イブの思惑
俺はハッキリ言ってシルフィーに弱い。
焼肉をたらふく食べて満足かと思ったら、俺だけビールを飲んでいた事を非難し始めた。
「レイジさんはお酒美味しかったですか~?」
「シルフィーも20歳に成ったら一緒に飲もうね」
「レイジさんは意地悪です。私もお酒飲みたいです」
「でも法律で決まってるからね~我慢しましょうね」
「やだやだ飲みたいー」
家でこっそりなら飲ませるくらいなら良いけど、シルフィーはお酒飲みたがるが、ハッキリ言って弱いからとてもじゃないけど外でお酒なんか飲ませたらただじゃすまなくなる。
「しょうがないな~。じゃ、コンビニで買って家で飲もうか?でも本当は法律違反なんだからね」
「やったー!早く買いに行きましょう。でも未成年がお酒飲んだらどんな罪に成るの」
そう言えば飲ませた人の罪は聞いた事有るけど、飲んだ本人ってどんな罪になるんだろう?
「飲んだ事がバレたらお巡りさんに捕まって正座で説教を反省するまで受ける罰を受ける」
「正座は嫌ですね~。じゃーバレない様に買って帰りましょう」
ハッキリ言って我ながら甘かったと思う。でも俺だって未成年でも正月は飲んでたからな。
でも本当はお酒は二十歳に成ってから約束だよって誰に言ってんだか。
シルフィーにはやられたよ。コンビニ入って選んでたらこれも飲んでみたいとはしゃぎ。他のお客さんからはこいつ酔わせて変な事するんじゃないかと睨まれた。
俺はもうシルフィーとは結婚してるんで変な事しても良いんですって本当は言いたかったけど、そんな事は一切言わなかった。けど心の中ではシルフィーはお酒が好きじゃなくてお酒を飲んでる雰囲気が好きなだけでお酒めちゃめちゃ弱いんだもん。
何とかコンビニでお酒を買って帰った。でもシルフィーはコンビニでこれはどんな味って聞いてくるからバレるんじゃないかと参ったよ。
でも考えてみたらシルフィーの年齢なんか赤の他人が知る訳無いんだから堂々とすれば良いだけだった。
「この桃のお酒美味しいよ~。一口飲んでみる?」
「うん、ちょうだい」
こんな感じで飲んでいたらシルフィーはご機嫌に成りそしてソファーで寝てしまった。飲み始めて45分間の出来事でした。
そりゃ異世界では飲んでましたよ、乾杯の為にワインをね。シルフィーは家族で食事以外の時はぶどうジュースだったけどね。だってシルフィーって飲んだら寝ちゃうんだもん。
俺はシルフィーをソファーで寝かせ、イブに斗真とラウルがどうなったか聞くことにした。
『呼びました?』
「斗真とラウルはどうしてる?」
『斗真さんはまだ研究所で後片付け中ですよ』
「あいつそんな事させられてるの?」
『だってしょうがないでしょ。新しく始めるレイジさんの研究所に持ってく機材を選別中なんですから』
「そういえば研究所って俺見てないんだけど」
『出来たら見に行けばいいじゃないですか』
「本当に俺って必要なの?」
『必要ですよ。明後日には九州に行って運転手とメイドをスカウトしてもらいますから』
「聞いてないよー」
『スマホにスケジュール入れてますよ』
「明日は結婚式の打ち合わせで明後日が九州でその後もいっぱい入ってるんだけど」
『そうですよ。遊んでる時間なんか有りませんよ』
「何でだよ。お金も有るしシルフィーとゆっくり過ごして、夢だった高級スポーツカーを買いに行きたいのに」
『今は結婚式の準備だって有るし、斗真さんの事だって面倒見るんでしょ。それなら万全の準備しないとロスチャイルズの人間に斗真さん殺されちゃいますよ』
「斗真はもう安全じゃ無いの?」
『甘いですね。ロスチャイルズ家やロックフォロー家が絡んだ事件の真相は闇の中で葬られてきているのに。たった一家族の一事業をつぶしたって何とも有りませんよ』
「向こうの世界の悪徳貴族以上なの?」
『比べ物に成りませんよ。だってアメリカの大統領だって暗殺しちゃうんですよ』
「もしかしてJFKの事?」
『そうですよ。あの組織は世界のお金の牛耳ってますからね。JFKが殺されたのだってFRBを危険に思い政府発行紙幣を作ったのが原因ですよ』
「確かあの事件って未だに謎だし機密文書だって公開が延期されたんじゃなかったっけ」
『機密文書にも本当の事なんか書いてませんよ。ただ犯人いされた男は無実だったことくらいしか分かりませんし』
「イブは知ってるの」
『私にこの世界で知らない事なんか有りませんよ』
「教えてよ」
『良いですけど外で話したり電話で話すと暗殺者が送られますよ』
「別に話さないしそれに返り討ちにしてやるよ」
『そうですか分かりました。アメリカの紙幣を発行してる機関が民間の株式会社だって事しってますか?」
「もちろん知ってるよFRBだろ」
『そうですFRBです。じゃあアメリカ政府が紙幣を刷ってもらう為に一旦お金をFRBに借りますよねー。そしたら金利って掛かるでしょ』
「まあそうだな」
『じゃあその金利を払うお金はどこから出ますか?』
「それは政府が払うから税金だよな」
『そうです。自国の紙幣なのに借りないと作れない、だから景気が悪いけど政府の方針だけでは紙幣を刷れないんです』
「それはそうだろ。勝手に政府が好き勝手にお金刷ったら一気にインフレに成るだろう。だから連邦準備制度が有って、6200トンの金塊が保証してる範囲で発行してるはずだ」
『でもその金塊が裏で横流しされて実際は鉛で金メッキされただけだったら?それにFRBだって株式会社なんだから株主を儲けさせなきゃいけないでしょ』
「そんな事がバレたら世界経済が破綻するよ」
『だから機密文書を公開しないの。機密文書に其の事は全く書いてないけどどこかで繋がる可能性はゼロでは無いから公開しないの』
「俺っていつの間にかスゴイ怪物に喧嘩売ってたの?」
『大丈夫ですよ今は』
「今はって何だよ?」
『斗真さんの件ではバレてませんが、投資であなたに与えられた損害はかなりの物ですから』
「ちょっと待ってくれよ俺は何もしてないよ」
『してますよ。株取引ってハッキリ言ってしまえばお金の奪い合いですよね』
「まあ確かに」
『貴方はそのお金を掠め取った敵として認識されてますよ。だってあなたはすごい値上がりする株ばかり買っていましたよね?』
「確かに」
『その中にあの組織が絡んでいた物も有りました。それにより買収するのに余計に何千億円払ったか分かりませんよ』
「マジかー」
『それに関西特殊化学では表立って衝突する事に成りますから』
「買収しないと戦争に成るし、買収すると敵に成る事確定なのって選択し無いじゃん」
『その為に九州に居る鬼人の一族の長にボディーガードを頼むんじゃないですか』
「えっ運転手とメイドじゃ無いの?」
『ただの運転手やメイドならわざわざ九州まで行かないでしょ』
「確かに」
『それに天照様からレイジさんにイザの継承の承諾貰ったから、一回月に行ってもらう為にも九州には行ってもらわないと』
「月?って話が段々デカく成ってるんだけど」
『全部任せてくれれば大丈夫だからね。ちょっとちくっとするだけだから』
「なんだか分からないけど、天照様とイブが俺を巻き込んで何かしようとしてる事は分かった」
『そう。分かってくれて良かった』
「分かったよ、俺はお前らの好きにはさせない」
『ちょっと待ってよ、内緒にしてた事は謝るから。でもね事前に話すと未来が変っちゃうの、分かるでしょ』
「確かに分かるよ、特に先の未来は簡単に変わる。だけど俺はお前らの操り人形じゃない」
『分かったわ。でも家族や友人を守るのは貴方1人では出来ないでしょ。だから今回の事は謝るから許して』
「分かったよ。斗真の件も有ったから今回は許す。けど次は無いからな」
『ありがとう。これからは相談するからね』
「ああ分かったよ。スケジュールと詳しい話を聞かせてくれ」
イブが初めから分かっていて話を伝えなかった事は許した。だってイブはレイジより未来予測の使い方が上手かったのだ。




