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10.好戦的な少年は

「(アンダールイス、いや相棒ー。一緒に夕飯食おうぜ! 食堂の扉んトコで待ってる!)」

「(お、おう)」

 シャワーを済ませ私服に着替えたあと、夕食に行く準備をしていた時、唐突にフラットからテレパシーが入る。

「(あ、キャムとか一緒になっちゃうけどい? そっちも友達一緒でいいから!)」

「(わかった)」

 あちらが友達を誘うならこちらも誰か誘って行くべきだろうか。女子に囲まれて一人で食事、なんてことになるのは避けたいからな。

 ロジスでも誘うか。いやしかし、ロジスを自分から誘うのは気が引ける。ロジスと同じ部屋のアイツには会いたくないし……どうするか。

 悩みながら、部屋のドアを押しながら廊下に出る。

 反対側の壁には、寄りかかっているロジスがいた。朝と違うのは小人を腕に抱いているのと、困ったような顔をしていること。

「よー……」

「どうし、っ!」

 覇気のない顔で言葉を発するロジスが気になりどうしたのかを問おうとして途端、ドアの陰から何かが飛び出し、俺の膝を狙って蹴ってくる。突然の襲撃に驚くもすでに慣れたことなので、攻撃をいなしてかわす。

「ちぇー! またかわされちゃったよー……」

 ロジスが困っていたのはこのためか。

 駄々をこねるように口を突き出し、不機嫌そうにする一人の少年がそこにいた。背は低く、ロジスの胸ぐらいの高さしかない。ロジスも十分中世的だが、こいつはもっと中世的な顔立ちで、下手をすれば女と見間違えることもあるが、好戦的な目がその誤解を招かないようにしている。頭には手のひらよりやや大きなサイズの龍を乗せている。

 ロジスのルームメイトであり、同じ孤児院の出身で、名前はチェリア。本名は知らないが、ロジスはいつもそう呼んでいるので俺もチェリアと呼んでいる。

「いい加減やめてくれ……。で、俺に何の用だ」

 三人で歩きだしながら、チェリアに目的を問う。チェリアはいつも自分のクラスメイトと食事をとっているはずだ。なのにどうしてロジスと一緒に俺の部屋の前にいたのだろうか。

「今日クラスメイトから、君がフリーを召喚したって聞いてさー」

 フリー……?召喚したってことはフラットのことか。……こいつ、そういえばフラットと仲が良かったな。クラスは違うのに。廊下でこいつとクラスの中心人物が喋っていてどんな関係だろうかと何気なく思ったことがある。

「ロジーも言ってくれなかったんだよ? ひっどいよねー」

「いやぁ言ったらお前が何かやらかしそうで…」

 それに緘口令が出てたし……。とは言えないので口をモゴモゴさせるロジス。

 なにそれ!とロジスに対して軽く怒りをあらわにするチェリア。しかしそれは傍から見れば仲良くじゃれあっているようにしか見えない。

「で、何の用だ?」

 話が逸れたためにまだ意図を説明してもらってない。急かすようにもう一度問う。

「主人と使い魔なら、一緒にご飯食べるのかなーって。僕もフリーと一緒にご飯食べたいしね。だから君の部屋の前で待ってた」

「それはわかったが蹴りは必要ないだろ」

「いつものことじゃん。それにどうせ君はかわすしね。別にいいじゃん。」

 次期騎士たるもの、それぐらい避けれなくてどうする。

 まぁ意図はわかった。元々ロジスは誘うつもりだったし……、いいか。先程一緒に食べる約束をしたばかりだというのに……。俺がいつも通り一人で食べるつもりだったらどういうつもりだったのだろうか。

 チラっとチェリアの頭の上のミニサイズな竜に目を向ける。首には、いや、バンダナがその体には不釣り合いに大きいために身体に赤いバンダナが巻いてあった。

 チェリアは首に赤いバンダナを巻いていた。左肩の方に結び目がある。

 これ以上見るとチェリアに睨まれそうだったので前に目線を戻す。その後はみんな話さなくなってしまう。

 途中、眠っていた小人がロジスの腕の中で目を覚まし、ロジスが爽やかな笑顔で小人に「お目覚めしましたか」と言いながら頭を撫でていた。左から俺、チェリア、ロジスと並んでいるため、顔はよく見えなかったが、ロジスを見るチェリアは背中が少し寂しそうに見えた。

「別に撫でてほしいわけじゃないから! ロジーなんて知るかばーか!」

 それに気付いたロジスがフッと笑って同じようにチェリアの頭を撫でると、頬を膨らませてキッとにらみながら走り去ってしまった。

「あれ、照れてるだけなんだよ」

 ……都合のいい解釈だな。

 ロジスを見ると、非常に楽しそうな顔をしていた。人の嫌がることをわざわざして……。まったくこいつは。

 角で左に曲がれば、目の前には女子生徒が見え始める。少し歩いて右に曲がればそこには食堂がある。

 食堂の扉の前にはチェリア、フラット、キャム、そして灰と黒の虎模様の猫の使い魔を持つ栗色の髪のクラスメイトがいた。

 四人で丸くなり、仲良さげに喋っている。今は規定服ではなく、庶民服を着ているためか、傍から見たらチェリアは女子のように見える。栗色の髪のクラスメイトは貴族の服だ。

 フラットがこちらに気付き、手を振ってくる。同じように手を振り返す。

 四人と合流し、一緒に食堂の中へ入た。

 食べながら、世間話を話してわかったことと言えば、栗色の髪のクラスメイトの名前がモニーと呼ばれていたぐらいだ。

 なかなか会話に入らない俺を、たまにフラットが心配そうに見てきたが

「(こういうのは少し苦手なんだ)」

と話すと納得したようだった。

 俺が話の輪に入りやすいように、話題をかえて質問してきたりするフラット。そういう気遣いができるのはやはりクラスの中心なだけはあるなと思った。


フラットは配慮出来る子。

フラットは私服=部屋着みたいなもんです。

昼食シーンがないぞ。何故だ。


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