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第十話 不安
共同生活するといううえで不安のことはいくつもあった。
たとえば食べ物のこと。
この城は扉はあるものの、押しても引いてもびくともしない。
というわけで外に出られないのだが食料はどこから調達するのだろう。
香子に問うと、
「それなら当分は大丈夫だよ。
地下に大きな蔵みたいなのがあって、沢山食べ物あったから。」
後から愛子も行ってみたのだが、温度が適温らしく腐っているものもなさそうだった。
あとは電気やガスや水道はどこから来ているか知らないが
とりあえずは使えているので気にしないようにした。
そもそもここにいるということが考えても分からないことなのだから。
生活するのも苦ではないかな、と、楽観的にさえ考え始めていた。