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03.灰色のバンダナは

 俺は寮へと向かう途中、あることに気がついた。

 本来使い魔は召喚されたら主人(マスター)と一緒に暮らすことになっている。だから主人と使い魔は同じ部屋で暮らすのだ。……でも、まぁ、事情が事情だし、個人的にも女子と同じ部屋は困るというかこっ恥ずかしいというか。

  部屋なんて別々でいいか。ああ、そういえば

「明日は真名の交換儀式、か」

 ポツリと、口に出して言ってみた。真名、か……。

 真名というのは、神霊地で親が子供に与える正式な名前のことだ。

 俺は、使い魔契約儀式の際にカイル・アンダールイスと名乗ったが、この名前は真名ではない。一つ、シークレットネームが隠されていたりする。

 明日、使い魔に真名を言うのだ。そして、そこで使い魔から名前を教えてもらう。人型ではない限り使い魔は言葉を発することができないから、テレパシーを使うことになる。使い魔と、1対1で行われるテレパシー。どちらかが死なない限り、このテレパシーは一生使えるらしい。俺みたいにシークレットネームを持っている人もいるから、テレパシーは丁度いいのだろう。

 さて、考え事もほどほどに、早く寮に帰るか。俺、体調不良ってことになってるしな。

 俺はゆっくり動かしていた足を速めた。


――――――――――――――――――――――――


「あー……えっと、とりあえず、よろしくー! んじゃ!」

 ブルーはアンダールイス君にそう言うとこっちを向いた。

「ブルー、だ、大丈夫だった?」

「んー、びっくりしたけど全然平気だよー」

 心配した。すっごい心配した。喋ってたらブルーがいきなり隣から消えて、アンダールイス君に召喚されて。

 でも、ブルーのケロッとした、いつも通りの顔を見て。すっごいホッとした。

「じゃ、オレ、『階段から落ちて怪我した』らしいから、寮に帰ろーか」

「あ、うん。療養室じゃなくてもいいの?」

「そこらへんは先生がどうにかしてくれるんじゃね? 大体寮に戻れっつったのは先生だし?」

 そっか、と相槌を打ち、寮に歩き始める。足を動かすあたしたち二人の足元には一匹の、犬。……じゃなくて、あたしの使い魔。あたしにしっかり付いてきてる。

 ブルーのことに気を取られてすっかり忘れちゃってた!

 あたしの使い魔の首にはしっかりと、あたしとおそろいの灰色のバンダナが巻きつけられている。あたしのバンダナはさっきから手にある。存在、忘れてた……。

「キャム、バンダナ付けないの? 使い魔に付けて自分は付けないってどういうこった?」

「いや、それは、その、ブルーのことに気を取られて忘れてて……。あたしの次の次の次にアンダールイス君だったし……」

「あ、そっか。いや、次の次の次って使い魔のバンダナつけんのに時間かけすぎー」

 ブルーと会話しながらバンダナをどこに付けるか考えた。うーん、どこに付けよっかな……。

 やっぱここは無難に手首かな?半袖の規定服着てるし、手首でも隠れないし、うん、そうしよ!

「手首に付けるの?」

「あ、うん」

 ブルーがあたしの顔を窺いながら手首へと視線を戻す。何を考えたのか「あ、そうだ。」と言ってあたしのバンダナを掻っ攫った。

「付けたげる」

「え、自分でやるからいいよ!」

「でも片手じゃ付けにくいでしょ?」

 うひひっ、と怪しく笑ってあたしの手首にバンダナを付ける様子は宛ら変態っぽかった。少しだけ。

 バンダナを二重に巻き、固結び。それを見たあたしの使い魔は、尻尾を元気よく振り始めた。

「おー犬っころ。ご主人様と同じバンダナを付けれてすごくうれしいです、とでも?」

「ワンっ」

「そーかそーか。でも、灰色のバンダナってやっぱパッとしないよね……レアなのにさ。クラスでもキャムしかいなかったよね」

「でも言ってどうにかなることでもないから……」

「だねー。あ、オレどうなるんだろ。オレも無属性ってことで灰色になるんじゃね? そしたらお揃いじゃん!」

「あ、そうだねー。でもそしたらアンダールイス君ともお揃いになるよ?」

「…………うわぁ。野郎とお揃いなんざうれしくねーぜ……」

 どんまい、と声をかけて考える。自分で言ってから気付いたけど、ブルーはどの属性でも結局アンダールイス君と同じ色のバンダナになるよね……。なんか、それってブルーを盗られた感じがしてさみしい。なら、どうせなら、

「灰色だと、いいな」

「ん、そうだね。それならキャムとも一緒だしね!」

 ニコッっと笑って、ブルーはうれしい答えを言ってくれた。そのことに口が緩む。ブルーも、同じこと考えてるんだって。

「こっから3人で部屋まで競争しよ! 正確には2人と一匹!」

 話しているうちに寮の玄関まで辿り着いたらしい。かけっこか。よし、

「よーいどん!」

「あ、ちょ、待てキャムうううううう!」

 ブルーの前を走りながら足元で走っている自分の使い魔を見る。

 笑いかけてよろしく、と心の中で呟くと「よろしく」と頭の中にかわいい声が響いて来た。あ、これがテレパシー、かな? なんか体験したことあるような気がするけど。

 部屋に着いたらブルーに使い魔とテレパシーしたこと言おうっと!



 

キャムちゃん。めっちゃ可愛い子ですよ。


感想、評価、アドバイスなど頂けたら幸いです。

キャラの口調などはまだ不安定です。すいません。

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