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9.大手だからといって旅行代理店を信用してはいけない

 しかし、私を怒らせた事件はこれで終わりではなかった。

 既に何度も電話連絡していた母から、電話では(らち)が明かないから直接店に行くようにと助言され(余程面倒な思いをしたんだろう)、妹と二人で旅行社へ足を運んだ。

 何に一番腹が立ったかというと、こちらが苦情を言いに行くまで、ツアー申し込みを受け付けた支店の店長が、私と妹が予定していた帰国便に乗れなかった事さえ知らなかった事。

 母が電話で事情を話した時には「状況を調査してみます」的な事を言っていたのに。

 旅程・参加者の住所氏名などを記録した書類は必ずあったはずだから、母の電話を聞いた人は、その書類に私達が帰国できていない事を書き込んで、何かあった時にすぐ対処できるように支店員全員に状況を共有しておくべきじゃないの?

 電話を受けた人は一応上に報告したんじゃないかとは思うんだけど「オーバーブッキングだろ。放っておいても航空会社の手配で帰ってくるさ」くらいに思って放置されていたんだろう。

 ちゃんと対処されていたなら、現地代理店に電話連絡した記録とか、エアインディアに問い合わせた記録とかが書き連なっていて、私達が訪店した時にはそういった作業をした店員が「あ、あのお客様」ってなるはずだと思うのよね。

 出国予定日が来たら何一つ確認せずに「処理済」の箱に放り込んだまま、母からの電話に対処して引っ張り出すことすらしていなかったのかもしれない。

 大使館の方が動いてくれなかったら、一体どうなっていた事やら。

 帰国予定日の夜は空港で夜明かししなければいけなくなっていたのは確実だし、その夜のうちに犯罪に巻き込まれていた可能性だってあるっていうのに。

 カウンターにいた店員に「こちらで申し込んだツアーに参加していたが。予定日に帰国できなかった件を話し合いたい」(むね)を伝えると、他の客に話が聞こえない席で待たされた。

 そして「予定通り帰国できなかったってどうしてですか?」みたいなところから始まった時の、なんでそこからなんだという……。その時の私の気持ちを察して欲しい。

 オーバーブッキングの件から説明を始め、ついでにヒッチハイクさせられた件や余分のガイド料を払わされた件、未明から空港でキャンセル待ちさせられた件などなども苦情を言う。 

 「上の者に相談します」と言われて、飲み物すら出されず待つ。

 次に登場した人物にもまた最初から同じ説明をさせられる。検討しますと言われて、また待たされる。

 で、結局未使用だった東京大阪便の航空券を回収されただけで、お詫びについては後日と言って足代も渡されずに返された。

 そして、1週間待っても2週間待ってもうんともすんとも言ってこない。痺れを切らせて、電話で催促。(なし)(つぶて)なので数日後にまた電話。ちゃんとした返事をもらえないまま日にちだけが過ぎていく。

 で、やはり電話ではだめだと貴重な休日を潰して再度足を運んで文句を言い……。

 その時も明確な返事を貰えずに帰されて……。

 最終的に国際電話代プラス成田からの交通費を切りのいい金額に切り上げたくらいのお金は戻ってきたけれど、そのお金も店舗まで受け取りに行かされたんだよ。その分の交通費はこっち持ち。

 多分ね、私と妹がツアー途中で経験したような事は頻繁(ひんぱん)に起こっていて、でも帰国してからわざわざ旅行社に文句を言う人が少なかっただけなんだろうな。「放置している間に客が諦めるのを待て」っていうマニュアルまであったりするかも。

 私達だってオーバーブッキングで帰国が遅れたとしても、ちゃんと最後までガイドが付き添ってて、宿泊や食事・帰国便の手配までしてくれていれば、その他諸々の事はわざわざ店舗に出向いたり電話したりしてまで文句を言う事はなかった。面倒だしね。

 そこまででなくても、帰りの新幹線代を自腹で払っていなければ、電話連絡だけで済ませて、時間と共に有耶無耶(うやむや)にされてしまっていたかもしれない。

 インドの代理店の人が言った通りオーバーブッキングの対処は本来エアインディアの仕事なんだけど、エアインディアの責任って言って投げ出していいのは、ツアーの予定表に「インディラ ガンディー国際空港エントランスにて解散」って書いてあった時だけじゃないの。

 そもそもガイドがもっと早く空港に連れて行ってくれていれば、搭乗できなかったのは私達の知らないどこかの誰かだったはず。それは旅行社の責任だよね。 


 その後――

 転職して旅行代理業務も扱う会社に勤めるようになった時、先輩に「オーバーブッキングで帰国が遅れた事がある」と話すと、航空会社を()いた先輩はこう言った。

「あそこはダメよ。エアインディアじゃなくって、エアインチキって呼ばれてるぐらいだもの」と。

 いや、そんな事知らなかったし、そもそも国内最大手の旅行代理店が主催する「宿泊はすべて一流ホテル・全観光・全食事付きのパックツアー。現地では○○○係員がお世話を致します」だったんですよ。

 トラブルがあっても現地係員に任せていれば解決してくれると思って、安心安全を求めて高い料金払ったのに。

 更に(くだん)の旅行代理店、ネームバリューだけで何もしなくても客が寄ってくるお大臣商売と、陰ではその頭文字をとって「じっと 立ってる BAKA」と呼ばれていることも知ったのだった。


 それでも懲りずにその後も海外旅行に行き続けた私。

 完全な個人旅行の方が「パックツアーのくせに」という負の感情を抱えずに「トラベルはトラブルだよね」とそれも楽しめ……はしないけれど、開き直れる、という事でその後の旅行はほぼ個人旅行でした。

 とは言っても、トラブルを楽しめるのって暇がある時だけだよね。「ああ、有給が……」とか「急に休む事になって上司や同僚の顔色が……」って思わなければいけない環境だと無理。


 今ならSNSに投稿してるかな。

 実際に支払われた金額プラス余分に取らざるを得なかった有給休暇分の日当と精神的苦痛への慰謝料くらい、こっちが言わなくても払って欲しかった。

 エアインディアが悪いと言うなら、評判を承知の上でエアインディアを選んだのは主催した旅行社なんだから、エアインディアに「お前が悪い、責任取れ」と交渉して、慰謝料をもぎ取るところまで責任もって欲しかった。

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