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この多重宇宙のどこかで  作者: かべちょろ
クムラギ防衛篇
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プレゼント6


 ルルは涙ぐんで口をへの字に曲げていた。しかし心を鬼にしてキッチリ伝えた。お付き合いすると返事したわけではないことを。最後の方は語調が尻すぼみになりながらも。


 しかし。


 すぐに噂は広まったようだ。面と向かって訊かれたら、ちゃんと否定して事情を説明できるのに、誰も訊いてくれなかった。どうやらそうらしい、そんな噂が広まって、アオイには、どうやらそんな噂が広まっているらしい、としか分からなかった。


 そして。


 またしてもリリナネとは疎遠になった。相手がよそよそしい。話すきっかけがつかめない。どう切り出して良いのか分からない。誤解であることを伝えたいが、会話を避けられている感じがする。黙想の時会うこともなくなった。そもそも。その事に関して何も聞いてこないのだから、その一件を取っても、全く脈がないと言える。そう思った。


 石銀で買った数珠は渡せないままになった。独り、文机の前に腕組みして座り、時々引き出しを開いて包みを見ては、ため息をついた。


 ただ、噂とは関係ないが訊かれた事がある。


「珍しい石を捜していると聞いたが、見つかったかね?」タパだった。ユタから聞いたのだろう。

「いえ。もう解決しましたので」と答えた。いらない余波だった。





十四.【限度を知らない策略家と底抜けのお人好し】


 人通り途絶えた昼下がりの廟堂の門の脇。外塀が作るわずかな日陰の下で、その会話は為された。密やかに。けれど日陰からはみ出している子が何人も。全部で五・六人の女の子。いくら声をひそめていても、自然と華やぐ雰囲気。きゃっきゃっと。


「本当に、皆んな本当にありがとう」


「良いのよ。気にしないで。友達じゃない」


「こんなに上手くいくなんんて思ってなかった」


「良かったわねえ」


「うん。ありがとう。皆んなのおかげ。お礼に今度バルで奢るね」


「うん。じゃあまたね」


「うん」


 笑顔で友達と別れたルル。互いにクルリと背を向けた。するとちょうどそこに。


 ポンと門を出たところでその光景を目撃したアオイ。驚いた。鳩が豆鉄砲を喰らったとはこのこと。しかし瞬時に理解できた。


 なるほど、そういうことか—。


 引きつった笑みを浮かべているルルオシヌミに彼は言った。


「仲直りしたんですね」


 ルルは微笑んで答えた。


「はい」


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