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第四話 目覚め
「ん・・・」
頭が痛い。
目覚めた愛子が最初に思ったのはそれだった。
「ここどこ・・・?」
どこかの部屋のようだ。
とてつもなく豪華な、見慣れない部屋。
訳がわからなかった。
自分はさっきまで家に帰宅しようと道を歩いていたのだから。
誘拐?
そんな言葉が頭をかすめたが、そんな記憶はない。
それに、手足も自由、部屋のドアに手をかけてみると鍵もかかっていない。
それでは何なのだろう。
そのときコンコン、とドアをノックする音が聴こえた。
誰かがいる。
やはりこれは誘拐なのか?
しかし、誘拐犯がノックなどするだろうか。
あけていいですか?」
ドアの向こうから女の声が呼びかけてくる。
愛子は身構えた。
こんなわけの分からない場所で、警戒しない人はいないだろう。
返事をする前に、ドアは開いた。