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6.ツアー主催者と連絡がとれないままインドに放置されていた話

 「オーバーブッキングで乗れないよ」と言い放っただけで姿を消してしまった航空会社の社員。空港のエントランスで私と妹を放り出していった現地ガイド。

 いったい、どうすれば……

 とりあえず、行程表に記載があった旅行会社の現地連絡用番号へ電話をしてみたが、繋がらない。

 何の解決策も見つからないまま、時間だけが過ぎていく。

 照明の多くが消されてしまった空港をさまよって、とにかくもエアインディアの事務所を見つけ、二人だけ残っていた職員に「なんとかしてくれ!」と食い下がっていると、天の助けがあった。

 たまたま日本の大使館員さんが傍らを通りかかり、何事かと様子を見に来てくれたのだ。

 事情を話すと、職員に交渉して、ホテルの手配をさせてくれた。そして、何かあったら連絡するようにと、名刺を手渡される。

 時刻も時刻だったし、疲れ切っていた私と妹は大使館員さんにお礼を言って、用意された車でエアインディアが用意したホテルへと向かった。

 フロントで手続きをし、部屋へ転がり込んだ時には真夜中。朝食用のクーポンは渡されたが、夕食は抜きだ。もっとも、私は体調を崩していて食べられる状態じゃあなかったけれど。


 翌朝、ホテル内にあるエアインディアの事務所へ。

 ドアに9時から営業と書いてあるのに職員が出社してきたのは9時40分頃。ホントにいい加減な国だ。

 使われなかった日本への航空券を差し出し「そっちの手違いなんだからさっさと飛行機の手配をしてくれ」と言ってみたが、納得のいく返事が返ってこない。

 (らち)があかないので、いったん部屋へ引き返し、昨夕電話をかけてみた現地代理店へ連絡する。

「日本語が話せる人はいますか?」

 という下手な英語の問いに返ってきた答えは「ノー!」

 うひゃー! と思いながら、乏しい英語力を振り絞って

「これこれのツアーの参加者だが昨日飛行機に乗れなかった、なんとかしてくれ」と訴えたが

「オーバーブッキングはエアインディアの責任だ」と言って切られてしまった。

 メチャメチャ腹立つー!

 もう一度、エアインディアへ。――やっぱり、ダメ!

 仕方がないので部屋に戻って、日本の旅行代理店への国際電話を申し込む。

 が、しばらく待って返ってきた電話交換手の返事は回線がふさがっていて繋がらない、だった。

 30分おきぐらいに電話しようとしたが、全然ダメ。しまいには交換手が怒って、部屋から電話交換室に繋がったとたんに切ってしまうようになった。

 おい、仕事だろ!

 打つ手がなくなったので、心配はかけたくなかったが、ロビーの電話から料金受信人払い通話(コレクトコール)で母に電話して、母から旅行会社に事情を説明してもらう事にした。

 帰国が一日(だけだと思っていた)遅れる(むね)と職場への「申し訳ありません。一日余分に休みます」の連絡をしてもらう為の電話は前日にしていたから、今回のは「いつ帰国できるかわからない。職場にも連絡しておいてね」も兼ねての電話。

 しかし、後から母に聞いた話だけど、やっぱりなかなか電話が繋がらず、やっと話し始めてもツアーの説明からせねばならなかった。

 自分の所で受けた仕事なんだから、行き先出発日参加者名を聞いたら、一旦電話を切って、さっさと記録を出して「ご参加が確認できましたので、航空会社と現地に連絡してみます。お嬢様方にもすぐにこちらから連絡を取りますのでご安心ください」って折り返すべきじゃない?

 母は私と妹が泊まっていたホテルの部屋番号もちゃんと伝えてくれた。なのに帰国まで日本からどころか現地代理店からさえ電話一本かかってこなかった。

 ツアーのスケジュール表には「大阪着、通関後解散」と書いてある。伊丹空港に着いて、入国スタンプを押してもらうまでがツアーで、旅行代理店が責任を持つものじゃないの?

1989年2月18・19日の出来事。

当時インドから日本へのダイヤル直通電話はできなかった。ひょっとしたら普通の固定電話ではできたのかもしれないけれど、ホテルの部屋やホテルのロビーに設置されていた公衆電話では無理。部屋の電話からホテルの交換を通すか、公衆電話で電話局の交換にかけて、コレクトコールを申し込むしかなかった。

当時の国際電話の料金、どこへ掛けるかにもよりますが、1分で千円前後かかったんじゃないかな。国内通話でも遠距離なら平日昼間5秒で10円だった。

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