第十五話 旅立ち
あれから数日ほどで、私は町にたどり着いた。アクアさんに貰った、魔法アイテムのおかげであまり苦労することなく、むしろ楽に町までたどり着けた。
そしてギルドのマスターにここで働かせてください。とアクアさんに貰った紙を渡したら、目を見開いていた。
そうして私の頭を軽くなでると、
「早速、料理の腕を見せてもらおうか。」
と何故か恐ろしい雰囲気で言われた。そして、言われたとおりに得意料理を作った。こっちの世界の食材を使った料理はまだ作れてないので、前の世界の食材を使ったもの、野菜スープを作った。
材料は、キャベツに白菜と人参を使って塩で味付けしたものです。この世界では食が進んでいない。こんなありきたりな料理でも、斬新に見えるのか、マスターは驚いた表情だ。
そして、スープを一口飲むと、マスターの目がカッとッ見開かれた。
「俺の負けだ。完敗だ。いいぜ。今日からここで働いてもらう。よろしく頼むぜ。」
マスターのその言葉に、ギルド内は歓声に包まれた。思わず吃驚する。色んな人が、私を撫でたり、持ち上げるので、私も満更でも無い様に、微笑んだ。
そして今日は見学という事で、マスターの仕事をじっと観察しました。私は開発専門だったので、接客とかもしなくてはいけないのか。と思うと正直不安です。
最後のお客さんが店を出るとマスターは私の方に振り向き、
「此処の二階に空き部屋がある。そこで、寝泊まりしな。」
そう言うと部屋の鍵らしきものを手渡してきた。
「ありがとうございます。」
私はお礼を言うと、鍵を受け取った。マスターはまだ仕事があるのか、厨房に戻って行った。私は荷物も持ったままなので、部屋に行った。部屋を見ると、急に来たというのに綺麗に整頓されていた。掃除もこまめにされていたのか、特に痛んでいる様子は無かった。
疲れていたという事もあって、私は直ぐに眠りについた。