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知っていても儲けにはつながらないお金の話

ズルいズルいと言う妹に、ちょっと株選ばせてみた

作者: 仁司方

よく見たら「妹」と「株」ってぜんぜん似てないですね!(乱視)


「G○Eですわお姉さま!」


 部屋に飛び込んでくるなり、妹の梨沙が謎のアルファベット3文字を口走ったので、私は首をかしげた。


「じーえ○いー?」

「あるいはA○Cか、B○ですわ!」

「……あ、もしかして、株?」

「そのとおりですわ! さすがお姉さま」


 といって、梨沙はこぶしをぐっと握る。

 まったくこの娘は、どこでそんな情報を仕入れてきたんだ。JKでしょうがきみは。


「鉄火場にトーシロが突っ込んだって死ぬだけよ」

「FIRE(※1)ファイアと、念仏のようにずっと唱えてるのはお姉さまではありませんの。一攫千金でいますぐ引退資金を稼いでしまえばいいのですわ。そうすれば、わたしも働かなくてよくなりますし」


 ……なんちゅう動機だ。親の顔が見たいぞ、だれが育てたこんな娘? いや、ここ5年ほどは、私か。……私が悪いの?


 なお妹の口調がなんかおかしいのはロールプレイである。外ではやらない。おねがいだからやめてと土下座して、お小遣い月3000円アップしてようやく自粛してくれた。でも家の中ではずっとこうだ。

 どうやら、(シンデレラ)にとって、私はいじわるな義姉かなにからしい。実の姉妹なのだが。


 私はため息をついて、梨沙の肩に手をおいた。


「いいかいお嬢さん、つみたてNISA(※2)をね、つみたてNISAを毎年フルベットできるようになりなさい。それくらいが、貧乏すぎもしない、かといって成金でもない、ちょうどいい稼ぎなんだよ」


 元ネタはいつでもトンカツを食べられるようになりなさい、だけど。毎日トンカツだと、ちょっと胃がキツいんじゃないかなと私は思う。


「お姉さまは、毎年通常NISA(※3)を使い切ったといっているではありませんか。つみニーは40万円、ノマニーは120万円ですわ」


 なんと中途半端な金融リテラシーを身につけたものだろうかこの娘は! ……やっぱり私の育てかたが悪かったのだろうか。子は親の背を見て育つ。私は姉なんだけど、それでもここ5年は親代わりだったし実際親権者でもあるわけだしなあ。


「通常NISAの期間は5年で、合計600万。対してつみたてNISAは20年間運用できるから合計800万よ。最終的にはつみニーのほうが上なの。私がノマニー使ってるのは、ちょっと個別株(※4)が必要だっただけで」


 年間120万円以上捻出できるからって、私が高給取りというわけではない。妹が大学を出るまでの必要経費はカバーできるだけの保険をかけておいてくれた、両親の備えのおかげだ。……元気でいてくれたら、それが一番だったけど。


 私が個別株に手を出したのは、利殖狙いではなく、もっとみみっちい動機である。株主優待(※5)でお米もらえたり、商品券送ってきたりしてくれる会社もあるからね。

 梨沙、きみが食べているご飯にもいくらかは混ざってるし、私から強奪していったあの大きなぬいぐるみも優待景品だ。なお今年ぶんの優待で2体目を注文すると決めている。


「24年から新NISA制度(※6)がはじまりますわ。なんだかんだいって、これで制度変更は2度目(※7)ですのよ、お姉さまも当然ご存じでしょうけれど。NISA制度を廃止すれば、小口の個人投資家のほとんどが株をやめてしまうのは火を見るより明らかですわ。もはやイギリスのように、少額投資非課税制度(※8)を恒久化する以外の選択肢は日本に残っていませんのよ。これで徴税のためとNISAを廃止して株価が暴落すれば、財務官僚の愚行は消費税導入以上の特大フォントで歴史に刻まれることでしょうね。日銀も債務超過に陥って廃業ですわ。円は紙屑、ドルと元、どちらがつぎの日本の通貨になるか、賭けでもしますか、お姉さま?」


 ……この娘は!? 変なことにだけ詳しい! 私はここまで教えてないぞ?!


 ていうか、話がズレてきてる。


「たしかに、NISAがズルズル延長されてく可能性は私もありえると思ってるけど。それならそれで気長にやればいいってことで、仕手筋(※9)が入って乱高下してる株に手を出す必要はないのよ」


 G○E、A○C、B○といえば、これまでとは異なる経緯で結成された投資家集団の影響で急騰した、最近話題の株だ。


「Re○dit(※10)民を仕手筋呼ばわりは失礼だと思いますわ。つり上げて自分だけ売り抜けようというのではなく、ヘッジファンド(※11)の空売り(※12)を焼き払っているだけですもの」

「他人の手筋の裏張って大損させるのを、仕手っていうんだと思うよ姉さんは」


 そりゃあ、ヘッジファンドが好きか嫌いかと問われりゃ私だって嫌いだけど。

 でも空売りを焼かれて打撃を受けたヘッジファンドがやることは、利益の出ているほかの投資資産を手放しての損失補填だ。そうなればマネーゲームとは関係のない株が値下がりする。場合によっては、債券(※13)や原油やゴールド、最近ならビットコイン(※14)なんかが下落することもある。


 G○Eの急騰によって某ヘッジファンドが空売りポジションの解消を迫られたとき、ほかの要因もあったけど、一時的にアメリカの株価は平均的に下落した。すぐに元に戻ったとはいえ、あのタイミングで現金が必要になって株を売った人は、本来受け取れるはずの金額より目減りしたドルしか手に入らなかっただろう。


 世界中の海がつながっているように、いまや金融マーケットは全人類のお財布につながっている。投資はしてない、現金しか持ってないから安全、とも限らない。

 債券市場が崩壊してデフォルト(※15)する国があれば、そこの通貨は価値を失う。証券(※16)のリスクを嫌ったマネーが商品市場に流れ込めば、インフレだ。単純な物価上昇にもっとも弱いのは現金である。そして穀物やら石油やら銅やら鉄やら、いわゆるコモディティは全世界共通。


 ――まあ、私がこんなことを考えたって、意味なんかないんだけど。クリックひとつで1兆円くらい動かせる立場にいるわけでもないのだから、自分のささやかな投資行動に責任が伴うかどうか気にしたってしょうがないのだ。


 裏を返せば、だからこそボラティリティ(※17)の高すぎるモノに手を出す必要はない。個人投資家は南太平洋の荒波でもみくちゃにされる一枚の葉っぱのようなもの。海面高く打ち上げられるか、深海へ沈むか、自分ではコントロールできない。だったら、大船の甲板にひっそり乗っていたほうがいい。それでもときには風にさらわれて波間に投げ出されることもある。


 私が腕を組んで黙っているので、梨沙はぷぅとほおを膨らませた。かわいいけどそれはロールプレイとは合ってないよ。お嬢さまがそんな顔しちゃダメだから。


「お姉さまがやらないなら、わたしがやりますわ!」

「未成年が証券口座を開設するには親権者の承諾が必要なのよ。そして梨沙、きみの親権者は私だ」

「……お姉さまズルい!」

「オトナになったら自己責任でやりなさい。私は保証人にはならないからね」

「幸運の女神には前髪しかないんですのよ」

「おー、難しいこと知ってるね。そのとおり、Re○dit銘柄にいまからあと乗りするのはもう遅いって」

「まだわかりませんわ! お姉さまの口座で買いましょう、お金はわたしが出しますわ」

「家族とはいえ、個人口座で自分のものじゃないお金を運用するのはダメ(※18)なんだよ。どうしてもっていうなら、買ったつもりでやってみる?」


 私がそういうと、妹は目をぱちくりさせた。


「買ったつもり?」

「そ。きみの来月のお小遣いを、きみが選択した銘柄の株価に連動させよう」


 いわゆるノミ行為である。金融相場の上下に連動する擬似取引は、最近さまざまなポイント(アルファベット1文字がついてるアレとかアレ)を使ってゲーム感覚で提供されているサービス(※19)なので法的には問題なかろう。つかこれがダメだと「テストで満点取ったら来月のお小遣い割り増しで!」とかも取り締まらなきゃならなくなるよね。


 少しだけ考えて、梨沙がうなずいた。


「やりますわ」

「じゃあ、どれにする? あと2時間でニューヨーク市場開くから、昨日の終値をスタートにしよう」


 梨沙は熱心にスマホを操作しはじめた。Re○dit民が推している銘柄のうち、どれが一番上がりそうか分析しようというのだろう。この娘は私よりアグレッシブな投資家に育つね。


 ……「お姉さまズルい」って言いながら破滅する妹にならなきゃいいけど。


    +++++


 梨沙はA○Cを選んだ。アメリカで映画館などを運営している会社だ。コロナ禍で大きな打撃を受け、そこをヘッジファンドに狙われて大規模な空売りを仕掛けられた。

 似たような経緯で空売りを食らっていた、ゲームソフト小売りであるG○Eの株を大量に取得しつり上げることで、ヘッジファンドを空売りからの撤退に追い込むことに成功したRe○dit民たちが、つぎの鉄火場に選んだ銘柄のひとつである。


 前日に19.56ドルで引けていた株価は、いきなり26.52ドルに上がった。なかなか幸先がいいじゃないと思っていたら、3日たって月をまたいだところで跳ね上がり、62.55ドルに。


 梨沙は鼻息も荒くドヤ顔だ。


「3.2倍ですわ!」

「やるねえ。姉さん買った株が1/3になったことはあっても3倍になったことはないよ」

「……お姉さま、ほんとうに買わなかったんですの?」


 小遣いの支払いが3倍になったにも関わらず私が余裕の顔なので、梨沙は疑わしげな視線になった。こっそりアイデアに背乗りして儲けてるんじゃないかっていうわけね。


 そんなことしてないよ。なぜなら……


「ただいま姉さんの資金はすべて拘束(※20)されているのだ」

「それって、わたしの情報がもう遅いからじゃなくって、ただ単にお金がなくて買えなかったってことじゃありませんの?!」

「いや、いけると思ったら損切り(※21)してでも資金作ってたよ」

「わたしに渡すお金はちゃんとあるんでしょうね?」

「生活費は充分以上に確保してあるわい」

「それなら、いつもの額はもういただいてもよろしいですわね?」

「一部利確(※22)する? いいけど、そのぶんはちゃんとさっ引くからね」

「……ズルいですわお姉さま!」

「株を握れば現金が手元から離れる、これ原則。元本ぶんをまず現金化するってのは、賢いやりかただよ?」


 指をふりふり私はうそぶく。いや、これはなかなか真剣な投資のお勉強になるではないか。妹の成長に役立つな。


「くぅ……本来の今月ぶん、いただきますわ」

「おっけー」


 私は電卓をポチポチたたいて、これで運用残高がいくら減ったのかと梨沙に渡すべき金額を算出し、財布からお金を出した。


「ありがとうございま……なんで小銭があるんですの?」

「譲渡益課税(※23)のぶん引いたから」

「ズッルいですわお姉さま!!!」

「復興特別所得税(※24)はサービスしてあげたのに、ズルいはひどいなあ」

「NISAです! NISA枠で買いました!!」

「……ふむ、まあいいでしょう。でも気をつけなさいよ、NISAで買った株は、値下がりしても損益通算(※25)できないからね」


 ちゃっかりしてるというか、いいところに気がついたので、私は差し引いていたぶんも梨沙に与えた。とはいえ、本来のNISAは高ボラ株でギャンブルするための制度ではない。実際に富裕層が賭け捨て120万の丁半博打に使って、業腹合法節税が問題になったのは事実であるが。


 まあ私だって億トレーダーだったらたぶんやったと思う。


    +++++


 ……上昇を続けるかと思われたA○C株だったが、増資(※26)の発表によって快進撃はストップした。


 50ドルを割り込んだところで、死んだ魚の目になった梨沙がドロップを宣言。


「……降りますわ」

「元本は確保したんだから、もっと引っ張ってもいいのに」

「増資はちょっと……」

「財務や業績で動いてる相場じゃないんだから、そこ気にする必要あるかなあ」

「お小遣いが2.5倍以上になればとりあえず充分ですわ」

「堅実な判断だね。……まあ堅実にいくなら、そもそも買う株間違えてるけど」


 妹が賢い投資家になってくれることを祈りつつ、私は残りのお小遣いを手渡した。現金を手にした梨沙の目が、死んだ魚からきらきらに戻る。ほんの1週間ほどで元手を2.5倍に殖やしたというのは、まったく大したものだ。


 なおA○Cの株価は、翌営業日に速攻50ドル台を回復した。梨沙は地団駄踏んだが、まあこれはジンクスである。手放した株は上がる、未練たらしく握りしめた株は下がる。そんなもの。


 そして――


「N○Kですわお姉さま!!」


 ……ダメだこいつ、早くなんとかしないと。



    おしまい



※1:Financial Independence, Retire Early の頭文字を取った言葉です。単純にいうと、定年より早く仕事を辞めるために資産運用をしよう、という考えかたです。実際には定年後に再就職しないで済んだらそれだけで勝ち組だと思いますけど!


※2:年間40万円まで、最長20年間の運用が非課税でできる制度です。興味をお持ちのかたはご自身で調べてみましょう。投資ブログの誘導クリックをホイホイ押したり、証券会社の営業マンの話にホイホイうなずくと損をすることになりますからこの手の話は。


※3:一般NISAといわれる、年間120万円まで最長5年間非課税運用できる制度です。これまでも細かな手直しがされていて、これからもおそらく小変更が続きます。興味をお持ちのかたはご自身で調べてみましょう。


※4:いわゆる普通の「株」です。ですが最近では個別銘柄への直接投資よりも、投資信託による分散投資のほうが注目され、かつ推奨されている風潮があります。


※5:3月末や6月末など、いわゆる決算期に株式を保有してくれていた人へ、会社から送られてくるお礼の品です。期日はそれぞれの会社の決算カレンダーによって異なります。日本独自の制度だそうで、優待品を受け取れない海外投資家からは「そのぶん配当金増やせよ」といわれたりするとか。

配当金というのは、株主へ支払われる事業収益分配のことです。当然ながら、会社の業績によって増えたり減ったりなくなったりします。


※6:NISA制度の微調整が迫っています。今回は個人投資家にとって不利な変更ではないと思いますが…。


※7:NISA制度に限らず金融取引の規制や税制はちょこちょこ変わります。


※8:NISA制度のモデルとなったのはイギリスのISAです。NISAは期間限定の措置とされていますが、ISAは恒久化されています。また、非課税額の枠もNISAより多くなっています。


※9:会社の業績や財務とは関係なく、大口の注文を次々とぶつけて株価を乱高下させ、無関係の投資家が相乗りしてきたり、逆に慌てて投げ売りするのを利用して稼ぐ手口です。会社の不祥事をきっかけに仕手筋が動くこともあります。狙われるのは基本的にあまり大きくない会社の株です。大企業の株を目に見えて上下させるには莫大なお金が必要ですからね。


※10:SNSとネット掲示板の中間のような性質のウェブサイトです。ここの投資板の住民たちが結託して、ヘッジファンドの空売りを狙いマネーゲームを仕掛けました。使用された株取引アプリの名を取って「ロビンフッダー」として日本では報道されました。21年6月現在、Re○dit民はまだヘッジファンドの空売りポジションを焼く気でいます。


※11:金融市場の値動きそのものから利ざやを稼ごうとする投資会社です。ヘッジとは「回避」の意味であり、もともとは暴落時に損失を避ける取引のことでしたが、ITバブル崩壊やリーマンショックのときに大きな利益を上げるヘッジファンドが悪目立ちしたので、いまや「下落で稼ぐ」投機屋のようなイメージになってしまっています。実際には人の不幸だけで飯を食っているわけではないですし、恐慌になればヘッジファンドだってボロ儲けするところより潰れるところのほうが多いものです。それでも損する人が多い中で稼げば、嫌われないようにするのはそりゃ難しいでしょうけど。


※12:持っていない株を「借りて」きて売っぱらってしまう取引を空売りと言います。その株が値下がりしたら、買って返却するのです。たとえば、A社の株が100円のときに空売りして、50円になったところで買って返却すれば、50円儲かります。当然ですが借りたモノは必ず返さなきゃならないので、空売りには清算の期限があります。期限までに株が思ったように下がらなかった場合は、損をするわけです。100円で売ったA社の株がぜんぜん安くならずに150円に上がってしまったら、50円損を承知で買って返却するか、下がると信じて期限ギリギリまで待つことになります。期限のとき300円になってしまっていたら大損です。

ロビンフッダーたちはこれを利用して、ヘッジファンドが大量に空売りしていた株を買いまくって値をつり上げ、ヘッジファンドに返却のための高値買い戻しをさせました。買い戻しでさらに株価は上がりますが、売らなければ現金にはできないので、次に始まるのはチキンレースです。


※13:国債や社債などの借り入れ証書です。現在は世界的低金利で利息は非常に安いですが、先進国や大企業の債券は原則元本保証なので株式よりも低リスクといえます。とはいえ額面で引き取ってもらえるのは償還期限まで持っていた場合であり、期限前に売る際は元本割れの可能性があります。そして債券の償還期限は多くが数十年単位なので、短期債以外を個人で保有するのには慎重な検討が求められます。


※14:仮想通貨とか暗号資産とか呼ばれるモノの代表格です。電気を浪費しているとか、犯罪やマネーロンダリングに使われているとか、半導体不足の一因になっているとか、問題は多い代物ですが、通貨のデジタル化そのものは時代の必然かもしれません。個人的には、ビットコインはデジタルによるゴールドのエミュレーションにすぎず、次世代の通貨を担う器ではないと判断しています。仕組みとしてのブロックチェーンは、国家中央銀行発行のデジタル通貨登場のあかつきにも採用されることになると思いますが。


※15:「借金の支払いやめまーす!」という宣言がデフォルトです。社債のデフォルトは世界的にはけっこう頻繁に起きています。国家ではアルゼンチンがデフォルト常習者です。


※16:証券にはさまざまな種類がありますが、市場で取引されるのは主に株券と債券です。


※17:ボラティリティとは値動きの激しさを示す用語です。なお日本の株式には1日あたりの値幅に制限があるので、1000円だった株価がいきなり1円になったり100万円になったりはしません。とはいえノンストップで下がり始めて止まらないことはあるので注意は必要です。外国株は基本青天井で底なし沼ですので、あまりにボラティリティが高い銘柄は警戒しなければなりません。


※18:借名取引といって法で禁止されています。夫婦、兄弟姉妹、親子であってもそれぞれ口座を作りましょう。


※19:擬似取引サービスは最近本当に増えましたね。中にはビットコイン連動なんてジェットコースターなやつまでありますよ。


※20:投資用準備金がすべて株などの金融資産に変わってしまっていて、すぐに動かせる現金がないことを言います。たとえ資金拘束されているときに欲しかった株が値下がりしても、決して生活費に手をつけてはいけません! 拘束資金を解除して買いましょう。


※21:元本割れしている金融商品を換金することを損切りと言います。傷が広がる前に手を引くことは重要ですが、ある程度の下落は最初から想定しておく必要もあります。一時的に下がってもあとで戻るだろうと信じることのできない証券は、そもそも買うべきでないのです。


※22:損切りの反対、元本を上回った金融商品を換金するのが利確です。利食いということもあります。証券はどれだけ見かけの利益が増えた(含み益)としても、換金するまではただの数字でしかありません。逆もしかりですが、極端な不振に陥った会社はそのまま倒産してしまうこともありえるので、株を保有している企業の情報はまめに収集しましょう。株主には定期的に決算報告書が送られてきます。


※23:株式の売却益には所得税15%住民税5%の、合わせて20%の税金がかかります。


※24:2037年12月31日まで、復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せされるため、15%の2.1%ぶんがプラスで、20.315%が最終的な株式譲渡益に対する課税となります。


※25:NISAは非課税ですがひとつ弱点があります。株などの取引は、損失が発生した場合、利益が発生した取引の税金と相殺処理をすることができるのです。損益通算といって、損失が出てから最長で3年間の取引の利益と総計して課税される所得を計算できるのですが、NISA枠での損失は計上できません。利益に課税しないのだから損失への控除もなし、ある意味筋の通った話ではあります。


※26:事業拡大、あるいは運転資金不足などでお金が必要になった会社が、金融機関や機関投資家から追加の出資を受けることを増資と言います。出資の対価は株券になることが多いので、増資が発表された場合はたいてい株価は値下がりします。希少な株のほうが値上がりしやすいのは需要と供給の関係上必然です。



長い蛇足の最後に


当コンテンツは些少の事実を基にした創作であり、投資の勧誘、推奨をするものではありません。金融取引には元本を毀損するリスクがあります。投資の検討、選択、決定は各自の自己責任においてお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
[一言] 星2=まあ面白い という基準です 4はちょっと直せば「名作(親子で語れる)」という作品につけるのですが 今回は視点違いにびっくり!の星4つですwww あと3回読み直して理解します ハリエット…
[一言] 何を読まされているんだろう…という感想が脳裏にチラつきつつも、面白かったです! 株で生計を立て、中古物件を買い、老後の貯蓄を終え、毎日散歩で体調管理をし、たまに講演を頼まれ、株式に関する本…
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