プロローグ
新作を書いてみました。
「ついに俺は魔神まで倒した、これで勇者の佐藤君も安らかに眠れるだろう、後はシルフィーと結婚して悠々自適の領地経営だ」
『レイジよよくこの世界を救ってくれました』
「はい、俺やりました」
『レイジよ、しかし侵略していた多次元の神まで殺してしまうなんて残念です』
「そんな事言われたって、殺さなきゃ俺が殺されてたんだし仕方が無いよね?」
『それは重々承知しています、しかし神を殺せる者をこの世界に居させる事はできません。地球に帰ってください。』
「ちょっと待ってよ、俺は交通事故で死んだんじゃ無いのかよ?」
『確かにあなたは死にました。確かにあなたは事故に遭い三日後に死にました。しかしその1日前に戻し今のあなたの能力なら死なずに回復する事ができるでしょう』
「だったら佐藤も生き返らせてくれよ、俺の覚悟が足らないばかりに勇者で有る佐藤を死なせてしまったんだ、帰れるならあいつもお願いします」
『申し訳ありません、彼はもうこの世界で生まれ変わっています。彼にはこの世界で幸せになって頂くフォローをばっちりしますので大丈夫です』
「じゃー俺の幸せはどうしてくれるんだろ」
『大丈夫です、地球の神と話しあなたの魂に刻まれたスキルを使い自由に生きて下さい。地球の人類は120年以内には滅亡する予定ですから、星を破壊する以外なら好きにして良いと地球の神の方々も言ってましたから』
「ふざけんなよ、そんな未来の無い世界なんで嫌だ、俺はシルフィーと結婚して幸せになるんだー、なんだこの光は」
『レイジよあなたが幸せになることを祈っています。ありがとうレイジ』
「ふざけんなー」
レイジは光に包まれこの世界から姿を消す。
『レイジは本当に良くやってくれました。あなたなら地球も救えるかもしれません。しかしこの未熟な世界では私たち神はまだまだ近い存在で人類を導かなければなりません。その神すら殺せる存在が居てはいけないのです。レイジには申し訳ないと思いますが地球で幸せになることを祈っています。』
レイジはICUで様々な機械につながれている状態で徐々に覚醒してきた。
俺はどうなったんだ?確か異世界で多次元の悪魔族と戦って魔神まで倒したよな?なんかすごく昔の様な気がする。俺はたしか駅のバス停で暴走する車に引かれたよな?なんか記憶があやふやだ。
「男鹿さん、ここは病院ですあなたは事故にあったんです。今先生を呼んできますから」
なんだか隣の部屋が騒がしくなり白衣を着た男が慌てた状態で部屋に入ってきた。
「男鹿さん、主治医の黒田です。名前を言えますか?」
「男鹿怜志です」
「何が有ったか覚えてますか?」
「バス停でバスを待ってたら急に車が突っ込んで来て、それからは……あれ俺は異世界に行ったような」
「まだ記憶の混濁しているようです、意識を戻されたのでもう大丈夫です。今家族の方を呼びますから安静にしていて下さい」
「はあー」
なんだか異世界に居たことが遠い記憶に成り、事故に遭う前の記憶がはきっりしてくる、この世界に戻ったけど最悪だ、努めていた外資系銀行の日本撤退が決まりシンガポールに吸収されて俺はリストラに成るんだった。
その為に就職活動しているんだった。なんで異世界で幸せに暮らすはずだったのにどうして今更戻すんだよ、今更就職活動したって26歳の俺じゃ今までの給料なんてもらえないし、どうせなら生き返らせないで記憶と力を持ったまま生まれ変わらせてくれたら良いのにそんな事を考えていると、部屋にお袋と兄の奥さんのアロナさんが入って来た。
「レイジ良かった気が付いたのね」
「ああ、なんで母さん泣いているんだよ?」
「あなたは一度脳死判定を受けているのよ、今日二回目の脳死判定が出れば臓器を取られ死ぬはずだったの」
「はあぁ~」
「親より早く死ぬなんって絶対に許されなんだから、もう心配掛けないで。先生もう怜志は大丈夫なんですよね?」
「検査してみないと今のところはまだ予断を許さない状態です。あれだけ脳にダメージが有る状態で普通に会話ができる事が奇跡としか言えない状態ですので」
「あなた本当に医者なの?適当な事言わないで息子を治してちょうだい、お願いします」
「もちろんです、これから障害が無いか検査をして最善を尽くします」
それから俺は首を傾げ奇跡としか考えられないと呟く医師達に様々な検査をされた。
病室に戻されるとそこには兄を始め家族全員そろっていた。
俺は3人兄弟の真ん中で兄と妹が居る、兄はアメリカに研修でオックスフォード大学に留学してイスラエル人の奥さんをゲットした警察官僚だ。
妹はまだ見習いのパティシエだ、兄弟中はわりと良い方だ、しかし俺は親父とは反りが合わない。俺は兄と違い親父の言う事を聞かず大学も就職も親の言う事を聞かずに自分で選んだ。今じゃ勝ち誇った様に言う事を聞いて官僚に成ればリストラなんて合わなかったのにと言って、自分のコネを使い俺を思う道理にしたい様だが、そんな親父だって出世レースに敗れ産業省から管理団体に天下っているのに。
今更今の年収の半分以下で働きたくは無い、これでも年収900万弱合ったのに日本の会社に再就職したら夢も希望も無い。なんであのまま異世界に居させてくれないんだよ、確かに最初は帰りたかったけど帰れないと言われ俺は斎藤が殺された後敵を討つ為に努力して一人で魔王を倒し魔神まで倒したのに今更現実に戻されどうしろって言うんだよ。
それと滅亡に向かってるこの世界で俺に何をさせる気だ、剣と魔法の世界と違って敵が分からないし自由にしていいっと言われても気に入らないからってこの世界の人間を殺すわけにはいかないしホント最悪だよ。
あの世界では裏切り者の貴族共や盗賊を殺したが、この世界でそんな事したら家族に迷惑が掛かるし、警察官僚の兄なんかクビに成ってしまうからそんな事は出来ないし、どうして滅亡するのか教えてくれないと救う事すらできないよ。
「どうしたの、ぼーっとして大丈夫?」
「ああ~大丈夫だ」
「怜志心配したぞ」
「兄さん心配掛けたな」
「怜志が助けた子供は無事だぞ、よく咄嗟に助けたな」
「良かったあの子は無事か」
俺はそれから家族にと面会時間が終わるまで色々話し、明日も来るとお袋と兄嫁に言われ、家族は帰って行った。
お読みいただきありがとうございました。
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掲載は不定期ですが30話までは出来ているので順次投稿していきます。