≡葛藤の思い出≡
初めてなので、文章がおかしいところがあると思いますが、小説と供に自分自身も成長して参りたいと思いますので、宜しくお願いします!
『ミーンミンミーン…ミーンミンミンミーン…』
暑い。汗が止まらない。
また、空調をフル活用する季節がやって来た…
「俺は季節の中で、一番夏が嫌いだ。」
「そんな俺でも、一度だけ夏を好きになった時があった…」
「あれは、10年前に彼女に出会った夏だった…」
俺、柴崎隼人が21歳の頃の話だ。
親に『大学だけは行きなさい』と、言われて入った大学だったが、夢も希望なく、ただ平凡な毎日を過ごして、 何も見つけられないまま大学三年を迎えていた。
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『センパイ、センパーイ、隼人センパーイ』
甲高い声で俺を呼ぶのは、後輩の杉原順平だ。なんの取り柄もない、俺を慕ってくれる唯一の後輩。
「うるせーな、なんだよ。」
『隼人センパイ、就活の調子はどうですか?』
「まっまあまあかな。」
「俺に入社して欲しいって言ってる会社が、いっぱいあって困っちゃってるよ。」
『うぉぉ〜すげーさすがセンパイっすね。』
また、やっちゃったよ…
実のところ、就活なんて一度もしてないし俺に仕事が出来る訳がない。
バイトすら一週間も続かないし無理に決まってる。
「それより、メシでも食べに行こうぜ。」
『あっ!いいっすねー行きましょう。』
そんな会話をしていると、遠くの方からこっちに向かって歩いてくる女の子がいる。
身体が細く、誰かが触れたら今にも折れてしまいそうなぐらい細い。
髪が、ロングで綺麗なストレート色は自然な茶色だった。
何よりも笑顔が、素敵な娘だ。
そんな事を、思っている矢先に彼女が俺達の前に立ち止まった。
「…?」
「知り合い?」
すると順平は、モジモジしながら頭に手をあてて答えた。
『あっすいません。自分の彼女です。』
『リカ、いつも話してる隼人センパイ。』
『初めまして、立花リカです。いつも順平君がお世話になってます。』
「こちらこそ、初めまして柴崎隼人です!」
『順平君、これから買物に付き合ってくれるって約束でしょ。』
リカは少しむっとした表情だったが、それがまた可愛かった。
『ごめんごめん、すっかり忘れてた。』
俺は、二人の会話に入れず人形のように立ち尽くして呆然と聞いていた。
『すいません、センパイ。次回宜しくお願いします。』
「おっおう!彼女大事にしろよ。」
彼女は、俺に一礼して順平と供に去っていった。
「ぁ〜あ、俺何やってんだろ!」
後輩の彼女に、胸がときめいた。そんな自分に腹がたった。
空模様は、今にも泣きだしそう。
まるで、自分の心を空に移したみたいだった。