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7.相変わらず旅行代理店も航空会社も役に立たないので大使館を頼ってみた

 旅行会社もしくは母からの連絡を待つ間、他にできる事はないかと考え、昨日名刺をもらった大使館員さんに連絡をとってみる事にした。大使館へ電話をかけてみる。が、電話にでたのは片言の日本語と英語をまじえて話す人。

「今日はお休みだから○○さん居ない」という。

 しまった、日曜だった、と気づいたが、ここまできたら頼れるものにはなんでも頼ってしまえ! と、頼み込んで○○さんの自宅の電話番号を教えてもらった。

 無事○○さんと連絡が取れ、状況を説明すると、とりあえず、関係者と連絡をとってみてくれると言う。そして、危ないから決してホテルから出ないように、とのお言葉。

 ありがたくお聞きしたけれど、そのホテルは街と空港の間の荒野の真ん中みたいな所に建っていて周囲に何もなく、言われなくてもあまり出歩く気にはなれない。電話待ちもしなくちゃいけないし。実際、いつ母、もしくは航空会社及び旅行社から連絡があるかと、食事に行くのも妹と交代で、という状態だった。

 その、食事ってやつも問題だったんだけど。

 ホテル到着時に渡されたミールクーポンは2枚だけ。つまり、二人の1食分。帰れないのはそっちの責任だとエアインディアに交渉したが追加を出そうとはしてくれない。

 が、その交渉の最中に壊れた私のカメラ(父が会社のパーティか何かの時にゲームの商品として貰った安物。使い始めたとたんに壊れてしまった)をあげた、ボーイさんが通りかかり、訳を聞いて係員に談判してくれた。

 数枚のミールクーポンをゲット。

 妹が「どうせ壊れてるんだし」と勢いでカメラをあげてしまった(それも私のだったのに)時にはなんて事をしてくれるんだ、まだ新しい電池も入っていたのに、と思っていたが、こんな場面でお返しをしてもらえるとは世の中何が幸いするかわからない。

  航空会社と無関係のホテルのボーイが交渉したくらいで出せるという事は係員のお気持ちでなんとでもなる証明みたいなもので、私と妹がいかに見くびられていたかという事だけど。

 でも、そのクーポンも朝食セットとかランチセットのならよかったのだが、ある金額まで、というヤツでしかもその金額たるやミネラルウォーター1本(ホテル料金なのでバカ高い)でなくなるような情けなさ。

 そうそう自腹を切るのも腹が立つので、大したものは頼めない。近所に安食堂でもあればよかったんだけど、ホテルのレストランって異様に高いんだもん。

 ようやく母から電話が入り、日本の会社が事情調査に重い腰をあげた事を知る。

 本当なら今頃は自分の部屋でお蕎麦とか、雑炊とか、お腹にやさしいものを食べて、慣れた枕で寝ているはずなのに……と思いつつ、その日は暮れた。

 明日は日本に帰れるんだろうか?


 月曜日――

 本当なら出勤してお仕事に励んでいたはず。

 何もする事がない。と、言うより、出来る事がない。朝から何度もエアインディアの事務所へ行ったけど、無視されまくった。

 妹と交代で必ずワンコールで受話器を取れる体制にして電話番をしていたけれど、とうとう呼び出し音は鳴らずじまい。

 そして、何事も起こらないまま一日が終わってしまった。


1989年2月19・20日の出来事。

まったく情報を得る手段がないなんて、スマホがない時代を知らない人達にはわかってもらえないでしょうね。


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