5/5
5・シンデレラの目覚め
「さぁ、早く支度をなさい。」
「わかりましたわ、お母様。 あぁ舞踏会が楽しみだわっ!」
そんな声が聞こえた。
うっすらと目を開ける。
(…あれ?わ…たし?)
そうだ!たしか、本に触れたらいきなり吸い込まれて…。
優衣は突然、ガバっと起き上がった。
どうやら、床で寝ていたようだ。
狭くて殺風景で汚い部屋。
ボロボロのワンピースのようなものに、汚れたエプロンを着ていた。床には、ほうきが転がっている。
突然、ドアがバンっと開いた、
「何をしてるんだい!」
40代くらいの女の人だ。髪をこれでもかと、高く結わえている。
「サボってないで、さっさと掃除をなさい!」
物凄い剣幕に怯えながらも、
「は、はい!」
優衣は口を開いた。
再びドアが、バンっと閉まる
「な、なんなの…」
そうい言った所で、優衣は思い出した。
(そうか…、これはシンデレラの物語で、私がシンデレラなんだ。)
「これから、どうなるんだろ…」