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第九話 未知の食材

 アクアさんと別れた後、私はトルテさんにお風呂に入れてもらいました。とても大きくてテレビでお金持ちが入ってるようなお風呂でした。


 ただ一つ気になったのが、ライオンの口からお湯が出るやつがあるじゃないですか。


 ここではライオンではなく何故かトルテさんの顔だったんです!お風呂から出た後にトルテさんに聞いてみても、秘密です。と嬉しそうに微笑むだけで何も教えてくれませんでした。


 その後トルテさんに部屋まで抱っこしてもらい、ベッドまで運んでもらいました。魔界は一日中暗いのでポカポカとした日差しが無いのに、どうしてこんなに柔らかい感触なんでしょうか?


 理由が分からないまま私はぐっすりと眠りました。


 パチリと目が覚めた私はお腹が空いていたという事もあって、早速アクアさんに頼んで人間のいる地界に連れて行ってもらいことにしました。


 自力でアクアさんの部屋に向かうとアクアさんとノエルさんの姿がありました。


「よ!おはよう。」


「躑躅ちゃん、おはよう。」


「おはようございます。アクアさん美味しい物を食べたいので地界に連れてってください!」


「分かった。じゃあ早速出発するか!」


「えええええ!」


 急なお願いだというのに嫌な顔もしないで連れて行ってくれるみたいです。やりました。


「駄目だよアクア!危ないよ!」


 ノエルさんは反対のようで必死に止めようとしています。でも食べ物買って一寸観光したら帰ってくるだけですから危険でも何でもないと思います。


「直ぐに帰ってくるからそんな心配すんなよ。」


アクアさんも大げさだなとノエルさんの額を突っついています。


「きゅるるる~」


そんな時ちょうど私のお腹が空腹感を訴えていました。近くに居た二人もそのことに気が付きました。


「その代り、俺もついていくからね。」


ノエルさんは私の頭を軽くなでながら話を続けます。


「分かった。今から行くぜ。」


そう言うとアクアさんは私を抱き上げました。


「帰りは俺が抱っこするからね。」


 ノエルさんは羨ましそうに私を眺めて言いました。子供がいないから私が召喚されたと聞きましたけどここまで来ると一種の執着心とも呼べますよね。


「テレポート!」


 アクアさんがそう言うと景色が一瞬で変わり、目の前には大きな町がありました。アクアさんの体をよじ登って体を出して、いろいろ景色を見るとまさにファンタジーの世界でした。


 全体的に洋風の街並みで、美味しそうな食べ物の匂いや変わったものがいっぱいありました。その中でも私の興味を一段と興味を引いた物を発見しました。


「アクアさん!あれ!あの食べ物なんですか!?」


思わず指をさしてしまいました。


 私が気になったのは見たことのない可愛い形をした果物です。アクアさんが苦笑しながら私を果物店にまで運ぶとその果物を買ってくれました。


「食べてみな。これはうまいぞ。」

 

 アクアさんに手渡された果物に思い切りかぶりつきました。お腹が空いていたという事もありますがその果物はハートの形をしていてピンク色で白い水玉の模様がついていたんです。見た目が可愛くて思わず指をさしてしまいました。


 齧り付くと果汁もピンク色で味はフルーツというよりケーキに近い味がしました。蜜柑と生クリームを足したような不思議で甘い味がします。触感はリンゴに似ていて、食べるたびにシャリシャリと音がしました。


「ポミの実って言うんだよ。俺もこれ好きなんだ。」


 隣にいたノエルさんも同じものを購入して食べていました。


「こっちのフドの実もおいしいよ。」


 そう言うともう一つ果物を渡してくれました。今度のは小さくて、まるで宝石のダイヤモンドのような形をした金色の果物でした。その食べ物なのか判別の付かない見た目のせいか食べることを少しだけ躊躇してしまいます。でも、美味しいとの事なのでパクリとモグモグ食べました。


「甘い!」


 果物ではなくてまるで砂糖の様にただ甘い味でした。でもくどくなくてサッと口の中で溶けて消える感じなのが物足りないと思いました。まるで直ぐに溶ける飴を舐めてるみたいです。


「次どこに行くか?」


「ここからだとギルドが近いから、そこで料理でも食べる?」


ギルド!?  


 二人の会話を聞いて興味が出ました。そう言えばここは謂わばファンタジーの世界。あれですよね。剣と魔法が飛び交う不思議な世界。私はアクアさんの服を引っ張ると


「ギルドに行きたいです!」


子供特有の純粋そうな瞳で訴えました。


「行くか!」


「そうだね!」

 

 私の様子にアクアさんとノエルさんは互いに顔を見合わせた後、笑顔でギルドに向かったのでした。

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