレット)


 “エターナル・サザン”と呼ばれるあの惑星がロトとどういう関係があるのか?

 これを見れば分かるのだろうか? 


 ――俺は彼を……。

 “SILVER・WOLF”と呼ばれるあの少年の事を少しは理解出来るだろうか?――


 それが、“監視する者とされる者”という枠を逸脱した想いだと。

 秘密捜査官として任務を遂行する上に置いて、決して持ってはいけない感情なのだと――ノアールは未だ気づいてはいなかった。



                      ~風のオルフィー~ 完


 12年前の真相、そして今回のサンダーの意図が明らかになるのは未だ先になります。

 ロトとサンダー、お互いがそれぞれに異なった思惑で動いてたので、それぞれの視点で書かないと解り辛いですしね。

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