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月神の都、アキウトゥミクの物語 6
馬の蹄の音も高らかに将軍と側近は神殿に乗り込んだ。神官達は困惑を露わにしながらも、将軍を迎え、将軍を献上品を用意してある部屋に案内した。将軍は部屋に入りきらぬ程山と積まれた錆びぬ銀、真珠、白絹、書籍などを見て少なからず心を和らげた。
しかし、参謀は献上品を見て首を横に振った。
「王への献上品に月神の宝刀を欠いてはなりませぬ。かの宝刀こそ月神の至宝」
そして神官に伝説の宝刀エディアナはどこかと尋ねた。神官はその問いに対し沈黙をもって答えた。
いらだった将軍は剣を抜いて、神官に宝刀はどこかと尋ねた。神殿での流血は固く禁じられていたが故に、神官は渋々口を開いた。
「月神の儀式を行う為、白の丘に」
それを聞いて参謀はすぐに白の丘に急ぐよう将軍に進言し、将軍もその言を受け入れた。