~第四話~
「今回の獲物はあんたじゃない。だが、行けば命の保証は出来ない。SDAの狙いはあんたが持ってきた“もの”だ」
「私が持ってきた“もの”? あの中にはそんなに重要なものが入ってたのか?」
「違う……中身が何かなんて関係ない。あんたが持って来たって事が重要なんだ。あんたの行動は全てSDAにリークされてる。俺に関わった時点でな」
「っ!」
「きっと、此処に戻ると思ってた。これもフォーマルハウトの指示か?」
――此処に、戻る?――
「俺も行く!」
「俺も……行く? 何故、君が?」
「いいから掴まれ! 跳躍ぶぞ!」
有無を言わせぬロトの迫力に、言われるままに彼の肩に手を掛けたノアールだったが
(どういう事だ? 俺の、連邦の手助けをしてくれるという事なのか?)
――敵にも味方にもならないと断言した君が?――
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「カノープス司令?」
ロトと共に司令室に跳躍するや否や、司令室の床にうつ伏せに倒れていたカノープスを発見したノアールは、彼に駆け寄り、その身体を抱き起こした。
「司令! しっかりして下さい、カノープス司令!」
基地は半ば壊滅状態。
カノープスも重症を負っていた。
「……うっ、く……君、は……ウェルナー大、尉?」
ノアールの必死の呼び掛けに、カノープスは薄っすらと目を開けた。
「気がつかれましたか、司令」
「……ケースを奪わ、れた。何故、SDAがあれを? あれには……何、も……」
そこまで言うと、最後の力を振り絞ったと言わんばかりに、再びカノープスは意識を手放した。
SDAからケースを守る為に抵抗してこの深手を負ったのか?
「くそぅ~! 早く傷の手当をしないと、司令の命が危ない」
ノアールの焦りに
「ノアールさん、俺が……」
そう言って、ロトがカノープスの傷を癒そうとした、その時――
「戻ってくるとはねぇ~。今回は見逃してやろうと思ってたけど、こんな物を掴まされるとは思わなかったよ」
突然、聞き覚えのある声がした。
「お前たちは、あの時の……っ!?」
それは惑星ロウヴでノアールを襲った、あの三人の女エスパーだった。
燃えるような赤い髪が怒りで逆立っている。
三人の中でリーダー的な役割を担っているであろう女が、手にしていたジュラルミン・ケースの蓋を開けて見せた。
しかし、中には何も入っていない。
(そ……そんな、馬鹿な?)
「これの中身は何処にあるんだい? 素直に吐いた方が身の為だよ!」
女の身体から発せられる熱で周りの空気が陽炎のように揺らいで見える。
ジュラルミン・ケースが女の手の中で熔け落ちた。
突然のロトの言葉。
「“SILVER・WOLF”! また我々の敵に回る気なのかい!?」
それには彼女たちよりノアールの方が驚いた。
――中には最初から何も入ってはいなかった?――
どういう事だ?
長官が俺に空のケースを運ばせたと言うのか?
一体何の為に?
それに、何故そんな事を彼が知ってる?
それとも、この場を収める為の単なるハッタリに過ぎないのか?




