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第七話 対面
部屋も豪華だったが、廊下も豪華。
まるで本の中に出てくるお城のようだ。
1つのドアの前にたどり着いた。
香子が扉を開けると、そこは広間だった。
ただの広間ではない。
これまた本での知識しかないが、舞踏会が行われるような、赤い絨毯、きらびやか装飾品、
そして、数十人が余裕で入れるような広さ。
その中にポツンと二人の人影が見えた。
部屋の真ん中にちんまりと座っている。
部屋の広さに不釣合いな感じだ。
「香子、眠り姫はお目覚めか?」
冗談めかした声で、自分たちと同じように同じ学校の制服を着た男子が香子に話しかける。
こういうノリは苦手だ、と愛子はひそかに思った。
もう一人の同じく制服を着た男子は視線を床に落としたままだ。
「えっと、じゃあまず自己紹介しようか。」
「お互いのこと知るのが大事だよな!」
香子の提案にさっきのノリがいいほうの男子が賛成する。
もう一人は返事もせず、やはり床に視線を落としていた。