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サザンの嵐・シリーズ  作者: トト
「SILVER・WOLF篇」~風のオルフィー~
18/236

~第五話~

「そんな話を信じるとでも思ってるのかい? 中身は何処にあるんだ!?」


 そう言うや否や、女たちは容赦ないESP攻撃を仕掛けてきた。

 ロトはそれを防御壁(シールド)で防ぎながら


「ノアールさん、俺が敵の攻撃を食い止めてる間に此処から離れろ! その男を連れて早く逃げるんだ!」

「し、しかし……」

「いいから行け!」

「分かった!」


 そう言うと、ノアールはカノープスを抱えて歩き出した。

 ロトの事は心配だったが、彼なら大丈夫だろう。


 ――俺たちが居た方が、却って足手纏いになる――


 ノアールはそう判断した。


 それよりも問題はこちらの方だ。

 敵は女エスパーだけではない。

 まだ戦闘が継続しているのだろう……あちこちで銃声が響いている。


 ノアールは僅かな味方と合流して基地からの脱出を計ったが、負傷したカノープスを連れてのそれは困難を極めた。

 しかし丁度その時、救援要請を受けた銀河連邦軍がアステリオン基地に到着した。

 ノアールは"此れ幸い"とカノープスを彼らに託し、再び基地内に舞い戻った。



  ☆     ☆     ☆     ☆     ☆



「ロトくん、大丈夫か?」

「ああ」


 ノアールがロトの許に駆け付けた時には、もう既に決着はついていた。


 ロトの(かたわ)らに三人の女戦士が倒れている。

 ……が、三人とも気を失っているだけだった。


「あの男は?」

「ああ、カノープス司令なら大丈夫だ。ちょうど援軍が到着して、彼らに任せた。それより一旦此処を出よう。事後処理も彼らがやってくれる筈だ」

「そうだな」


 そう言ってロトが出口の方に向き直った刹那、倒れていた女エスパーの一人が起き上がり様にロトにESP攻撃を放った。


「危ない、ロトくんっ!」


 思わず身体が動く。

 ノアールは全身でロトを抱え込んで床に転がった。


「ノア……っ!?」


 頭部と背中に感じた強い衝撃。

 それは12年前のあの時に酷似していた。


 記憶がフラッシュバックする――



…───…───…───…───…───…───…───…



「ノアール……。ノアール!」


 俺を呼ぶ声が聞こえる。

 ロトくん? 違う、この声は……。


「テ、ラ……?」


 テラが俺を呼んでいる。

 ……怪我はないか?


「今、応急手当するから……じっとしてるんだ」


 ああ、良かった。お前が無事なら、それでいい。


「君たち、大丈夫か?」


 誰かが走り寄って来る。

 ……誰、だ?


「……フォーマルハウト! ノアールを……彼を頼む!」


 フォーマル、ハウト? 

 お前の知り合い……なの、か?


「私の名を知って、いる? もしやと思っていたが……やはり君だったのか、ロト!」


 ロト……? 

 何を言ってるんだ? 彼女はそんな名じゃない!



    挿絵(By みてみん)



 ノアールは思わず飛び起きた。

 その瞬間、頭部と背中に凄まじい痛みが走る。


「急に起きちゃダメだ! あんたの治癒能力を高めたから一応、血は止まってるが……暫く動かない方がいい。じっとしてればそのうち助けが来るだろう」

「…………」


 女エスパーは今度は完全に昏倒していた。


「済まなかった。あんたをこんな目に遭わせてしまって。俺が手加減したばっかりに……。何度経験しても、人を傷つける事には慣れないんだ」

「…………」

「俺は、もう行く。あんたは兎も角、連邦と接触する訳にはいかないしな」

「待ってくれ、ロトくん! 君に、聞きたい事がある」


 立ち上がって入り口の方に歩きだそうとしたロトをノアールは呼び止めた。


「……?」

「君はさっき、ケースの中には最初から何も入ってないって言ったな。あれはどういう意味なんだ? 何故そんな事を知っている?」

「別に、大した意味はない。俺はあんたの任務を把握してる訳じゃないからな。単なるその場凌ぎだ」


 ロトには、決して根拠がない訳ではなかった。

 フォーマルハウトの目的がノアールを此処(惑星オルフィー)に来させる為だとしたら、ケースの中身は重要ではないと思ってはいた。

 だが、まさか本当に空だったとは!


「それじゃあ、あれは……? 君は私に『きっと、此処に戻ると思ってた』って言ったな? 此処に“来る”ではなく“戻る”と。私がこのオルフィーの出身だと、君は知ってたのか?」

「っ!」


 ロトはその質問には答えようとはせず、矢庭に踵を返した。


「答えてくれ、ロトくん! 君は……」



    挿絵(By みてみん)


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