3.パックツアーなのにインドでヒッチハイクさせられた話
青い空、乾いた風、どこまでも続く一本道……
インドを旅する9日間のパックツアーに参加した私はジャイプールからアグラへ向かう車の中にいた。
車……見るからに古そうなセダンタイプの普通の乗用車だ。行程表にはバスと記載されていたのに。
ツアーの参加者は総勢4名。私と妹、一人参加の男性Aさんと、女性Bさん。
そもそも、それぞれにシングルを予約していたAさんとBさんの部屋が初日はダブルひとつになっていて、新たな部屋を用意させなければならなかったなど、初めから波乱含みの旅ではあった。
日本語の話せる現地人ガイドは運転手、AさんBさんと一緒に先行する車に乗っていたので、私の車には日本語まるっきりダメの運転手と妹の3人だけだった。
車窓を流れる乾期のインドの荒涼とした景色を眺めながら、私と妹はオーランガバードからジャイプールへ移動するにあたって、未明に叩き起こされたうえ、長々と空港でキャンセル待ちをさせられた事に対する腹立ちなどを語り合っていた。
と、車が止まった。
何もない、荒野の真ん中で。
運転手が車を降り、ボンネットを開ける。こ、このシチュエーションは……
そう、エンスト、だ。
ちょっと待って! こんなガソリンスタンドはおろか、公衆電話も店屋も民家すら見当たらない異国の地で?
携帯電話が普及していなかった時代。頼れるのは今日初めて会った言葉の通じないお兄さんだけだというのに?
運転手はボンネットを開けたものの、車の構造に詳しい訳ではないらしく、私達になんとかならないか、という身振りをしてくる。
ファンベルトが外れてるくらいの事ならなんとかなるかもしれないけど、見たところなんともない。
為す術もなく、立ち尽くす三人。
待ち合わせ場所に着くのがあまりにも遅ければ、先行した車が引き返してきてくれるかもしれないけど、それだと今日の観光は完全にアウトだよね?
天は我々を見放した!
本気でそう思った、まさにその時。
一台の車が通りかかった。運転手が手を振ってその車を止め、向こうの車の人と話してから、私と妹の所に。身振りから察するにあっちの車に乗れ、と言いたいらしい。
その車には現地人の運転手と白人の男女が乗っていた。観光客とガイドかな。挨拶もそこそこに乗り込むと、車は我々の運転手をその場に残して発車。
えーっ! だっ、大丈夫なのォ?!
滅茶苦茶ドキドキしたし、ホントに怖かったけど。
大丈夫でした。
偶然道連れになった二人はイギリス人のご夫婦。英語も満足に話せない見知らぬ旅人二人を、にこやかに迎えてくれたお二人、本当に感謝です。
そして我々は途中のドライブインで無事ガイドの乗った車に追いつきました。
ガイドの乗っていた車は軽とはいえワゴンタイプだったので、なんとか6人乗りしたものの、スーツケースなども積んでいたし、決して近いとは言えない残りの道のりを行くにはかなりキツキツだったけど。
1989年2月16日の出来事。




