恨み-50% 上位スキル[錬金]
「それでは、ランク4の習得をします。かなりキツイので頑張ってください」
さっきの会話でサキとの関係もよくなってきた。
だがいきなりランク4か。
「2.3ランクをとばしてもいいのか」
呼び捨てになった事で会話が丁寧じゃなくていいので話し易い。
「はい。2.3ランクは基礎みたいな物で祝福があれば1ランクとたいして変わりません。問題は上位スキルからです。上位スキルからは習得の難易度がはね上がる代わりに効果も下位スキルとは比べ物になりません。上位の中で最低のランク4のスキルでさえも持って入るだけで小さな店を建て暮らしていけます」
スキルだけで暮らしていけるのか、帰って来たら何処かに店を開いてのんびり暮らすか。
だけど俺の祝福に習得の難易度は関係あるのか、無いならチートだな。
「普通は適性が無ければ習得のチャンスさえありませんが。コウは祝福によって頑張ればどんなスキルも習得できます」
やっぱり努力は必要だな。
まあ、なんも努力せずに習得出来たら。怠けちゃいそうだからちょうどいい。
「それじゃあこの巻物に触れてください」
サキが出してきた巻物を中指でそっと触れる。
その瞬間に鑑定眼の時よりも何十倍も多い情報が俺の頭に流れ込んでくる。
あまりにも多い情報量に頭に激痛がはしり、頭を押さえてうずくまる。
それでも流れ込んでくる情報は一向に止まらない。
やっと情報の流れが止み勝手に情報が整理されていく。
「ランク4[錬金]レベル1 錬金精製可能物質 ポーション 第6位以下鉱石 下級武器;粗悪 簡易陶器」
気付いたら身体が汗でびしょびしょだった。
立ち上がろうとしたら上手く力が入らない。
仰向けになって少し休んでから起き上がろとしたら誰かの手が目の前に現れた。
「立てますか」
電気の光で顔は見えないがこの優しい声を聞いただけで、誰だかわかる。サキの手だ。
細く柔い手を掴むと引っ張られそれでようやく立ち上がった。
「ひどくないかサキ。あんな激痛がはしるなんて知らんなかったぞ。教えてくれたっていいだろ」
「もし私がとてつもない痛みを伴いますと言ったら、コウは素直にやりましたか」
「えっと、それはぁ」
文句を言ったがサキに言われて嫌だと駄々をこねる自分が容易に想像出来たので話しを変える事にした。
「そ、それよりも錬金てなんだ。何か色々な情報が入ってきたんだが」
「ま、いっか。スキル[錬金]はAの物質をBの物質に変えるつまり物々交換みたいな物です。錬金術は多種多様な物が造れますが多くの錬金術士はポーションしか造りません。ポーション以外は他の職業の人達が錬金より簡単にしかも品質がよく造れるからです。後は実際に錬金をしてもらいながら説明します」
そう言いサキはいつもの様に廊下にでていき大中小の袋を合計4袋持ってきた。
「まずはこの大きい袋と中ぐらいの袋を使います。この袋の中に土が入っていて大は250グラム、中は100グラム入ってます。最初は中の方を石に錬金してください」
突然いわれ、困惑したが試しに袋を手に持ってみた。
そうすると土から何かのエネルギーが出てきて圧縮されていくのを感じる。
「おお。すげー」
感動しているとエネルギーはどんどん形を作っていき最後にポンと音を出して消えていった。
袋が軽くなり袋の中を覗くとそこには小さな石がポツンと1つ入っている。
「初めての錬金なのに余裕で出来ちゃった。もしかして俺って天才?」
あまりにも感動したのでつい変なテンションになってしまった
サキはそんな俺をみてため息をついてきた。
「もう忘れたのですか。スキルは習得後一分間は自動で使われるんですよ」
その事をいわれ俺は猛烈に恥ずかしかった。
「良いだろ別に。もしかしたら1分過ぎてたけど俺が無意識に錬金したかもしれないじゃんか」
「じゃあ次はこの袋の土を錬金してください」
サキを見返してやろうと袋を持つとおもいっきり[錬金]と念じた。
だが袋は何も変化しなかった。
「あれ」
何かの間違いだと思い今度は更に強く[錬金]と念じる。
またも変化は無い。
予想外の事態にパニックになり声に出して[錬金]と何度も言う。
その光景が余りにも無様だったのかサキがさっきよりもいっそう深いため息をついてきた。
「何のために一分間自動で使われると思うんですか。上位スキルはかなり練習しないと自由に使うことが出来ないんです。もう一度最初の錬金を思い出しながらやってみなさい」
冷たい声で言われショック受けたが言われた通りにしてみる。
『土からエネルギーを出すように』
目を瞑り袋の土に意識を集中していると土からエネルギーが少しずつ流れ出るのを感じた。
暫くして完全にエネルギーが出てきたのを感じ次の段階に進む。
『エネルギーを圧縮して形にしていく』
一点にエネルギーを集めるようイメージしながら段々形を整えていく
完全に整ったと感じたので
『錬金』
今までで一番強く念じるとポンと音がなり袋が軽くなった。
恐る恐る袋の中を覗くとそこには少し大きめの石があった。
「よっっしゃーーー」
あまりの嬉しさに叫んでしまったがサキは優しく微笑んでくれた。
「流石ですね。初めてにしてはかなり早くできてます」
サキに褒められて少し照れてしまった。
「さあ切り替えて、次にいきますよ。今、錬金した石と最初に錬金した石の重さを量ってみましょう」
もう少し嬉しさをかみしめたいが時間が無いので諦めた。
何処からかサキが持ってきた天秤に乗せてみると最初の石は10グラム、次の石は20グラムで釣り合った。
「あれ、なんかおかしくないか」
土100グラムが石10グラムになったのなら2つ目は25グラムになるはずだ。
「気付きましたか。そうですよね250が20になったのはおかしいですよね。これが錬金の落とし穴なんです。[錬金]は生産出来る量が材料の量によって一定の量だけ増えるんです。例えば石は土100グラムにつき10グラム生産量が増えます。土250グラムでも20グラムしか生産できません。余った量は錬金に必要な量に届かなくて錬金できません。しかも錬金出来なかった材料は元に戻らずなくなってしまいます。今は知る必要はありませんがレベルアップすれば生産出来る量が小刻みになっていきます」
かなり面倒だなレベルアップするまでいちいち量らないと無駄が生じるのか。
「さあ、次々いきますよ。今度はこの草をポーションに変えて下さい」
サキは小さな袋からだした草と壺を俺に渡してきた。
俺はそれをを見ながら迷う。
石は自動のときの真似をしたが今度はお手本がない。
「ポーションを造る時は水をイメージするといいですよ」
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心の中でサキに感謝しながら早速試してみる。
草からでるエネルギー量は土よりも多い。
水をイメージし大量のエネルギーをイメージに似せていく。
イメージした水にエネルギーが溶け込むのを感じ俺は前と同じように力強く念じる。
『錬金』
ポンと音と共にエネルギーが消え少し経ってからパチャと音がした。
地面に置いた壺を見てみると底にピンク色の液体があった。
「かなりコツを掴んできましたね。次は草を石に変えて下さい」
サキに暖かい笑みと拍手をプレゼントされた後、もう1つの小さな袋からだした草を受け取ったのでまた前と同じように錬金する。
錬金で出来たのは500グラムの石だ。
「今回はスムーズでしたよ。さあこれが最後です。石をポーションに錬金してください」
サキに何回も褒められやる気満々だった俺は地面にさっきとは別の壺を置き、今までで一度の集中力を使い錬金を始めた。
ポンと音がなりその後パチャと聞こえたので成功したと思い壺を覗きこむ。しかし、そこには無色透明の液体しかなかった。
『余りにも水をイメージし過ぎたか』
失敗したと思いサキにもう一度草を渡し貰おうとするが断られた。
『誰でも出来ることを失敗したのか。サキを失望させてしまったのか。国王に使えないと報告され厳しい罰を受けさせられるのか』
そんなネガティブな思い込みが顔に出ていたのかサキに大きな声で笑われた。
「あははは そんな変な顔しなくて大丈夫ですよ。錬金はしっかりと成功してます」
まさか笑われるとは思わず呆然していたがすぐ思考を取り戻す。
「でも草から錬金したポーションはピンク色だったのにさっきのは無色だったぞ」
何故か自分の失敗を主張してしまったがそれはどうでもいい。
「そこが錬金の落とし穴パート2です。ポーションは魔気の力で効果を出すのですが、その魔気は一定の物にしか宿らないんですよ。先程の草は魔気を保有する変わった草で[薬草]と言います。薬草から直接ポーションに錬金するなら魔気は無くなりませんが、一度石にしてしまうと魔気は無くなります。レベル3になると魔気を自分で込められるようになりますがそれは後でいいでしょう」
サキの説明を聞いてホッとしたが何かからかわれたきがする。
「それにしてもコウの顔は色々変化してすごいですね。凄く面白かったですよ。」
今度は本当にからかってきた。
「サキも会った時はおしとやかで可愛いかったのに、今は全然違うな大声で笑って何かのスキルでも使ってたのか」
ん、最初の方俺何て言った。
サキも何故か外を見ているので考えないようにしよう
度々すみませんが長いのできりました