妹と兄で恋愛ってフィクションの中だけだよね
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本作は書き溜めもなく、寝る前の妄想を肉付けすると言う形で進めているので、毎日更新とは中々いきませんが、ゆるく更新していこうと思います。
この世界と前の世界の違いは男女比にあるということには儀式の後、社会の教科書やインターネットで調べて分かった。え、儀式は遂行したのかって?愚問だな。1度走り始めたら止まらないのが真の男だろ?
この男女比の違いは江戸時代の初めから末期、つまり西暦1600〜1850年の間に生まれたもので、それまで5:5だった男女比が3:7になってしまったらしい。教科書では「性の250年」と書いてあって太字になっていた。授業で聞いたらちょっとニヤニヤしそうな用語だ。
そもそもヒトの性別は性染色体の組み合わせによって決まる。男性の性染色体はXY、女性の性染色体はXXなので、男性の精子はX精子とY精子の2種類があり、卵子はXのみだ。受精の際に卵子とX精子が結びつけばXXで女性に、Y精子と結びつけばXYで男性になる。
通説では「性の250年」の間に、人間の細胞になんらかの変化が起きてY精子が身体の中で産生されにくくなり、男性の性欲も減退したと考えられているが、何せDNAの二重螺旋構造が見つかったのが1953年だ。100年前に身体の変化は終わってしまっているのだから、元の状態と比べることができず、中々答え合わせはうまくいっていないようだ。変化の原因もウイルスだとか宇宙人の陰謀だとか言われているがこちらも真偽は明らかとはなっていない。
「性の250年」当時も当然、各国が自国の男性の減少及び消滅を恐れて、危急存亡の秋を迎えたとして研究に取り組んだものの、機器の精度的にも細胞レベルでの違いの変化を見つけるのは難しく、その成果はお粗末なものだったらしい。
この男女比の変化の対応に世界各国が必死だったため、この世界では世界大戦は起きていないらしい。やっぱり余裕があるから軍事力を高めて他の国に攻め入っちゃたりするのかもね。
「ただいま〜」
ん?どうやら妹が帰ってきたらしい。というかもうそんな時間だったのか、まずい。今日は俺が夕飯の当番なのに、この世界について調べてたらかなりの時間が過ぎていた。
時計が19時を回っているのを横目で確認しつつ、キッチンのあるリビングに向かう。
リビングには肩甲骨くらいまで伸ばしたオリーブ味のある茶髪を無造作に流し、勝ち気を感じるつり目に小ぶりな鼻と薄いリップを塗った桜色の唇が、少女と女性の中間の愛らしさを感じさせる、ブレザーを身に纏った少女がいた。
「星奈おかえりー」
「ただいまお兄ちゃん。ご飯作ってないの?私お腹ぺこぺこなんだけど〜」
うん、妹です。伊波星奈、14歳の中学3年生。髪が茶髪なのは小学校から中学3年生の現在まで水泳に打ち込んでるから。2年生の時点で全国大会に出場したことがあるということでその実力も一級品。
兄妹仲はいい方だと思うけど別に彼女とかでは全くないです。アニメとか漫画で兄妹ものを摂取してるその瞬間はいいけど、ふと自分と妹に置き換えると全く付き合うなんて考えが出てこないのはこれ如何に。
「ごめんごめん。ちょっと調べ物してたらこんな時間になっちゃってた。ぱぱっと作れるしチャーハンでいい?」
「うむ、ベーコン多めにしてくれたら許そうではないか」
「ウィームッシュ」
昔やってた男性アイドルの番組の料理するコーナーで、オーダーを聞いた後に言うウィームッシュってフランス語で「かしこまりました旦那様」って意味なんだって。だから今みたいに女性に言う場合は本当はウィーマダムかウィーマドモワゼルって言わなきゃいけないらしいよ。
なんてことを考えつつ冷蔵庫の中を漁る。卵はあるし、星奈のご所望のベーコンの他は…レタスとニンジンでいいか。米も朝多めに炊いた残りがあるし、いけそう。あ、ニンニクあるじゃん。
「星奈、ニンニクあるけど入れていいよね?」
「入れて!たくさん入れて!」
まだまだ妹は色気より食い気らしい。まぁこれから家出るわけでもないからそんなもんか。ニンニクうまいしな。
具材をそれぞれ、ニンジンは賽の目切り、ニンニク一欠片はみじん切り、ベーコンとレタスは一口大になるように切る。火が通りにくいのでニンジンを先に油を敷いて熱したフライパンに入れ、中火で20秒ほど炒めたら他の具材も入れる。全体的に火が通ったら米と卵を投下。それ一本で味が決まる中華系調味料を大雑把に入れて、フライパンを振りながら強火で炒めていく。途中で醤油を入れてフライパンの端で焦がしたりなんてひと工夫を加えつつ。塩と黒胡椒で味を整えたら完成。
「出来たぞー」
「やった〜!ずっといい匂いさせてたから危うく待ちきれずにポテチ食べちゃうとこだったよ〜」
「太るぞ」
「はい、乙女に言っちゃいけないワードランキング第2位「太るぞ」。そんなこと言ってたらお兄ちゃんモテなくなっちゃうよ〜」
「ちなみに1位は?」
「臭い」
「そんなん言われたら男もみんな泣くって」
そんな他愛もない話をしながら夕飯を食べる。ご飯を作るのは面倒だけど、こうして美味しそうに食べてくれる人がいるなら悪くないよなー。うちは両親が共働きだけど俺が高校生になったことから、「自分の面倒は自分で観れるでしょ」ってことで2人とも泊まりで仕事をしたりするようになった。しれっと妹に探りを入れたがこの世界でもその事実は変わっていないらしい。まぁ当番制になる前からある事情で料理はそこそこ出来たんだけど。
「ごちそうさま〜」
「お粗末様でした」
食べ終わったら料理当番じゃない方、つまり今日なら星奈が皿洗いをする。その間に料理当番の人はご飯たちを冷蔵庫に入れたりするが、今日は両輪は帰ってこないし、チャーハンも食べ切ったから特にやることはない。
なんか今日はパラレルワールドに知らない間に飛ばされて、半日くらいとはいえ精神的に疲れたな。シャワー浴びてすぐ寝ちゃおう。
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