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ちいさなちいさなサンタクロース

作者: 宇龍地

なんとなくビッグウェーブに乗りたくなってやった、後悔はしていない

 じんぐるべ〜

 じんぐるべ〜

 すっずが〜なる〜


 家の外ではうろ覚えで歌う子供の合唱が聞こえる


 テレビはどこを回してもクリスマス特番・・・一人身の気持ちなんて知ったこっちゃ無い

 とりあえず俺は今日来る予定の姪と甥に渡す為のプレゼントを用意していた


 一つは大きいけど一見置くだけで邪魔になるオブジェ

 一つは手の平サイズだけど厳重に梱包された本物の金貨


 両方額は一緒で五千円ずつだ


 一見すると大きなツヅラと小さなツヅラのように見せておいて、実は両方ともそのまま置いておくと価値が上がるかも知れない品な訳だ


 小さい方はその場で売ってもそれなりの価値になるけど・・・


 オブジェは俺が作ったもので、材料費が五千円だ

 これでもプロとして作品を売っているので、実際に店で売るときは一万円以下では出せない

 子供が解るかは知らないけど


 一応「新進気鋭の芸術家」なんて物の端くれなので、もしかすると金貨なんかより値が張るようになるかもな・・・

 壊されても文句は言わない程度の物だが







 コンコン


 ドアがノックされた・・・インターホンあるんだけどなぁ


 「は〜い」


 いそいそと玄関に向かうが誰もいない

 悪戯かな?と思っているとまた


 コンコン


 ノックの音がする


 どこから聞こえるかと思ったら風呂場から聞こえてきた・・・風呂場?

 とりあえず風呂のドアを開けると、そこには小さなサンタが居た


 「メリークリスマース!!」


 見た目は某企業広告の普及させたサンタのイメージとは似ても似つかないが、何故かそれを「サンタ」だと認識していた

 とりあえずススで汚れていたのでタオルを渡してみる


 「あ、ありがとうございます」


 妙に甲高い・・・体が小さいと声が高くなるというのはアニメとかの手法だが、このサンタにも当てはまる様だ

 もしかすると女性や子供なのかもしれない


 「で、どうしてこんなところに居たんだい?」


 うちの風呂場はいまどき珍しく煙突付だ

 家が古いので、灯油の風呂釜の上に燃焼効率が悪い為煙突が無いとダメなのだ

 風呂釜を変えろというかもしれないが、普段は別に風呂を使わないのでこれで別段問題は無い、普段は太陽熱給湯器を使ったシャワーで済ますし


 「あのですね、この辺で煙突がある家がここしかありませんで・・・」


 そりゃそうだ、この辺は大概オール電化で誘惑に乗ってボロい屋根の上に太陽光発電パネルを載せている

 給湯器も電気給湯器になっているのでどこも煙突など無い・・・と言うか、もう20年も前に煙突付の家はこの家だけになってるんだが


 「いや、いくらなんでもあの煙突通ってくるか?」

 「煙突なら何でも良いんですよ、ぶっちゃけ換気用の飾り煙突でも全く問題ないです」


 何いやな事ぶちまけてくれるかね

 そんな事子供が聞いたら夢壊れるぞ


 「ところでですね、今日はこちらにお子さんが来られると聞いたのですが」


 個人情報駄々漏れだな、さすがサンタだ


 「うちの甥達に何か用か?」


 サンタだからプレゼントでも届けに来たんだろうか?


 「こちらに用意されているプレゼントにですね、祝福を届けに来たんですよ」


 話を聞くと、何でもサンタがプレゼントをくれると言うのはデマも良いところで、実際にはサンタは子供が幸せに過ごせる様に祝福をして回るんだそうだ

 その媒体として主にプレゼントを使うのだが、最近は換気扇はあるが煙突の無い家が多くてどこから入って良いかわからないらしい

 壁抜けとかそう言うのは無理なんだろうかと思ったが、出来ないそうだ


 「だから、最近は子供達に祝福が届けられなくて困ってたんですよ〜」


 所謂発展途上国だと煙突どころか窓まで開けっ放しだから問題は無いとも言っていた

 最近は新興国って言うんだと教えると目を丸くして驚いていた


 「手当たり次第に開いてる窓から入って祝福していくとかはダメなのか?」

 「換気で開けるだけなんで、すぐ閉められちゃうんです〜」


 サンタもサンタで困った事情があるらしい


 ・・・そう言えば・・・


 「何で俺はお前が見えるんだ?」 


 誰の目にも見えるならそれこそこっそりやらなきゃいけない事なんだが、どういう訳か俺には姿を見せている


 「それは多分あなたがサンタさんだからじゃないかと」


 ・・・

 確かに三男で三太だけどさ!!


 甥達が今日うちに来るのもそう言う事情だ

 兄貴たちが俺が「三太」なのを良いことに「叔父さんが代理でプレゼントを預かってるから貰いに行こう」などといって毎年うちに来る・・・某夢の国の帰りに


 ナイトパレードを見た後、うち(実家)で一晩過ごしてから飛行機で帰る訳だ

 一応プレゼント代は貰っているが、この場合俺からも何か渡さないと甥達に嫌われてしまうので毎年趣向を凝らして変化球のプレゼントを渡していて、今年はあのオブジェと金貨な訳だ


 「こっちが親が用意したプレゼント、こっちが俺が用意したプレゼントだ」

 「では全部に祝福をしておきますね」


 ヒイラギの枝をふりふりして祝福を与えている

 サンタの身長は俺の膝下くらいなので非常に滑稽に見えるのはこの際仕方ない


 それからこの後も仕事があるというサンタを窓から帰して、一人寂しく夕食を済ませて甥達を待つ

 ちなみに両親は健在だ・・・一緒に夢の国で遊んでいる


 両親兄貴たち一行を迎え入れ、甥達にプレゼントを一通り渡す

 俺からのプレゼントは、甥が小さい包みを、姪が大きい包みを選び、その場で開けて二人してがっかりしていた

 甥の母親の目が$$になってるのはこの際スルーしよう


 「おじちゃんにくりすますぷれぜんとー」


 姪がいかにもな夢の国土産を渡してくれたので、お礼を言ってそれを棚に飾る


 「風呂沸いてるから、あったまってから寝るんだぞ〜」


 そう言って、俺は自分の仕事場に行く事にした

 今日見たサンタの姿を書き起こす為に

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