2・真夏のある日
ある屋敷にて
今日は猛暑。(外に出るなんて考えられない。)
リアはそう思いながら、トマトを口にした。右手に持っているのはトマトの缶詰、トマ缶だ。そして、左手にはフォーク。
「リア様。朝からトマ缶ですか。」
執事のアルが呆れたように言った。
「いいでしょう?好きなんだから。」
「いけません。栄養が偏ります。」
「魔女には関係ないでしょ。」
そう、彼女は魔女なのだ。
「いいえ、魔女であろうと、魔物であろうと、栄養管理は大切です。」
そんなリアに恐れることなく、アルが言った。
「・・・。」
それに対してリアは、少しだけアルを睨んでみた…が、逆効果だった様だ。
「そんな顔したって無駄ですよ。」
アルは平然を装って言った。だか、少しばかりその顔が赤く見えるのはきっと気のせいだろう。
こんなやり取りが日常になりつつある。
傍から見れば、奇妙な光景であろう。
リアの髪は長く赤い、瞳も真っ赤で、もちろん服も真っ赤なワンピースを着ている。奇妙な色を除けば、かなりの美人だろう。彼女いわく、すべて「トマトの色」だと言うことだ。
アルはリアの赤が白に変わったと思えばいい。
男性にしては少し長めの白い髪に透き通るような肌。
リアよりも幼く、まるで少年の様だ。不自然な白の執事服を除けば…。
彼も美貌の持ち主だということは言うまでもないだろう。
「今日は誰も来ませんねぇ。」
アルがそう言い、ティーカップにお茶を注ぎ始めた瞬間、ギィ と、玄関の扉が開いた。