出会いとかそういうの
初投稿です。
これは小説のようななにかだと思う。
夢から覚めると、辺りは見知らぬ草原でした。
超ビックリ。覚えてないけど夢よりも荒唐無稽。
「どこだここは!」
叫ぶ声は普段より高くて別人のよう。
そこではっと気がつく。これはもしやお約束の…
胸に手をやる。あった!
股に手をやる。ない!
把握した。
TS物だ。
僕の名前は狭間健次。
20才の大学生です。男です。
ただし、今の容姿は男の時とは違うみたい。
服装の感じからすると、中世の村娘といった感じ。
スカートの淡い緑が爽やさを演出している。と思う。
なに考えてんだか。
さて、こんな原っぱにいてもしょうがない。
ぐるりとみわたすと遥か向こうの山の麓に煙が見える。
かなり遠い。
でもまあ、途中に人くらいいるだろう。
出発だ。
…
……
いかん。日がくれてきた。
街道を見つけたはいいが、誰も通らない。
目印の煙も暗くなってみづらくなってきた。
どこかで野宿しよう。
暗くなってからでは遅いのだ。
草原しか見えないけど。
月明かりが足元を照らし始めた。
思ったより明るいからいいけど、いい加減に疲れた。
そろそろ休もうかと道端に座り込む。
すると気がついた。
少しいったところの道端に誰か倒れている。
急いで駆け寄る。
近くで見ると、そこそこいい身なりをした大柄な男であった。
意識はあるようだ。
「大丈夫ですか!あと町はどこですか!」
いかん、本音と建前が同時に出てしまった。
聞こえていないのか男は何かうめいている。
よく聞こえないのでくちもとに耳を近づける。
「み……、み………」
水かな?だとしたら生憎持ってないなあ。
「…血が飲みたい」
血かよ!
みってなんだったの!ビックリだ!
とりあえず離れようと思ったら、がっしりと捕まえられた。
あ、ヤバイかも。
そう思ったときには、首筋に噛みつかれていた。
「んぁっ……」
情けない吐息がこぼれる。
この男は吸血鬼なのだろう。
このまま吸い殺されてしまうのだろうか…
そう考えていたら、男は血を吸うのを止めた。
早いですね。
「旨いなー君の血!バージン?バージンだよね」
たぶんそうだと思います。
「だよねぇ!でも男を知ってる味もするんだよ、不思議だなぁ」
よく分かりますね。
「そりゃあ、私も吸血鬼だし。テイスティングは紳士のたしなみだよ」
そうですか。それでその、
「僕を殺さないんですか」
男は驚いた顔をした。
「殺すなんて物騒な!昔はそういう人いたかもしれないけどね!偏見だよそういうの」
あ、そうですか。それで、
「何で倒れてたんですか」
男は困った様子で、
「それがねぇ、最近夜の街道は物騒だって出歩く人が減っちゃってさぁ。今日なんてゼロだよ?ゼロ。毎日の楽しみだったのにさぁ」
毎日やったらそりゃ人来ませんよ。
「そしたら、君が来たわけ。いきなり飛びかかるのも危ないからさ。死にそうなふりしてたのよ」
あ、ふりだったんだ。
騙されたわー、かぁー。
「そしたら君は来てくれたでしょ?この子は優しいぞ、きっとサラサラだな。そう思ったね」
優しいとサラサラなのか。性格の問題なのこれ?
「サラサラでしたか僕」
「うんサラサラ。それもそうだけど味がねぇ。ほんとはじめての味だったね」
吸血鬼はウンウンと納得している。
「じゃあ、血のお礼に町の場所教えてください」
「町?うんいいけど。家どこ?」
そういえばそうだ。
家どころか、宿をとる金もない。
まいったな、頭を抱える。
「…?なんか訳有りっぽいねぇ。あ、じゃあさ」
なんだろう。
お金でもくれるのだろうか。
「家来る?」
ノリ軽いですね、吸血鬼様。