≡二人の思い出≡
第4話です!
少し短いですが、切りが良いところで終りたかったので短くなっちゃいました。
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登場人物:主人公=柴崎隼人・後輩=杉原順平・後輩の彼女=立花リカ・彼女の友達=有村チエ
「ハァハァ…」「ハァハァ…」
何年振りだろう、こんなに走ったのは…ましてや、誰かの為に走るのなんて初めてだった。
新宿駅に着いたが、人が多すぎて見つける事が出来ない。辺りを何回も行き来したが見つからない。
もう、彼女は帰っただろうと自分に言い聞かした。
携帯が鳴った。いつも聞いてる、着信メロディーが何故か悲しく聞こえた。
「もしもし…」
『センパイ、今何処です?』
「今、駅前…」
『見つかりました?』
「ダメだった…ごめん、俺も帰るわ…」
『そうですか…わかりました。こっちも、リカが泣きじゃくちゃって、なんか色々とすいませんでした…』
「じゃ…また大学で」
ピッ…
「ハァ〜何してんだろ…」
帰る気力も無くなって。新宿を抜け殻になった体で、とぼとぼ歩いた。
ふと映画館の前で、立ち止まった。別に何か見たいわけでもなかったが、自然と足が進んだ。
何年か前に流行った、恋愛映画をリサイタル上映していた。ありきたりな、恋人が病気で亡くなってしまう物語だった。
中に入ると、すでに始まっていて暗かった。映画館は、狭かったけど、観客数が少なくてとても広く感じた。
初めて見た映画だったけど、何故か涙が止まらなかった。次から次に涙が溢れ、人目も憚らず泣いた。
エンドロールが流れる。俺は、Tシャツの裾で涙を拭くと、前方の席で同じように泣いている人を見つけた。
一緒の気持ちの人が、居てくれた事に胸がすっとした。
これで、今日の事は忘れて明日からも頑張れる。そう思えた。エンドロールが終りに近づいた。俺は、明かりが付く前に席を立った。
出口を出ようとした瞬間。
……………。
………………。
『あっ…』
「えっ?」
俺は、反応して振り返る。その時、タイミングよく明かりが着いた。
そこには、涙でメイクがぐちゃぐちゃになっていたチエが立っていた…二人とも何も言わず立ち尽くした。まるで、時が止まったみたいだった。
まだ目が赤い俺を見て、チエは太陽に光りを浴びた向日葵のような満面の笑みで言った。
『一緒…ですね?』
俺も、笑顔で答えた。
「一緒だね…」
俺は、チエの細い手を掴んで外に連れ出した。どれくらい、手を握ってただろう。チエの手は、蒸し暑い夏が近づいているにも関わらず少し冷たかった…
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サブタイトルや登場人物の名前に数時間、悩みます。笑