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自己紹介とかそういうの その3

「こんにちは~、あなたがエーコちゃんね~」

「はい、エーコです。これからよろしくお願いします、ラミアさん」

「ええ、よろしく~」

おっとりとした感じの、フワッとしたロングヘア。

それとなんだか間延びしたしゃべり方。

天然なお姉さんと言った印象を受けた。

そんなラミアさんはもちろん人間ではなかった。

上半身が女性で下半身が蛇の姿をしていた。

この姿の魔物をラミアと言うらしいので、

ラミアのラミアさんと言うことになるのだろうか。

ややこしい。

するとそんな心を読み取ったのか、

ラミアさんは言った。

「ほんとはちゃんとした名前があるんだけどね~。長いし言いづらいからラミアって呼ばれてるのよ~」

なるほど。

「同じ女性同士、仲良くな」

と、クロコさん。

確かに、この世界ではじめての女性だ。

色々とお世話になることだろう。

「もちろんよ~。こんなカワイイ子なら大歓迎よ~」

「ありがとうございます。頼りにさせてもらいますね」

ニッコリと笑顔を向ける。

するとラミアさんは身をよじらせた。

口元を押さえて、肩を震わせている。

「!!…ゴニョゴニョ…」

ん?よく聞こえなかったぞ。

「どうしました?」

あのー?

ウッフフと笑う声がする。

こちらの声は聞こえてないらしい。

「あー、こりゃしばらく帰ってこないな」

クロコさんは諦めがかった声を漏らす。

いったい何事?

そんな顔をしていると、

「その、なんだ。君が気に入られたってことさ」

と、クロコさんは苦笑いした。

ラミアさんもまた、一癖ある人であるらしい。

まぁ、悪い印象は受けなかったし。

大丈夫だろう。

気にはなるけど。

「そ、それじゃあ。そろそろ失礼しますね」

と言ってみたものの、ラミアさんからの返事はない。

ほほに両手を当て、ウフフと笑いながらくねくねしている。

「…」

私の露骨に不安そうな顔を見たクロコさんは言う。

「悪いやつではないんだ。本当に。ただちょっと…その、自分の世界に浸りやすいと言うか…」

気の良い奴なんだよ、とクロコさんは繰り返す。

この人はなんだか苦労をしょいこむ人なんだろうなと、内心失礼なことを思いつつその場をあとにした。



そのあと、クロコさんに連れてもらい様々な人?とあった。

逐一書いてたらきりがないからね!

図書館のサキュバス。

おとなしいメガネっ子。

しかし夜はスゴいらしい。

なにがってそりゃ…。

武器庫のリビングアーマー。

武人気質の男性用甲冑と、

のりの軽い女性用甲冑だった。

喋る魔剣もあるそうだが、現在外出中とのこと。

喋るどころかお出かけするのか。

屋根裏の錬金術師。

城の塔の最上階の屋根裏に居を構えている。

怪しい黒い布をまとった人。

クロコさんもいつからいるかは知らないらしい。

あとで伯爵にでも聞いてみようか。

庭のアルラウネ。

昨日見た走り回る花の正体。

頭にでっかい花を咲かせた少女のような外見をしている。

非常に小さくて、カワイイ。

ただ、たまに撒き散らす花粉を吸うと卒倒してしまうらしい。

そういえば、なんか吹き出してたような気がする。


まだまだいるらしいが、クロコさんがよく知る人たちはこれくらいだろうと言っていた。

勝手に住み着く魔物もいるようなので、深く聞いても仕方がなさそうだ。

っていうか、勝手に住み着かれるとかこの城どうなってんの…。

門番の巨人意味ないじゃん…。


「…ここには色んな奴が居ただろ?」

ひとしきり案内を終えたクロコさんが口を開く。

「…そうですね。でもみんなバラバラで、なんていうか。まとまりのない感じです」

紹介された人たち以外は、勝手に集まってすんでいるだけで、家族だとか、仲間だとか言う繋がりを持っていないように感じたのだ。

「まあ、ここは一種の避難所みたいなものだからな」

「避難所…ですか」

「昔ほどじゃないとはいえ、魔物に対しての風当たりは強いんだ。今までのように過ごそうとしたら、ギルドやらが総出で潰しにかかるだろう」

もちろん、そのギルドのなかには自分達と同じ魔物がいることもあるのだろう。

「同族と戦うのはごめんだ。けどこのまま死にたくはない。そんなやつらが最後にすがるのが…この城なのさ」

自分以外に人間がいないのはそういうわけなのか。

なんだか…重いなぁ。

「私なんかがここにいても良いんでしょうか」

疑問を口にする。

人との繋がりを絶って生きるための場所に、自分はいてはいけない気がする。

そう思った。

「いいや。このまま城にいたところで、我々はゆっくりと死んでいくだけだ」

クロコさんは語る。

「だから、人との繋がりを作りたいんじゃないかな、伯爵は。私はそう思うよ。我々はきっとそうであるべきだと思う」

遠くを見つめるクロコさんの目には、何が写っているのだろうか。

私には推し量ることはできないけれど、きっと素敵なことだとおもう。

「…伯爵様は、私の血が飲みたいだけなのでは?」

柄にもなく恥ずかしいことを考えたので、

照れ隠しで天の邪鬼なことを言う。

「ハハハ!そうだな。そうかもしれんな!」

クロコさんは大きく笑う。

そして、さて。と一拍おいてから続ける。

「そろそろ伯爵も起きてくるころだろう。行こうか」


この変なお城に、なんだか愛着がわいたのでした。

なかなかキャラクタが定まりませんね。

そろそろ暴れてもらわなくては。

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