第十一話 未知の料理
料理がまずい世界。その事実は私の中で大きな事件と感じられる出来事でした。だって、美味しい物が好きで日本にいた時もグルメ旅行とか言ってた私が、料理の美味しくない世界に来て、満足できるわけがないでしょう!?
料理を作る専門で、味覚に自信があるとかそのくらいしか取り柄なんてないですけど、こうなったら美味しい料理を作ってやります!と目の前にある子供用ランチを食べ続けながら誓いました。
「あのアクアさん。そろそろ帰らないと心配されてしまいます。」
子供ながらに早く帰りたいと要求する。だって早く帰って新作の料理を作ろうと思います。それもこの世界にある食材だけを使った美味しい料理を!
そうすれば少なくてもこの不味い料理は食べなくて済むと思うんです。
自分一人でトルテさんに食材を用意してもらえれば楽ですけど、せっかくファンタジーの世界に来たんです。その世界にある未知の食材を使った美味しい物とか食べたいじゃないですか!
でもその世界の食事は不味かったなら、自分で作るしかない!と思っても不思議でも何でもないです。
「そうだな、そろそろ帰るか。」
「またね。マスター。」
「ああ、また来い。」
ノエルさんに抱っこされて、私たちはギルドを出ました。
「アクアさん、ノエルさん食材買って帰りたいんですけどいいですか?」
「いいぜ。あそこの商店に寄るか。」
「でも何の料理を作るの?」
アクアさんの向いている方を同じように眺めると、食材がたくさん売られているお店がありました。
どの食材がどんな料理に適しているのか、私にはわからないので基本的に分かっている知識を教えてもらい、後のわからないことは味見をしながら試す感じになりますね。それにしても子供の姿になっても仕事ができるって良いですね。
「取り敢えず、主食系に使える食材と肉系の食材後はフルーツを幾つか購入したいです。」
「分かった。」
そう言うとアクアさんはすばやく色んな食材を購入してくれました。
「買うもんも買ったし帰るか。」
「はい!」
沢山の未知の食材を購入した私はとても満足そうな顔をして帰りました。
そして魔界に帰ると、とても怒ったトルテさんとルイさんの姿がありました。
「魔王様はお先にお部屋にお戻りください。」
「でも、」
「ちょっとアクアとノエルに話があるだけだから。ね。」
私と会話をするときは普通にいつもと同じ顔なんですがとても逆らえる雰囲気ではなかったです。その雰囲気に負けた私はアクアさんとノエルさんを置いて部屋に戻りました。
ごめんなさい。後で美味しいものをつくったら真っ先にアクアさんとノエルさんに食べさせてあげますから!
ルイさんが放った魔法であろう。バリバリっと大きな破壊音が響いてきました。