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01.召喚したのは

 いよいよだ。カイルは期待と不安で胸を膨らまし、自分の心臓が緊張によって鼓動が高鳴っていくのを感じた。

 そろそろ自分の番。使い魔召喚儀式を、成功させなくては。

 何が出てくるかを想像してワクワク期待する。その一方で、弱い使い魔を召喚してクラスメイトや先生から落胆されてしますし、騎士の家系の者として失格だ。

「次は……、カイル、お前の番だな」

 丘の真ん中で、みんなの召喚した使い魔をチェックしたり、召喚し終わった生徒に属性を示す色付きバンダナを配っていた先生に呼ばれる。前の人は火属性の使い魔を召喚したらしく、先生に赤いバンダナを配られていた。それを確認していると、みんなの視線が段々自分に注がれていることに気付いた。……やっべえ、緊張してきたかも。

 ふぅ、と一度深呼吸をして先生の元へと歩いていく。一歩一歩芝生の生えた丘を踏みしめる。

 みんなが、静かに自分を見続けている。輪になって丘の真ん中を囲っているから、四方八方から視線が集まった。

「今、俺が立っている場所が丘の真ん中、つまり一番魔力の密度が高い場所だ。ここで召喚するんだ。カイル、わかったか?」

「はい、わかりました」

 先生の言う魔力の密度が高い場所に近づくと、先生が後ろに数歩下がり俺と距離を取った。

 もう一度、深呼吸をする。フゥー……。

 心臓の音はもう最高潮に達している。爆発しそうだ。



  ――――ツァーグラウンドよ。我の名は、カイル・アンダールイス!――――



 契約呪文を唱え、自分の名前を叫んだその途端、地面には幾何学的な円の模様が現れる。大きさは直径約2mというところ。

 その円の真ん中に小さな球が現れる。球は虹色に輝いていて大きさは拳ぐらい。その球はゆっくりと上昇し、カイルの口元の高さまで上がると止まった。

 ここまでは何事もなく、順調だ。そして、カイルは球に唇をあてる。いわゆるキスをした。これで契約は出来た。

 その瞬間、球は白く輝きだして形を変え始める。

 形を変形させていく球は縦長に伸びていき人型をとる。

 人型……、まさかエルフか? エルフは使い魔の中でも高位な生き物だ。それを召喚すれば自分の実力もとても高いものだろう。もしかして俺はそのエルフの召喚に成功したのか?

 160cmあるかないかの人型になった光は徐々にそのまばゆい光を和らげていった。

 そして現れたのは――――――――同じ規定服を着た、少女。

 「え……?」

 それを見たクラスメイトの誰かが声をあげる。これは……どういう事だろうか?

 俺は動揺する自分の心を抑えつけ、その少女に近付いた。

 その体は一定のリズムで胸を上下させている。目は前髪に隠れていてよく見えない。だが、透き通った青いメガネには見覚えがある。

 喋ったことはないが、確か同じクラスの生徒のはず。前髪をいつも目を覆い隠すようにしていて、目立つ青メガネが特徴的だからよく覚えている。それに、成績は良くない方でよく先生に補習を受けさせられていた。あと……まぁ色々。それがこの少女だという確証はあるわけじゃないが。

 しかし……何故、


 召喚されたのだ?


 いや、召喚されたのは別に特に疑問ではない。ただ、その……。過去に人を召喚した例も何度かある。しかし……クラスメイトを召喚したのは初耳だ。今まで人を召喚した魔法使いは実力の高い低いにかかわらず平々凡々な人を召喚したという。農民とか、商人とか。平々凡々な人。まだ学生だが、それでも魔法使いの彼女が平々凡々に属されるのだろうか。

 いやいやいやいやいや。そんな喋ったこともないしこの少女がクラスメイトだと決まったわけでも

「さ、さっきまで隣にいたのに……!」

 誰かが狼狽した声音で言った。多分少女と仲の良いクラスメイトの声だろう。

 あぁ……、ってことは、俺は。



    クラスメイトを召喚してしまったのだ。

クラスメイト召喚させちゃいました。

カイル。君どうすんの。名前知らないんかい。しっかりしろー。


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