第三話 非日常への道
―――翌日
「愛ちゃん、同じ学校の人が行方不明になったみたいよ。
誘拐かもしれないし、怖いわねぇ。愛ちゃんも気をつけて帰ってきてね」
「わかってる。気をつけるね。」
行方不明になった人たちはどこへ行ったのだろう。
頭の中はそれでいっぱいだったが「行方不明に憧れる」だなんて
母親に言うわけにもいかず、いつもどおり家を出た。
行方不明になる。それは非日常。
どうしても憧れてしまう。
「でも、私には無理だ・・・」
家族は嫌いではない。
おせっかいだし、喧嘩をすることもあるが、大事な存在だ。
心配をかけるわけにはいかない。
それにしても失踪した三人はどこへ行ってしまったのか。
学校も警察もその手がかりはつかめていないようだ。
愛子にも、それは知る由もなかった。
いつものように学校につき、授業をきいたふりをして考え事。
そう、いつもどおりだった。
放課後、学校を出るまでは。
人通りの少ない道。いつもそんな感じなので違和感はなかった。
今思えば、人は一人もいなかったし静かすぎたかもしれない。
しかし、そんなことは気づかず、足を進めた。
しばらく歩いたところで、急に眠気に襲われた。
昨日夜更かししたわけでもない。
身体が重い。それをはっきり自覚したときだった。
―――突如として愛子の意識はどこかに溶け込むようにして消えていった。
失踪者名簿
1、 真田香子
2、 宮尾大地
3、 久保由宇
4、 中崎愛子