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第三話 部下達

 えらい衝撃的なものを見てしまった私は、しばらく泣き続け、目の前に居たトルテさんにしがみ付く様に引っ付いていた。


 さっきの露出の激しい人は、困り顔で私にお菓子を渡して泣き止まそうとしていますが、如何せんその姿を見るだけで私がダメージを受けるので、せめて何かまともな服を着てください。


「ルイ、あなたの姿が魔王様にとっては気持ち悪いのです。服の露出を控えるか、今すぐ目の前から消えなさい。」


 トルテさんは、無表情でルイさんに冷たい言葉を浴びせていた。


ルイさんという人物は、トルテさんを一睨みすると急いで着替えに行った。


「分かったわよ。アクア!あんた魔王様の相手してあげて。」


ルイさんはチッと舌打ちをすると一瞬で姿を消した。


「お!あんたが魔王様?俺はアクアよろしくな!」


 ルイさんに呼ばれ、ドアから出て来たのは青い髪に青い目をした、中性的な人物だった。スレンダーな体系に、黒いコートを羽織っているためか、性別は判断できなかった。


ただ、それとは別にこの人を見ていると、何だか懐かしいようなそんな気がした。


「魔王様はなんて名前?」


 子供と接するように、身をかがめて私の目線と同じくらいの高さになってくれて、気を使ってくれてるのが分かって少しだけ安心した。


「躑躅です。」


 小さい気づかいに、嬉しい反面、照れくさくなった私は、アクアさんの顔をちらちら見ながら自分の名前を告げた。


「そっか躑躅だな。」


 そんな私の行動をアクアさんは、微笑ましいと言わんばかりの笑顔で眺めていた。


「ところで、ほかの下僕はどうしてますか?」


 やっぱり嫌いなのだろうか、酷く冷めた視線でアクアさんを睨み付けていた。


「奥に居るぜ。でも下僕呼びはやめろよな。」


 それを、苦笑いしながら軽く流していた。チラリとアクアさんが出てきたドアを見ると、そこには同じようにこちらを眺めている、赤い髪に翠色の目をした男性が、こちらを眺めて手を振っていた。


 何となく、此方もオズオズと手を振ると。嬉しそうに笑うとさらに手を振る速度を上げた。本当に子ども扱いなんだな。


その光景を眺めて、私は複雑な気持ちになった。


 今後も私が何と言おうと、子供としての扱いしか受けないのだろう。そして今後の私の生活は、子供と同じになる。私の精神の平穏と引き換えに、それにこれから私の行動は、子供らしさを求められる。


 はたしてそれに、耐えられるのだろうか?この条件は、私にとってはかなりきついものなのかもしれない。と1人今後の人生を考えていた。


「お待たせ!これなら大丈夫でしょう!?」


 ルイさんはいきなり現れると、羽織っていた黒いマントをバッと脱ぎ捨てた。長袖のカットソーに長ズボンこれなら、さっきよりは全然ましだった。


 さっきよりは大丈夫だ。と私が頷くのを見るとルイさんは、トルテさんから私を奪うとドアの中へと走って行った。


ゾクリと寒気を感じた私は、思わずトルテさんを見た。すると、そこには今にでも襲い掛かっていきそうな恐ろしい顔をしているトルテさんがいました。


 自分が見られたわけでも無いのに、思わず震え上がった。


 ルイさんに抱き上げられると、背中にたくましい胸筋があるのが分かった。今更だけど言葉使いとかに違和感を感じ、そこである考えが私の頭の中に浮かんだ。


 もしかして、ルイさんは世間一般でオカマとかニューハーフと呼ばれる人種なのでは?


「もしかしてルイさんって……。」


 何と無く言葉にしたくなかった私は、トルテさんをチラリとみると、コクリとその通りです。と頷ていた。テレビで見たことはあっても、実物を見るのは初めてです。そして、どう接すればいいのかも分かりません。


 ルイさんは私を持ったままドアに入り、1人の人物の前に移動しました。


「ロラン見なさい!魔王様よ!」


と私をロランさんの前に近づける。けれどロランさんは、こんな騒動の中でもずっと眠ったままの状態だった。ロランさんを観察してみると、水色の長い髪にすらっとした体系で綺麗な男性でした。


「いい加減起きなさい!」


 いつまでも寝ているロランさんに、痺れを切らしたルイさんが、魔法で電撃を放っていたようだった。


「う~ん、痛いよ。ルイ」


 うめき声を上げながらも、目は覚めたようでルイさんに、向かって文句を言っていた。


「ロランがいつまでも寝ているからよ!それとパパと呼びなさいと言っているでしょう。」


パパ!?まさかの親子なんですか!?


 まさかの吃驚発言に硬直する。ルイさんに抱き上げられているため、後ろにいるルイさんの姿は、見えないけどロランさんをじっと見つめると、似ている部分は目は紫色で髪が長いくらいしか、今のところは分かりませんでした。


 そしていつの間にか私の横には、さっきドアの間から手を振っていた青年が、私の頬っぺたをつんつんと突っついていました。これが噂のカオスという状況なのでしょうか?

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