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サザンの嵐・シリーズ  作者: トト
「SILVER・WOLF篇」~指令№Z.30432~
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~第二話~

 “惑星リース――エカナイト・シティ E-12ストリート35 R=3-7”


 エカナイト・シティは惑星リース(いち)のメトロポリスだったが、メールに記されたアドレスはその郊外――

 開発途上のこの惑星は、都市部を少し離れると治安は著しく悪くなる。

 下町(ロウ・タウン)と言うよりは貧民窟(スラム)に近い状態だった。


 寂れたアパートメントの一室に入るや否や


「転々とするのはいいが、今度はこんな処で何をしてるんだ?」


 ノアールは溜息まじりにそう言った。


「勿論、仕事だ。本業の方だけどな」


 本や書類が雑然と置かれた(デスク)に軽く腰掛けて、何やら書類に目を通していた男は、ノアールの方に視線を移しながらそう答えた。


「久しぶりだな、ノアール。ところでお前、惑星ガイロスから帰って来たばかりじゃないのか? 休暇で俺に会いに来た、なんて訳じゃないよな?」

「っ!」

「アクロマ基地はSDAに乗っ取られてたって話じゃないか。爆発事故は証拠隠滅の為だったらしいな」


 やれやれ、つくづくこの男の情報網には驚かされる。

 流石“情報屋”と言うべきか? 

 それとも連邦のセキュリティが杜撰なのか?


「もう、そんな事まで知ってるのか?」

「ああ。その気になれば俺が知らない情報なんてないぜ。その気になれば、だが……」


 そう言って男はにやりと笑った。


 男の名はソール・ウォリングス。

 ライト・グレイの髪と紫の瞳の、一見こんな場所には不似合いな優男だった。


 表向きは“何でも屋”だが、本業は“情報屋”。

 士官学校時代からのノアールの友人(とも)でもあるが、"こいつは絶対に職の選択を誤った"と、ノアールは常々思っていた。


歌手(シンガー)男優(アクター)に転向すればどうだ? きっと人気者になれるぞ!』


 と忠告してやりたいが、それを言うと


『その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ!』


 と言われるのがオチなので、敢えて口にした事はなかった。



「お前“SILVER・WOLF”の噂を聞いた事があるか?」

 

 士官学校時代からの友で信頼出来る男だとは言っても、“任務”の内容を話した事は一度もない。

 しかし"SILVER・WOLFの所在を探れ!"と言われても何の手がかりもなしでは埒が明かない。

 この広い銀河で人ひとりを捜すなど、大海の一滴を捜すようなものだ。


 しかも“SILVER・WOLF”に関する公式の記録は連邦にはほとんど存在しない。

 何処で生まれ育ったのかも定かではない。

 何者かが意図的に抹消したとしか思えなかった。


 ソールの持つ情報網を頼みの綱に、ノアールはこの惑星リースに彼を訪ねたのだ。

 単なる噂話の中にこそ“真実”は潜んでいる。


「SILVER・WOLF? 伝説のエスパーの異名(コード・ネーム)の事か?」

「ああ!」

「そのエスパーが銀の髪だから……とか、力を使う時に銀の霊衣(オーラ)が見えるとか。あっ、そうそう! 一時(いっとき)、白銀の狼を連れてた事があるからついた異名だとか。実しやかな噂は聞いた事があるぜ」



    挿絵(By みてみん)


 

 ソールは暫くノアールの顔を眺めていたが、矢庭にデスクのCP(コンピューター)のキーボードを操作し始めた。


「惑星ロウヴに行け、ノアール! それが“SILVER・WOLF”に関する一番新しい目撃情報だ。真偽の程は確かではないが、な」

 この二人の会話は、あくまで“噂話”です。

 この時点でソールが“SILVER・WOLF”の実在を信じているかどうかは疑問ですが、ノアールの任務に踏み込むような事はしないので。

 ノアール自身もまだ半信半疑ですしね。そこら辺はきちんと心得てます。

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