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在りし日の塚森鉄道
時は昭和の中ごろ。この国の片隅に、とある鉄道が横たわっていた。
その名は塚森鉄道。
七国山と松郷を結ぶ、軌間762ミリのちいさな軽便鉄道である。
知る人ぞ知るこの鉄道には、ほかの鉄道にはない様々な特色があった。しかし、ほかの路線が次々と廃止になる中、ひっそりと姿を消してしまう。そのためか、この鉄道にまつわる資料は非常に少ない。しかし、松郷の図書館には今もいくつかの記録がある。わたしが実際に訪れたときの記録とともに、この鉄道を案内しよう。
反城 団吉 著「在りし日の塚森鉄道」より