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第一話 退屈な日々
2011年12月9日。
もうすぐ11月。
今年ももうすぐ終わるな、中崎愛子はそんなことを考えていた。
「愛ちゃん、学校遅れるわよ。」
愛子は自分の名前がそんなに好きではない。
子がつくのがなんとなく古い感じがして嫌だった。
両親は一生人や自分を愛せる人になれますように、
という意味でつけたらしいが、自分がそんな人間になれる自信もなかった。
そんな両親は愛子のことを愛ちゃんと呼ぶ。
なら名前も愛とつけてくれればよかったのに名前は自分では選べないから納得いかない。
一生自分が背負うものなのに。
「はーい。行ってきます。」
しぶしぶ椅子から立ち上がり玄関へ向かう。
平凡ないつもどおりの朝。
今日もいつもと同じように学校の行き帰りをして一日が終わるのだろう。
今日もつまらない一日が始まった。