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第四話 役目 トルテside

 とうとう魔王様が降臨なされました。それに気付いた私は、一目散に魔王の玉座に座っていた魔王様を、専用の部屋のベッドまでお運びした。


「魔王様はどこ!?」


 慌てた様子でルイが現れた。私を見た途端不機嫌になり私に詰め寄ってきた。


「魔王様を何処へやった!?」


普段はオカマ口調のくせに、本気で怒りを感じているときに男声になる。


「専用のお部屋にいる。」


私も此奴のことは気に食わない。基本的に魔族は私のことを嫌っているものが多い。まあ、こちらも好かれようとは思わないから調度良い。


「魔王様に何かあればお前を殺す。」


男声のまま私を威嚇すると部屋に戻って行った。


「あんたも大概だな。」


「アクア……。」


 苦笑しながらアクアは私に話しかけてきた。私のことを嫌っていない珍しい魔族だ。嫌われているよりは面倒が少なくていいと思うが此奴の性格は気に食わない。


「何の用?」


此奴はことあるごとに私をからかってくるため思わず身構える。


「魔王様見たかっただけ。見ちゃダメか?」


 此方をじっと見つめて魔王様を見ようとたくらんでいる。そんなのこの私が許すはずがない。


「駄目だ。」


スッパリ断ると


「残念だ。」


と一言いうと立ち去った。


 そろそろ魔王様が目覚める時間だ。と魔王様の気配を感知した私は急いで魔王様のもとに向かった。


 本当は魔族の中で誰が魔王様を部屋に運ぼうと、問題はない。基本的に魔族は魔王様に逆らうことは無い。


 それは過去の魔王様の偉業の成果もあるが、今回の魔王様はほぼすべての魔族の希望で君臨されたのだから、好かれることはあっても嫌われることは無い。


 それに、初めて魔王様拝見した時はあまりの可愛らしさに、我を忘れて抱きしめてしまうところでした。私がこんな状態では役目を果たすことができない。


 私の一族は代々特殊な能力の家系で、魔王様が降臨されたらお傍で使えることは決まっている。


 その理由は魔王様を殺すために。どの魔王様も不老不死という事は変わらない。でも精神までもが強靭というわけでは無い。ずっと生活をしていれば何時かは限界がやってくる。


 その時に魔王様を楽にして差し上げるのが私たち一族の役目。その役目のせいもあってこうして魔族から嫌われているわけですけど。


 でも今回の魔王様を殺せる役目を頂けたのはとても幸福なことだと思います。あの可愛らしい魔王様は私に殺されるときにどんな顔をしてくださるのでしょうか。


 そして私が魔王様のお傍にいる理由を知ったときどんな行動に出るのか、


 さあ、そろそろ魔王様の目が覚める時間です。顔に笑みを浮かべ魔王様が安心仕切っていただけるように軽く準備をする。楽しませてくださいね。魔王様。


 私はコンコンとドアをノックして魔王様の部屋に入室した。

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