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  作者: ありしょう
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   第二章 ミステリーと絵本

      四


『位置について。よぅいっ』

スタートの合図と同時に、八人程の園児達が一斉に走り出した。

『結愛、がんばって』

『結愛ちゃん、がんばれ』

 明かりが消された部屋の液晶テレビには、幼稚園の運動会の様子が映し出されていた。

『結愛がんばれ、あと少しだっ』

 最前列に陣取ったビデオ撮影者の声も、はっきりと入り込んでいる。

 おかっぱ頭の女の子。挑んでいるのは、年中組による三十メートルの徒競走だ。スタートこそ良かったものの、中盤辺りから徐々に差が開いて半べそ状態になり、ゴールしたときには大差がついた上での最下位。大泣きする顔がアップになった。

『結愛ちゃん泣かないの。一生懸命走ったんでしょ?』

 先生に促され、既にレースを終えた他の園児たちの一番最後の列に並ばされた。泣き止む気配がない。

『やれやれ、去年に引き続き今年も最下位でした』

 カメラ撮影者の男性は、自らにレンズを向けてそんなコメントを入れた。

『もう、パパったら。結愛だって頑張ったんだから、そんな言い方しなくても』

 カメラは隣の色白で痩せた若い女性を映す。母親のようだ。

『一生懸命走ったんだから、それでいいのよ。ねえ、菊子大婆ちゃん』

 母親がそう言って横を向いたので、カメラもその視線を追った。そこには菊子大婆ちゃんと呼ばれた、九十歳を越えてると思われるお婆ちゃんが映し出された。

 しかし本人は撮られている事に、まだ気付いていない。

『そうですよ。だれでも得手不得手があるのですから』 

『そうだけどさ、これからの社会で生きてゆくためには、やっぱ悔しいって思う気持ちが大事だよ。まあ、ああやって泣いてるんだから望みはあるけど』

 撮影者である父親がそう言うと、菊子大婆ちゃんは初めてカメラに気が付いた。

『あれ、やだよ。こんな老いぼれ撮らなくたっていいでしょうよ。主役は結愛なんだからさ、ねえ松子大婆さん』

 さらに隣にいたお婆ちゃんにカメラが向けられた。松子大婆ちゃんと呼ばれたそのお婆ちゃんは、驚くほど菊子大婆ちゃんとそっくりだった。

『わたしも映さんでええ』

 そう言って顔を赤らめたそっくりな二人のお婆ちゃんは、肩をたたき合いながら照れていた。

 他にもこの婆ちゃん達よりは若いが、それなりの年を重ねた人達が映っていた。みんな笑顔で、運動会を楽しんでいる。


 男はビデオを消した。ブルーになった画面の明かりだけが部屋を照らしていた。広々とした書斎に置かれた木目調の大きな机。男は机のスタンドの明かりを付けた。

 高級感ある黒い革張りの椅子に身を沈めて、机の上の封筒を見据えながらウィスキーをグラスに注ぐと、一気に飲み干した。

「ふうーっ」

 ウィスキー独特の刺激に顔を歪めながら、封筒を手にした。

 封筒の差出人名はある医療機関だった。男は開封して封筒の中から薄いファイルを取り出した。そのファイルの表題には『DNA鑑定の結果通知書』とあり、中にあったのは報告書と思われるA4サイズの紙一枚に、たった数行の文章が書かれていた。

 その文章に目を通した男の視線が、ある箇所で留まった。そして目を見開き立ち上がると、机の上に置かれたウイスキーの瓶が倒れてこぼれたが、男は報告書に目が釘付けのまま表情を強張らせた。

「馬鹿な……。結愛が俺の子じゃないだと」

 男は手にしていたファイルを床に投げつけた。途中で報告書がファイルから外れて、ひらひらと床に落ちた。


 被験者Aと被験者BのDNA鑑定を行った結果、生物学上の親子間系にある確率は、

『0.00%』


「じゃあ結愛は一体……」


      五


 いつもより遅い帰宅となった新人は、扉を開けると真っ先に冷蔵庫を目指して、中から缶ビールを取り出した。そしてプルタブを勢いよく引き上げ、その場で一気に飲み干した。

「ぷはーっ」

 冷蔵庫から二本目を取り出し、ソファーに沈み込みテレビを付けた。

 玄関を開けると、目の前がリビングという間取りの2LDKのアパート。ホームセンターで買い揃えた安物のソファーとテーブル、液晶テレビ、冷蔵庫に電子レンジ。新人の給料ではこれが精いっぱいだ。

 リビング隣の和室は寝室として使用しているが、万年床の周囲に衣類が散乱していて、足の踏み場もない程だ。

 テレビからは、東北地方のとある田舎町の町起こしの様子が流れていた。あの震災から四年半が過ぎ、復興の格差が浮き彫りにされている昨今、小さな町の町民挙げての奮闘ぶりを紹介していた。

 テレビをBGM代わりに、新人は鞄から一冊の文庫本を取り出して読み始めた。高村和人著書の追憶シリーズという小説の第五巻だ。このシリーズの小説は、一冊が三百ページ程度なのでボリューム的にも読み易い。吉岡翼が半ば強引に貸してくれたのだ。


「――追憶シリーズ?」

 先日。翼と部屋デートをしていた新人は、発売前の小説を入手できないかと訊かれた。

「もう、あー君って出版社務めなのに疎いわよね。今、二十代から四十代を中心に、とても人気のあるミステリー小説なのよ」

 翼は幼稚園の頃から新人を『あーくん』と呼んでいる。こう呼ぶのは翼だけだ。

「この追憶シリーズはね、十年前に始まったシリーズ物でね、他の小説とは違って読者一人一人に語りかけるような話の展開なのよ。そしてヒロインの香織と、なぞの男〝タクト〟との恋の行方が、ネットでも話題になっているの」

「恋の行方が?」

「そう。これはただのミステリーじゃないのよ。言うなれば〝恋愛ミステリー〟ね」

「恋愛ミステリー? ミステリーって、密室とかアリバイのトリックを使った殺人事件が起きて、主人公がその謎を解いて〝犯人は、あなたですねっ!〟って言いながら犯人を捕まえる話じゃないの? そこへ恋愛の要素なんて必要なのかなぁ?」

「もう、わかってないなぁ。確かにトリックとかもミステリーだけど、一番のミステリーは〝人の心〟でしょ? 特に男女間の恋愛は十分にミステリーなのよ」

「そういうものかな?」

「そういうものですっ」

 新人は、翼が読み終えたばかりの小説を手にした。帯には『日本のミステリー作家2015大賞受賞作品』と書かれていた。何気なくパラパラとページをめくると、翼が本を取り上げた。

「だーめ。読むなら一巻から読んでよ。貸すからさ」

「何で?」

「一応一冊で完結する構成だけど、それでも途中から読んでも、物語全体の世界観は掴めないわ。それに高村フリークとしては、途中から読むなんていう横暴を許すわけにはいかないのよ」

 翼は自他共に認める高村フリークだ。

「全部で何巻あるの?」

「今度発売の最終巻で全十巻」

 翼は腰に片手をあて、Vサインをした。

「全十巻かぁ。結構あるね」

「そうよ。さっきも言ったけど、この小説はシリーズ化されて、ほぼ年に一巻のペースで出版されてきたのよ」

「そうなんだ」

「くどいけれど、出版関係の人なのに何でこんなにも疎いかな?」

「いやいや、出版と言っても俺の場合は新聞社だし」

「それでも、出版物を扱うという点では一緒でしょ? 言い訳しないの」

 翼は新人の両頬を摘まむと、左右に軽く引っ張った。

「わかりましたか?」

「はひ。わはりはひた」

「よろしい。じゃあ先ずは一巻から五巻まで貸したげる。その代り、最終巻のフラゲよろしくね――」


 新人はこんな調子で、押し付けられた小説を読み始めたのだが、いつの間にか新人自身がその小説にはまってしまい、ほぼ一日一冊ペースで読んでいた。

 この物語に登場するヒロインの邦枝香織は、都内の大手出版社の元社員という設定だったので、出版社勤めの新人も感情移入し易かったのだろう。


 邦枝香織には夫と三歳の息子がいた。しかし、家族三人で香織の生まれ育った瀬戸内海を旅行中、乗船していた船がシージャックされてしまう。

 そして犯人は、乗員乗客三百名以上を人質に桁違いの身代金を要求したが、交渉に失敗すると船を爆破し逃亡。爆破されたフェリーは沈没し、死者行方不明者二百五十人以上という大惨事となった。

 そして香織の夫は行方不明となり、息子は死亡が確認された。香織は辛うじて生き残ったが脊髄を損傷し、車イス人生を余儀なくされた。

 香織は仕事を辞めて小豆島に帰ったが、家族を失った悲しみと事件の後遺症で、心を閉ざして無気力な毎日を送っていた。

 そんな様子を見かねた友人に勧められ、香織はブログを始めた。そしてこのブログを通し、様々な悩みを抱えた人々と触れ合うことで、香織は徐々に自分を取り戻していった。

 しかし、物語は思わぬ進展を迎える。

 逃走中のシージャック犯を知っているかもしれない『タクト』と名乗る人物と、ブログで知り合ったのだ。

 謎の人物タクトとともに、香織は犯人捜しをすることを決意した。


 第一巻と二巻の内容から、新人がイメージしてきたミステリーと違い、エンタメ色の強いサスペンス系の小説に思えた。しかし、第三巻目で作風が変わる。

 第三巻では、互いに相手を強く思いやるが故に『別れ』という選択肢を選んだカップルとの交流が描かれていた。新人は翼が言ってた台詞を思い出した。

「――一番のミステリーは〝人の心〟でしょ? 特に男女間の恋愛は十分にミステリーなのよ――」

 確かそんな事を言っていた。だから新人は、この三巻で作風が少し変わったように感じたのは、作者の意図するところだろうと考えた。それにカップルの話を軸に置きながらも、犯人の足取りを確実に追っていく香織をしっかりと描いている。

 さらに第四巻になると、香織の弱い部分が描かれ葛藤し苦悩する面が書かれていた。

 もしもの日、家族を瀬戸内海クルーズに連れて行かなければ……。もしあの時、別のフェリーに乗船していれば……。苦悩する香織の『if』の話が軸になっているのだ。

 そして第五巻では、前作の流れを受け継ぐ形で始まった。そしてどんな人生の選択をしても、精一杯幸せになろうと努力する事が大切なのだと、香織は周囲の人々に気付かせてもらったという内容だった。

 借りてきた分全てを読み終えた新人は六巻目が気になった。しかし、睡魔が訪れてきたので、このまま寝ようと思った。

 しかし、明かりを消して布団に潜り込んだそのとき、スターウォーズのテーマが鳴り響いた。いくら好きな映画音楽でも、寝に入った途端に鳴り出したので、この時だけはイラついた。

 スマホを手繰り寄せて着信欄を見ると、そこには祖父の周防源次郎の名があった。

「こんな時間にどうしたの?」

 無愛想な口調で出た。

 新人は幼い頃に両親を不慮の事故で亡くし、源次郎に育てられた。そして社会人として独立した今でも時々連絡をくれる。源次郎は今年で七十二歳になる現役の弁護士だ。

「おお、こんな時間に〝翼ちゃん〟ではなくて悪かったな。ひとつ頼まれてくれないか?」

「何を? 俺今週、すげえ大変なんだけど」

「何だ? 翼ちゃんと喧嘩でもしたのか?」

「してねえし」

「言っとくが〝離婚裁判〟だったら、翼ちゃんを弁護するからな。覚悟しとき」

「はいはい。爺ちゃんが〝自称敏腕弁護士だった〟って話はガキの頃から聞かされているからね。敵に回さないように気を付けますよ……って言うか、それ以前に俺達は夫婦じゃねえし」

「お前なあ、あんなにええ子を何時までもほっといたら、誰かに持ってかれるぞ。いや、お前が行かないなら、わしがプロポーズするぞ」

「やめとけ。話が無いならもう切るけど?」

「あるある。大有りじゃ。実はな――」


      六


「ねえ、あー君、寝ているの?」

 朝食の途中、ソファに腰かけたまま居眠りをしている新人に、翼は鼻先がくっつくくらい顔を近付けていた。

「ん? ああ、起きているよ。いや、寝ていたか。朝早起き出来ないのはきっと遺伝かなぁ。もう少し寝て……」

 大きな欠伸をしながらだったので、最後の方は翼でないと聞き取れない。

「文句を言わないの。あー君にしか出来ない仕事だと思えば、自然とやる気が出てくるでしょ?」

「翼は超ポジティブだねえ」

 すると翼は両腰に手を当て、胸を張った。

「そうよ。人生は常に前向きじゃないと。だからさっさと食事を済ませてよ。私もそろそろ行かなきゃならないから」


 昨夜、源次郎から電話があった直後に、翼からも電話があった。翼は新人と同じ成田市在住で、同市内の総合病院に看護師として勤めている。新人とは幼稚園から高校まで一緒だった。そして高校入学直後に翼が告白をして、今日まで恋人同士でいる。

 小顔で背が高くショートカットで、ぱっちりとした大きな目の翼は、竹を割ったような性格で面倒見もよく、昔から男女問わず人気があった。

 そろそろお互いに結婚を意識しているが、新人はまだ経済的にゆとりがないので、そのことを言い出せないでいた。翼もそんな新人を理解して、待つと心に決めている。

 源次郎の言う通り、翼の献身ぶりはなかなかのものだ。電話で翌朝から取材に行くと聞いた翼は、新人が遅刻して取材先に迷惑をかけないようにと、朝早くに押しかけて朝食の支度をしていたのだ。

「ご馳走さまでした。さて、着替えないと」

 新人が寝室で着替えている間に、翼は食事の済んだ食器を手際よく洗い片付け、簡単なメイクを済ませると、玄関にある姿鏡で身嗜みを確認しながら新人を待った。

「お待たせ。んじゃ行くか」

 スーツ姿に着替えた新人が寝室から出てきて、玄関で靴を履き終えたとき翼が止めた。

「ちょっと待って。ネクタイが曲がってる」手馴れたもので新人の身嗜みを整えた。

「よしっ、じゃあ行きましょう。あっ、高村和人の新刊、忘れてないわよね?」

「え? ああ、覚えているよ。けど、そんなに慌てなくても、来週の発売日になれば書店に並ぶよ?」

「とにかく、早く読みたいのよ。フラゲよろしく」

「わかったよ」

 大手出版会社に勤める友人の伝手を使えば、書店に並ぶ二、三日前にはなんとか手に出来るだろうと、新人は踏んでいた。

 アパートを出た二人はJR成田駅前まで一緒に歩き、新人はそのまま駅へ、翼は駅前の駐車場に停めてた自家用車で職場へと向かった。

 新人は電車で千葉駅まで行くと船橋行きの総武本線に乗り換え、さらに船橋で東武鉄道に乗り換え、目的地の新鎌ヶ谷駅を目指した。


      七


「あっ、高村先生。お早うございます」

 朝の九時。都内にあるK出版社の編集部に勤める倉橋達也は、ミステリー作家の高村和人の訪問を受けた。

「お早うございます。早速で悪いけど、昨日電話で話した新連載の原稿を持ってきたので、チェックしてくれるかな?」

「はい、かしこまりました。でも〝日本のミステリー作家2015大賞〟を受賞された先生ご自身に、わざわざ原稿を持ってきて頂くなんて、本当に申し訳ないです。言っていただければ私が取りに参りますのに」

「いや、いいよ。デビュー十年目にして奇跡も手伝って、ようやく受賞したようなものだから」

「またまたご謙遜を。でもその〝追憶シリーズ〟もいよいよ最終巻なんですよね。早く続きが読みたい、だけど終わってほしくないって、読者からの投書が数多く寄せられていますよ」

「そう言って頂けると作家冥利に尽きます」

 しかし言葉とは裏腹に、高村の表情はどこか寂しくなった。

「もう今まで通りって訳にはいきませんけれどね……」

「え? 何か言いました?」

「ああ、いや、なんでもないです。それではよろしくお願いします。何かあったら何時ものようにメールでお願いします」

 そう言って高村は出版社を後にした。


      八


 新人は新鎌ヶ谷駅で降りると、駅前にあるショッピングモール1階のファーストフード店に入った。

 さほど広くない店内だったので、すぐに待ち合わせの相手を見付けることが出来た。白髪で頭頂部を覗かせる地肌が寂しく思わせるが、身なりは紳士を決め込んだ老人。それが周防源次郎だ。

 新人が店内に入ると源次郎もすぐに気付き、人懐っこい笑顔で手を上げてきた。新人も軽く手を上げて、入り口でコーヒーを注文して受け取ると、源次郎の対面に腰掛けた。

「おう、珍しいな。お前が遅刻をせずに来るなんて」

「翼が来ていた」

「何? 泊まっていったのか?」

 新人はコーヒーを一口すすった後で手を横に振った。

「違うよ。昨日電話してきただろ? あの後すぐに翼からもあったんだ。で、取材の話しをたら、俺一人じゃあ絶対に寝坊するから目覚まし代わりだとかいってやって来て、ついでに朝飯も作っていった。本当、世話好きだよな」

「なるほど。しっかりした嫁じゃ。それに比べて……お前ももっとしっかりせんといかんだろ」

 源次郎は見た目の人懐っこさに反して、口では結構キツイことを言ってくる。

「翼がしっかり者なのは認める。でも勝手に人を夫婦扱いするなよ。こっちにも色々都合ってものがあるんだから」

「経済的に安定するまでは結婚は出来ない、ってか? 女は結婚したら家に入るから旦那の稼ぎが全てだなんて、一昔前の価値観だぞ」

「別にそんな考えじゃねえし。って言うか、爺ちゃんの方が年の割りに革新的なんだよ」

「わしゃ、翼ちゃんが誰かに持っていかれるんじゃないかと思って、心配しているんだ」

 新人は残ったコーヒーを一気に飲み干し、話題を変えた。

「そう言えばまだ細かい話は聞いてないけど、もしかして面倒なの?」

「ああ、塩野谷家の人達について大まかな事は電話で話した通りだが、相続については何も話してなかったな。今日の相続は、ちょっと、いや結構厄介になるな。きっと荒れるぞ。大荒れだ。今回亡くなったのは、九十八歳の双子のお婆さんの一人なんだがな――」


 源次郎によれば、先日、鎌ヶ谷市内に住む九十八歳になる双子のお婆ちゃんの一人が亡くなったそうだ。さらに残った方は、自分が誰なのかわからないと言い出したため、一緒に住んでいた家族の誰もが、亡くなったのが双子の姉なのか妹なのか、わからないと言うのだ。それ程そっくりな双子だったらしい。

「いくらそっくりでも、一緒に住んでいたんでしょ? おかしいだろ?」新人のもっともな意見に源次郎は、まあまあと言って話を進めた。

 二人は生前に死後すべての振る舞いを遺言に書き示し、その遺言を弁護士である源次郎が預かっていたのだ。

 そしてその遺言を開封する場合は必ず、新聞記者を一人同席させた上で、家族全員と関係者を集めるようにと言われていたようだ。

 随分とおかしな相続だと思ったが、さらに驚いたことに、この双子のお婆ちゃんこそが、これから新人が取材しようとしていた『太陽の会』の創設者だというのだ。そして関係者とは、太陽の会の現会長だという。

「――という訳だ」

「たしかに変わった相続だね。でも、新聞記者を一人同席ってどうして?」

「公正に行われるようにという事だろ。相続の内容はわからんが、部外者の目があった方がいいのだろう」

「あれ? 爺ちゃんも、亡くなったお婆ちゃんとは知り合いだったの?」

「ああ、そうだ」

「で、爺ちゃんにも見分けが付かない?」

「写真がないのが残念じゃが、そんなところだ。それに家族と言っても色々ある」

「色々かぁ――」

 新人は記憶に残っている両親を思い出そうとしたが、ぼんやりとしか思い出せなかった。

 休日に遊園地や公園へ行ったような気がするが、それは後から写真などを見て、自分の記憶にしてしまった可能性が高い。

 しかし、今でもはっきりと覚えているのは、幼稚園のときだ。涙目になった園長先生が『すぐにお家に帰る準備をしましょうね』と、新人に言ってきた。

 そして源次郎が迎えに来て、しばらく園長先生と二人で何かを話した後、新人は源次郎と一緒に家へ帰った。そのとき通っていた幼稚園とはそれきりだった。

 それからすぐに父と母の葬儀が営まれたが、訪れた黒い服を着た人たちの表情や雰囲気から、悲しい出来事が起こっているな、ということは当時の新人にも伝わってきた。

「お父さんとお母さんはどこへ行ったの?」

 源次郎によく訊いたそうだが、源次郎はその場しのぎの嘘ではぐらかすのに苦労したらしい。そして葬儀の後、新人は源次郎が住んでいる成田市にやって来て、近くの幼稚園に入園した。

 そんなことを思い出しているとき、ふと腕時計に視線がいった。

「あっ、もうこんな時間だ。そろそろ行かないと」

「おっと、そりゃいかん。じゃあわしも用事を済ませておくか。午後からは立ち会いよろしくな」

「まさか塩野谷家の人が、太陽の会の創設者だったとはね」

「ああ、これも何かの縁だろ。まあ午後は立ち会うだけだから、借りてきた猫みたいにしていればええ」

「わかったよ。じゃあ午後一時にまたここで」

「おう、気をつけてな」


      九


 新鎌ヶ谷駅から徒歩約十五分。マンションやスーパー、ファミレス等が建ち並ぶ中に、比較的新しい鉄筋四階建てのビルがある。そのビルの入り口には『童話出版社・太陽の会』と書かれた看板が掛けられていた。

 終戦後の混乱した時代。教員をしていた塩野谷松子と菊子は、敗北感と貧困に苦しむ子供たちに、明るい未来と夢を与えようと童話や童謡を作り始めた。やがてその活動が噂で広まると有志が集まり、それが今の『太陽の会』の母体となった。

 入り口の脇には案内図があった。一階は太陽の会が運営する児童図書館で、入り口脇の階段を上がると二階が事務局、三階には会長室に応接室・会議室があり、四階は多目的スペースとなっている。ビルの全てが太陽の会の所有物件だ。

 図書館内では中年男性が一人で作業をして、他に人影は見えなかった。この時間なら児童は学校だろう。新人は二階へと上がり、事務室の入り口前で身嗜みを整えると、爽やかさを意識しながら扉を開け、中に向かい挨拶をした。

「失礼します。千葉新聞社の周防と言います。本日は童話について取材をさせて頂きたくて参りました」

 太陽の会の事務局は、扉を開けるとすぐにオフィススペースとなっていた。机が四台からなる島が二つあり、それぞれの島の上には『編集・広報部』と『総務部』と書かれた看板が吊るされていた。

 入ってすぐ左手にはラウンジコーナーがあり、絵本がきれいに並べられた本棚と、三台の丸テーブルにそれぞれ二脚づつの椅子が用意されていた。新人の職場よりは狭いが、清潔感あふれるいいオフィスだ。

 対応してくれたのは、それまで編集・広報部の島で液晶モニターに向かい仕事をしていた若い女性だった。

 新人と同世代と思われるその女性は、ストレートロングの黒髪を軽く束ね、色白で眼つきがきつい印象を受けた。胸のネームプレートには『編集・広報部長 久留米美香』と書かれていた。

「朝早くからわざわざお疲れさまです。太陽の会編集・広報を担当しています、久留米と言います」

「はじめまして、周防です」

 第一印象と違い、わずかな会話で気さくで話し易い人だとわかった。

「話は遠藤から伺っております。資料は用意してありますので、あちらでしばらくお待ち下さい」

 遠藤とは太陽の会の現会長、遠藤道徳のことだ。昨日新人が電話で遠藤に取材の主旨を話すと、即答で了解をもらった。

 新人がラウンジコーナーの椅子に腰掛けると、久留米は小さなメニュー表を見せた。

「何かお飲み物召し上がりますか?」

 新人はとりあえず、メニューの一番上にあったホットコーヒーを頂くことにした。

 数分後、彼女はコーヒーを持って来ると、資料を取るためにオフィスを出ていった。新人はコーヒーを飲みながら、改めてオフィスを見渡した。分野は違うが同じ出版関係の職場なのに整理整頓が行き届いており、明るく清潔感もある。新人の職場のように、机の上や書棚の前に物が溢れ返ってはいない。

 視線を手元のコーヒーカップに戻しかけた時、ディスプレイ型の棚に並んで置いてある『ジョージの切り絵』という絵本が目に入った。一から六までの数字が書いてある六冊が陳列してある。

 新人は一番目の『ジョージの切り絵』を手にした。一冊十数ページ程度の薄さだ。彼女が戻って来るまでまだ時間がありそうだったので、新人はこの絵本を読むことにした。


 主人公はジョージという名の少年だ。病気で長期入院している彼は、毎日切り絵を作って過ごしていた。

 ある日ジョージは、お気に入りのサッカー選手をイメージした切り絵を作った。しかし完成した直後、窓から吹き込んだ風によって、切り絵は外へと飛ばされてしまった。

 その切り絵は、近くを通りかかった妊婦さんに拾われた。妊婦さんは切り絵の持ち主を探そうとするが見付からず、大切に持って帰ることにした。

 そしてその妊婦さんは無事に女の子を出産して――


 新人は読むのを止めて本の表紙を見た。作者の名前は新田洋子。絵本作家とは付き合いが全くないので、聞いたこともない人だった。そして再び読み始めようとしたとき、声をかけられた。

「絵本、お好きなんですか?」

 振り向くと、久留米美香が資料を小脇に抱えて立っていた。

「え? ええ、まぁ……」本当は今回の取材がなければ、童話とか絵本といったジャンルに係ることなどない。しかしこれから取材をする立場上、そんな事は言わない方がいいに決まっている。

「切り絵が冒険するって、面白い設定だなと思いまして、ついつい読ませて頂きました」

「別に構いませんよ。一人でも多くの方に見て頂いたほうが、きっと塩野谷先生も喜ぶと思いますから」

「塩野谷先生?」

「あっ、すみません。申し遅れました。その絵本の作者の新田洋子先生は、塩野谷家に嫁がれましたので、塩野谷先生と言ってしまいました。絵本を出版するときは、旧姓を使っているのです」

「もしかして、双子のお婆ちゃんの一人が亡くなられた、あの塩野谷さんですか?」

「はい。塩野谷名誉会長の件は、本当に残念です」

「名誉会長?」

「ええ、そうです。お二人はこの太陽の会を立ち上げ、当初からずっと会長として二人でやってこられましたが、三年ほど前に今の遠藤に会長の席を譲って、お二人は名誉会長になりました」

「そうなんですか。この絵本の作者の方も、太陽の会の方だったのですね?」

「ええ、そうでした」

「? でした?」

「あっ、ええと、実は塩野谷先生は、三年程前に病で亡くなりまして……」

「え? そ、そうだったんですか」

「大変な苦労をされた先生だった聞いています。しかし、その絵本の六冊目の途中で倒れてしまい、最後まで気力で書き続けて完成させたのですが、病には勝てずに……」

「知りませんでした。あっ、貴重なお時間取らせては申し訳ないですね。早速資料の方を見させてもらってもいいですか?」

「まぁ、ごめんなさい。お忙しい中いらしたのに、私ったら」

「いやいや、僕なんか駆け出しのヒヨッコですから、気にしないで」

 久留米美香が、資料を基に簡単な説明をしてくれると言うので、メモを取りながら聞くことにした。

「まず童話とは、民話・伝説・神話、と言った創作された物語の事で、江戸時代より〝昔話〟や〝童物語〟として読まれていました――」

 久留米は、童話の成り立ちから、現在における童話のもつ役割を、分かりやすく説明してくれた。

「――このように教訓や社会常識を子供に伝えるために、動物などの姿を借りたりもします。これは、幼児期の子どもに言葉や文字を学ばせたり、善悪の判断等の情操教育や想像力を育てたり、親子でコミュニケーションをとること等が目的で、子どもが興味を持てるような内容にすることで、教育的な面を含んでいることが多いのです」

「なるほど、そういう歴史を辿って来たのですね。確かに子どもが容易に想像できて好感が持てるように、動物など擬人化した主人公が登場する場合が多いですよね」

「でも、昭和になると児童文学雑誌は次第に不振となり、それまで刊行してきた児童書も次々に廃刊になってしまいます。さらに軍国色が強まると、童謡は軟弱だとして排斥されて、その一方で〝隣組〟や〝戦争ごっこ〟のような戦時童謡が作られました。現在の〝汽車ポッポ〟として知られる唄も、元は〝兵隊さんの汽車〟という出征兵士を唄ったものなのです。そんな時代だったから、子供達の未来を明るく灯してあげたい、と名誉会長は願ったのだと思います」

「なるほど。大変立派な方ですね」

 新人の言葉に久留米は笑顔になった。

「はい。二人の思いは、あの時代の人達の荒廃した心に光の種を植え付けたのです。それに終戦後はベビーブームもあり、再び子供の遊び唄等への関心が高まった頃でしたので、〝ぞうさん〟や〝犬のおまわりさん〟とか〝おもちゃのチャチャチャ〟などもこの頃に作られました。最近では〝みんなのうた〟や〝おかあさんといっしょ〟などがありますよね。〝だんご三兄弟〟とか、今でも好きなんですよ」

 ちょっと照れ笑いする仕草に、新人もつられて笑顔になった。

 ちょうどそのとき、インターフォンのチャイムが鳴った。

「あらいけない、もうこんな時間ですわ。ごめんなさい、お弁当屋さんが来たみたいで」

「あ、本当だ。お昼ですね。今日はお忙しい中、本当に有難うございました。色々と勉強になりました」

「いいえ、こちらこそ大してお役に立てずに申し訳ありません」

「そんなことはないですよ。また何かありましたらお伺いいたします」

「はい、遠慮なくどうぞ」

「それでは失礼します」

 新人が出るのと入れ違いに『手作り弁当・ありの実』と書いてある籠を運ぶ女性とすれ違った。

 すれ違いざまに軽く会釈をして、新人は駅へと向かった。

 昼時を告げるチャイムが街中に流れ出した。取材を終えてホッとし、充実感に浸ると同時に空腹感を覚えたところで、スターウォーズのテーマが流れた。着信画面には、三上先輩と表示があった。

「はい周防です。先輩どうかしましたか?」

「ああ、新人君? 今どこ?」

「たった今、太陽の会の取材が終わったところです」

「終わったの? そうかぁ……」

 いちるの声はちょっと残念そうに聞こえた。

「どうかしましたか?」

「ううん、富津の取材が予定より早く済んだから。それでほら、新人君一人に押し付けちゃって悪かったかなって思って、急いで来たんだけれど……」

「今どこですか?」

「ちょうど新鎌ヶ谷駅に着いたところ」

「そうだったんですか。わざわざ来てもらったのに……。あっそうだ、これからランチにしませんか? 取材結果をお話ししたいので」

 予想以上に取材が上手く行ったので、新人は少し浮かれていた。

「え? ええ、ラ、ランチくらいなら、別にいいわよ……。で、どこがいいかな?」

「駅のすぐ近くに〝華膳どんべい〟っていうファミレスがあるのですが」

「それなら目の前にあるわ。じゃあ先に入って待っているわね」

「はい、すぐ行きますから」

 電話を切ってから新人は気が付いた。

「あれ? もしかして俺、先輩をランチに誘った?」

 いちるも『ランチくらいなら……』と、少し恥ずかしそうな返事だった気がする。つい勢いで言ってしまったが、新人の歩みと鼓動は早くなった。


      十


 はじめこそ緊張気味の二人だったが、予想以上に新人の取材が出来ていたので、いちるも素直に喜んだ。実際には、久留米美香の資料説明が良かったからで、新人の取材能力は関係ないのだが、そこには触れずにいた。

「よくやったわね」

 いちるの笑顔に新人の心は浮かれた。いちるもオフィスで見せる表情とはに違い、二人の会話は自然と普通のカップルのようになっていた。

 そして会話に夢中になり過ぎたため、源次郎との待ち合わせ時間を過ぎていることに気が付くのが遅れた。

「しまった。この後、爺さんと約束していたんだ」

「お爺さん?」

「はい。爺さんは弁護士をやっていて、今回ちょっと付き合わされる羽目になりました。ちょっと遅くなりますけれど、後は帰ってから仕上げますので」

「まあ、それならいいけど……」

 新人は残念な気持ちを抑えて、いちると別れると急いで源次郎の待つファーストフード店に戻った。時刻は午後一時半を過ぎていた。三十分の遅刻だ。

「悪い、遅くなった」

 息を切らせて源次郎の前に座ると、何故かアイスコーヒーが二人分、テーブルに置かれていた。源次郎は眼鏡を下ろし、新人を見た。

「おう、随分と遅かったな。でも、そろそろだろうと思って注文しておいたぞ。それはお前の分だ」

 サンキューと言って新人は、半分程を一口で飲んだ。

「いやあ、童話も奥が深いって事がよくわかったよ」

 ハンカチで汗をふき、残りのコーヒーも飲み干そうとした。

「そうか? 仕事は順調だったか。それは良かった。順調だったから、あんな美人さんと一緒に食事をしていた訳だな?」

 新人は、半分口に含んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。

「な、なんで」

「なんでって、通りに面したファミレスの、しかも歩道に面した席にいただろ? すぐ横を通ったのにも気が付かずに、美人さんと楽しそうだったな?」

 源次郎の顔がにやけている。

「マジか……」

「これで離婚裁判は翼ちゃんの勝ちだな。浮気者には百パーセント勝ち目はない」

「な、なんだよそれ。そもそも浮気じゃなくて、仕事の打ち合わせをしていただけだよ」

「ハッハッハ。そんなにムキになると余計に怪しいな。おっと、誰かが遅刻したせいで、今度はこっちが遅刻しそうだ。実は先方も集まりが悪くてな。三十分程遅らせてほしいと、さっき電話があったばかりだ。おっ、タクシーも来たし、ぼちぼち行くか」

 二人はタクシーに乗り込むと、行き先を告げた。

「そう言えば、用事があるって言ってなかった?」

「ああ、一応、法務局に寄って必要な書類を集めてきた」

「ふうん……」


      十一


「美香、取材はどうだった?」

「遠藤会長。たった今、滞りなく終りました」

「あの若い記者。相続について何か話をしてなかったか?」

「いえ、取材以外の事は特に何も」

「そうか。まあいい。連絡先は聞いたのか?」

「はい。今後、仕事の上で必要になると思いましたので」

「おそらく今日、周防弁護士は同席させるつもりだ。何せ孫だからな」

「塩野谷家の事が、そんなに気になりますか?」

「ああ、気になるな。塩野谷幸一は知人の保証人になったため、多額の借金を肩代わりせざるを得ない状況だ。塩野谷敬一も、事業に失敗して借金まみれだ。だからどんな情報でも知りたい」

「でもそれ以前に、名誉会長のどちらが亡くなったのですか?」

「それは俺にも分からない。家族でないと見分けるのは無理だろ……。いや、家族でも難しいだろうな」

「そうですよね……あっ、そう言えば周防記者は、新田先生の絵本に興味を示していました」

「洋子の? 何故だ?」

「あら、やはり会長も気になりますか?」

「そりゃあ少しは気になるな。なんで新聞記者があの絵本に?」

「それは分かりませんけれど、会長が気になるのはそれだけですか?」

「どういう意味だ?」

「新田先生が御結婚する前は、随分と気にかけていましたでしょ?」

「ああ、あの頃の話か。だけど、当時会長だった二人の後押しで、洋子は塩野谷龍一と結婚した。俺は負けたのだよ」

「でも、そのすぐ後に道徳さんが会長に就任して、さらにご結婚なさいましたね」

「まあ僕の場合は再婚だけどな。そんな事はどうでもいい。それより他には何か話してなかったか?」

「はい。おそらく周防記者もあまり事情を知らされないまま、今日の立会いをするようです。もう少し役立つ情報を聞き出せればよかったのですが、申し訳ございません」

「まあいい。それより他に調べてもらいたい事がある」

「何でしょうか?」

「洋子と塩野谷家との接点だ」

「接点?」

「そうだ。コンクールに入賞したから社員にしたというが、本当にそれだけかどうか調べてほしい。入賞者はこれまで数十人になるというのに、太陽の会へ引き入れたのは洋子ただ一人だ。以前、名誉会長に尋ねた事があったが、適当にはぐらかされてね。今でも引っ掛かっている。この際だからスッキリさせたい」

「わかりました。早速調べておきます」

「分かっているとは思うが、くれぐれも内密に頼む。おっと、もうこんな時間か。もう行くが後は頼んだ」

「はい、お気を付けて」



・・・続く

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