蘇りし過去その2
精霊のアディールと機皇帝の息子ウオーサムは不吉な予感を辿り見回りをした。
[師匠。ナゼ下界に?][長年見張りをしているとな、感じるのだよ。いつもと違うとな][そりゃ、違って当たり前ですよ。時代も変わるんですから][それだけなら良いがな。ウオーサム。知っているか?人は全てを征した訳ではない。我々の住む、精霊世界にも辿り着いた事は無いのだよ。実際そうだろう。花一輪、虫けら一匹、こさえる事は出来ないだろう][そうですね。実際、さっきの津波だってそうだ。俺が刀で切り裂かなかったらどうなってたか。見たでしょう?][アア。私のバックアップもあったがな。良くできた。あと一瞬ためらっていたらどうなってたか][ソウソウ。結局は何も知らない。だから過ちを繰り返す。そうですよね。師匠][静かに!何か様子が変だ。邪念が集まっている][師匠。1つ判らない事があります。邪念とは何ですか?][人本来の姿と言うものもいる。怨み、憎しみ、憎悪。そんな類いだ][見てられないですね。ナン世紀も掛けて同じ仕草の繰り返し。全く懲りないメンツだよ。アレは何ですか?][………羅生門。太古の昔、神々が死者を封印した門だ。ウオーサム。剣術の稽古も良いが、歴史も勉強しておけ]
一方、機皇帝パイロンも不吉な予感を感じていた。[おかしい。失われたプログラムが増殖している。今は使われないプログラムが群れを成している。どうゆう事だ][調べる必要がありますね。遣いでも派遣しましょうか?][下界には我が息子がいる。彼に託そう。これも王位を継ぐ試練じゃ][それでは全面的に坊っちゃんのバックアップを][ウム。我々にとっても試練じゃ。どう育てるか。先代も苦戦していたんだな。今になって判る]
[主よ。復活の時を迎えた。我々の復讐の時を。器が満ちたのだ。見よ。溢れ出す憎しみが下界を包む。深紅の星の宿命か][ウム。全軍出撃!標的は我々の帝国。死の国、不知火の建設。戦火を知らぬ無知な民族よ。狼煙は上がった。イザ進め!]
羅生門が開く。甲冑の死者が甦る。[………師匠。これは………][あり得ん!死者甦生など。あってはならぬ。それが大自然の法則なのだ。ナゼ判らぬ!][死者甦生?まさか!][ウオーサム!刀を構えよ!奴等は生きていてはいけない。行くぞ!][ハイ!師匠。行きましょう]
[停まれ!ここから先、貴様らの行く道は無い!立ち去れ。兵を退け!][言っても無駄ですよ。師匠。言って停まれば甦生はしないはず。貴様らの指導者は誰だ!誰がこんな事を]
[お初にお目にかかるな。知らんのだろ?我々を。名前も地位も奪われた者達だ。愚かな生者には判るまい。我々の革命を][革命だと!大自然の法則を破るのが革命か!][そうだ。我々はネームレス ソルジャー。指導者などおらん。全て己の意思で集結した][黙れ!師匠!殺って構いませんね][許可する。大自然を愚弄する者達よ。精霊の裁きを味わえ!]二人の闘志が結界を作る。[ウオーサム様!加勢に参りました][オヤジ。ありがてえ。借りとくぜ。行くぞ!オメーラ!]
ネームレス ソルジャーとの戦いが今、始まった。精霊と機皇帝の息子はいつの間にか人類救済の手助けをしていた。
続く