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第一話 転移

 高度情報化社会な今の時代でなければ、書けなかった話ではあるのですが、高度情報化社会であることでの弊害もあります。作中の文章の著作権問題です。あまりにも情報が溢れているために、作者が意図せずにもしくは知らずにあるいは忘れて、上記法律に違反してしまっていることが、考えられると考えています。


 特に作中一箇所だけ※があるのですが、そのあたりは、図書館で借りた書物で読んだと覚しき記憶があるのですが、筆者の方の名前も本の名前も思い出せませんでした。大筋での致命的な間違いはないはずですが、正確ではありません。

 出来れば調べて出典として後書きに記載したかったのですが、個人で調べられることには限界がありました。


 その他、作中の文章表現などに問題があると思われる方は、お手数ですが、一報いただければ、確認の上で検討し、文章の修正、文中での説明、後書きでの出典の明記等の対応をしたいと考えております。


 以上、よろしくお願いいたします。


 それはある日の放課後、同じクラスの友人二人と最近出来た超高層タワーマンションの一階に入っているカードショップに行った時のことだった。多分七時頃だったと思う。


 実際にこれまでの人生で体験したことはなかったのだけれど、おそらく貧血的な何かが起こり、頭の血がすうっと首から下に落ちるような暗転を感じて、そのまま失神したのだ。


 もちろん倒れたようだ。

 気がつくと床に倒れていた。


 一緒に居た二人も、ちょっと離れた所に倒れていた。


 何かが起きたのは間違いがない。

 倒れている二人に駆け寄ろうとして、ふと窓の外へと目をやると外は真っ暗だ。

 街の明かりがない。


 思わず店の入口のドアへと向かうと自動ドアが開いて、今度こそ疑いようのない景色がはっきりと見えた。

 何もない。いや、何もないは不正確か……

 そこにあったはずのビルが、街が消えていて、見渡す限り平原が存在していたのだ。


 駅近タワマンなのに駅もない。まるでこのタワーマンション以外のものが、一瞬で消えてしまったかのようだ。


 ふらふらと店の外へ出るが、街を想起させるものは何一つ見えなかった。

 そして振り返り、口を開けつつ見上げる。

 ビルに近すぎてはっきりとは分からないが、タワーマンションそのものは無事に、確かに存在しているようだ。

 地上五十七階建て。確か最上階のペントハウスの売り出し価格は、百数十億円だとニュースになっていた。


 音のない世界だ。

 さっきまで当たり前のように聞こえていた都会の雑踏のノイズ、環境音は消えて、静寂せいじゃくが支配している。


 光のない世界だ。

 満天の星空はあるが、地上のどこを探しても人工の光はない。

 オレの背後にあるタワーマンションだけが、異常な明るさで光っている。存在している。


 このタワーマンションだけを残して、世界が終わったのか? このビルの敷地から出るのは躊躇ためらわれた。

 得体の知れない闇の恐怖に飲み込まれそうになる。



 なんとか気を取り直して店内へと戻り、倒れていた佐藤と鈴木の二人に声を掛けるが起きない。

 肩を軽く揺すって起こす。

 あ、そう言えば電気がちゃんと点いているけど、なんでだろ? と思いつつ、

「おい、大丈夫か? なんか外がとんでもねーことになってんぞ」と事態を伝える。


 自分でも非常に頭の悪そうな伝え方だとは思うが、それ以外に言葉がなかったのだ。


 しかし、気付いた佐藤と鈴木は何か達観したように落ち着いていて、この世界の神にったと言った。


 で、その神(自称)が言うには、タワーマンションが丸ごと転移した。転移したことでチート能力を得てダンジョンマスターとなり、自身をダンジョンに作り替えた。

 商業店舗より上、三階からが攻略階層となる。最上階にはダンジョンボスが居る。一、二階から転移してきた者たちは、冒険者としてこのダンジョンの攻略が使命として与えられた。と真顔で言うのだ。


 二人して頭の打ち所が悪かったのか? 口調がいつもと違うしハモっている。

 それに、オレを上回るとんでもないことを言ってきやがった。


 そして二人は言葉を続ける。

 商業店舗スペースは冒険者用の店としてリニューアルされている。店員はNPCになっているが、ダンジョン攻略に必要な物を買うことが出来る。

 ダンジョンのモンスターを倒すと、金貨をドロップする。金貨を貯めて最高の装備を手に入れて、上層階の攻略を進めるのだ。


 このダンジョンでは人は死なない。死ぬような傷をうと、その場から消えて二十四時間後に五体満足な状態でダストシュートから落ちてくる。

 ちなみにダストシュートは近年――分別しないでゴミを捨てるとか、いたずらとか、下層階の臭気等の問題から――廃止されることが多く、国内最高峰レベルなこのタワーマンションにも設備としてはなかったのだが、ダンジョン化にともない、新たに創造してある。


 痛いのもイヤだろうから、救済措置としてダンジョン攻略階層となる三階層から上階では戦闘時の痛覚は半分になる。正確にはなくならないが、なくなったように見せ掛ける。つまり魔法だバフ魔法。

 近年研究が進められているフランス軍の超人兵士とかアメリカ軍の強化兵士のように、体力・認知力・知覚力・精神力などが強化され、戦闘ストレス反応からも、ちょっとばかり開放されるぞ。


 逆にダンジョン内のモンスターにはデバフが掛かっていて、それなりの力で殴れば討伐出来るようになっている。


 ダンジョン攻略成功の報酬は、この世界に転移してきたもの全員が転移の数瞬後の元の世界に戻り、記憶は残るがなかったことになる。というものと、全員帰還の代わりにラストアタックでダンジョンボスを倒したひとりが、この世界で勇者認定される。というものだ。


 勇者と言っても魔女同様、男女両性LGBTに適用される称号だ。ちなみに、TGBL女男性とも言う。今の世の中、勘違いは命取り、気をつけたまえ。ハーレム作ってモフモフ無双な最強グルマン食い道楽勇者とか、毎日恋愛イベント盛り沢山な逆ハーレムアイドル推し推され聖女令嬢勇者になるのも自由。欲望の赴くままに老いることなく新たな人生をまったり楽しく生きる権利だ。ちな逆。



 ただし、攻略期限は六十日だ。



 世界が終わってしまったわけではないと知り、安堵したのも束の間のことだった。なんだこの設定は? 話の途中からオレの中にき上がってきたもの、それは怒りの感情だった。


 なげえよと。なんか要らない説明まで入ってるよ。ちな逆? ちなみに順番は逆でもってやつかよ。略しすぎだよ。と、

 思わず二人にツッコミを入れたくなる。


 こっちの世界の神(自称)は男女平等とかLGBTに配慮しつつ、中二病を発症した痛い存在なのか?


 いや待てよ、駄目だ。

 怒りに、その感情に、おのれを失ってはならない。


 この言い方だときわめて繊細な心の持ち主さんたちに「男女平等とかLGBTに配慮するのは痛い存在」なのか? と、誤解されてしまう可能性がある。危険だ。まあ、痛いを外せば大丈夫だろう。


 言い直そう、「男女平等やLGBTに配慮しつつ、中二病を発症した存在なのか?」だ。ん? まだ甘いか? 「配慮したせいで中二病発症」みたいなニュアンスにも取られかねん。危険だ。


 改めて言い直そう。

「男女平等とかLGBTに配慮する『とても優しい人』だけど、不幸なことに中二病を発症した存在(両者に因果関係はありません)なのか?」だ。


 あれ? 『優しい人』はどこからいた?


 まあ良い、優しい人は滅多なことでは怒らない。危険は回避されたはず……

 早々にボキボキと話の腰、どころか脊椎せきついまでもが無残にも折れてしまったようにも思えるが気にすまい。こういうのは気にしないのが一番だ。


 強引に話を戻すとしよう。


 他人を押しのけてでも自分の欲望を充足させることを優先させる人間が居たら、それこそ地獄だ。

 六十日後の期限切れも気になる。

 まったく勘弁して欲しい。


 それだけ言うとトランス状態が解けたのか、二人は自分たちの発した言葉に唖然あぜんとしている。


 かくアレだ。最悪な未来を回避するためには、何をしたら良いのか? 状況を確認して、現実世界への帰還を果たさなければならない。そう三人で話し合った。

いまさらながらですが修正・改変を行いました。(2025.8.30)


ストーリーに変更はありませんが、可読性の向上と(やっぱりあった)誤字の修正、しりとりのワード変更、あとは十階層ボス討伐後の休日のための資金の発見などを挿入しました。

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