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episode2


朝を告げるアラームが鳴り、ほとんど睡眠がとれないまま新城は寝不足で重い身体をベッドから起こした。

見渡せば姉の家でも安い民宿でもないふっかふかのベッドがあるホテルのような1人部屋で、どうしてこうなったと朝から1人大きなため息をついた。

事の発端は昨日の帰りの車内で夕食を作ろうかという新城の提案をあっさり飲んだ北郷は、夏八木と2人で住むマンション最上階の自室に新城を招き入れた。

ワンフロア全てが自宅になっておりその広さに驚いたが女性宅をきょろきょろと見回すのは不躾かと思い、案内されたシステムキッチンで大人しく料理を始めるとスーツではなくエプロンを纏ったと夏八木がやってきて、彼女にコツを教えながら2人で唐揚げとちょっとした副菜を作り夕飯を共にした。

———そして事件が起こった。


「ちょ、ちょっと待て!いやいやおかしいだろう!?」

「え?何が?」

「何がって、あのな・・・お前自分が言ってることが分かってんのか!?」

「そりゃ分かってるし、こんなこと誰にでも言わないよ?」

「ならどうしてボディーガードで料理できるってだけで一緒に住もうって話になるんだよ!?」


北郷の言葉に呑んでいたビールを噴き出しそうになりながら新城は、彼女の言葉に思わず立ち上がって反論した。

30年以上刑事一筋で大昔に尊敬する先輩から教わった”刑事は体が資本”という言葉を忠実に守り、いつどんなときでも最高のコンディションでいるために無趣味で空いた時間を自炊に費やした。それも一つの原因で過去の彼女とは長続きせず気づけば家庭も持たずに独身貴族を謳歌し、たまに予定が会えば気の許せる可愛い部下達と飲みに行くのが彼の楽しみであった。

それがどうしたら50歳をすぎて年頃の娘となかなかに好みの女性の2人暮らしの家に一緒に住もうとなるのか。


「だいたい俺達が出会ったのだって1日や2日だろ!?それで何が分かる!?俺が下心で近づいている可能性だってあるんだぞ!」

「え、嘘。私新城さんに襲われる?」

「ばっ、そんなことしねえよ!」

「じゃあ静流だ」

「だから違えって!ああもう!いいか、よく考えろ。元刑事だからってこともあって信用されてるかもしれんが、俺は上司ぶん殴って懲戒免職になった男だ。おまけに家庭がないからと言って女に興味がないわけじゃない。本当に何があってからじゃ取り返しがつかないんだぞ」

「美海、これに関しては私も反対です。確かに新城さんは信用に値する人間ですがそれとこれとは別問題です」


大人2人が必死に説得するが北郷は右から左へと受け流し、ただ俺達をにこやかに見つめている。


「別に私もボディーガードだから一緒に住もうって言ったわけじゃないよ?」

「ならなんで」

「2人を見てたらさ、なぁんかいいなって思ったんだよね」

「はあ?」

「新城さんがパパで静流がママ、そして私は2人の子供。毎日こうやって一緒に仕事して一緒にご飯食べる。たったこれだけだけどなんかすっごく楽しくて、もっともぉっとこの空気って言うの?それを味わっていたいってそう思ったの」

「子供って、お前実の親に・・・あっ。悪い」


実の親という言葉に北郷の表情が一瞬暗くなった。

これは既に公表していることだが、彼女は孤児院育ちで両親を知らない。システムを開発したのも親を探すために作ったのが当初の目的だったのだ。


「いいの別に。実の両親がどこで何をしているかなんてもう興味もないから」

「美海・・・」

「はい、その話は終わり!てなわけで今後はコック兼ボディーガードとして北郷美海に仕えてもらいますから!これは社長命令です!いいですね?」

「あ、おい!」

「もしかしてギャラの心配?それならちゃんとコック分上乗せしときますのでご安心を!」

「待て、一旦話をき」

「はいごちそうさまでした!あ、そうだ!明日の朝はフレンチトーストがいい!めっちゃ甘いやつ!」

「フ、フレンチトースト?」

「うん!あ、新城さんの荷物は玄関に持ってきてあるから静流、案内お願いね!」

「美海、話はまだ」

「じゃあおやすみなさい!」


新城と夏八木の言葉を散々無視して北郷は自室へと戻っていき、残された2人は顔を見合わせどうしたものかと頭を抱えた。

食事を済ませた後、朝受け取っていた自宅のカードキーが使えるか確認しに今日から住むはずだった部屋にいったがすでに変更手続きがされているのか使用出来ず、同行した夏八木にお願いしてコンシェルジュにも確認してもらったが社長命令で新たなカードキーは渡せないと言われて結局2人の自宅に戻ることになった。

その後部屋に鍵があるなら必ず締めるよう夏八木に再三言って聞かせてから案内された自室に籠るが、今日1日で起きた予想外の出来事を前に到底眠ってなんかいられるものじゃない。

ふかふかで心地良いベッドで頭を抱えながらこれからどうすればいいんだと悩みに悩み、答えも出ないまま気づけば朝を迎えてしまい、そして冒頭に戻る。


「とりあえず朝飯作るか」


ここでうだうだ考えていてもしょうがないと取りあえず部屋を出て顔を洗い、昨日夏八木に渡されたエプロンを付けて美海のフレンチトーストを作る。新城自身も見た目によらず甘い物が好きで長年納得のいく味を追い求めて作り上げたオリジナルフレンチトーストは、これで店を出せるのではないかというぐらいの自信作でもある。

昨日あまりにも眠れず気分転換にと仕込んでいたパンを取り出して早速焼こうと火をつけた所で夏八木が起きてきた。


「おはようございます、新城さん。昨晩はねむ、れなかったですよね」

「おはよう、夏八木さん。色々考えちまってな。体が重いよ」


苦笑いを浮かべる夏八木はまだ朝早いが既にメイクもスーツもばっちり決まっており、内心ちょっとオフの姿も見て見たかったと思いつつ昨日同様一緒に台所に立つ。

メインのフレンチトーストの他にサラダやスープも用意し、ひと段落したところで彼女に盛り付けをお願いしてから服を着替えに自室に戻った。

昨日とは別の未だ慣れない高級スーツに着替えてから台所に戻るのと同時に芸術的な寝癖の北郷が、今にも閉じそうな瞼を擦りながら現れた。


「おはよう。朝食出来てるから早く顔洗ってこい」

「はぁい・・・」

「おはようございます、美海。今日は新城さん特製フレンチトーストですよ」

「うぅん・・・」


聞いているのか聞いていないのか分からない返事に2人で顔を見合わせてから夏八木が北郷の背中を押して洗面所に連れて行き、顔を洗って完全に目を覚ました北郷はテーブルに並んだ朝食を見て目を輝かせてとても30歳には見えない。


「お前は子供か」

「何それ。新手の悪口?悪かったですね、ガキっぽくて!」

「そうやってムキになるところもガキだな」

「とか何と言ってるけど新城さんだって53歳には見えないよね。ガキ大将だガキ大将!」

「あぁん?俺のどこがガキ大将だって?」

「あなたたち」


言い合いがヒートアップする中、夏八木の静かな声が2人を停止させる。ギギギと音を立ちそうなぎこちない動きで彼女を見ると、ポーカーフェイスを基本とする彼女が綺麗な笑みを浮かべてこちらを見ているがその目は一切笑っていない。


「早く食べてしまいなさい」

「「は、はい」」


逆らうことなく大人しくナイフとフォークでフレンチトーストを切り分けてから一口食べると、味も焼き加減も完璧な仕上がりになっていて思わず表情が綻ぶ。


「んんっ!ナニコレ超美味しいんだけど!え?店で食べるより全然美味しい!」

「・・・・・・・・・っ!」


若者らしいテンション高めの北郷と怒りは収まり美味しいけど悔しい、認めたくないと何とも複雑な表情を浮かべる夏八木に飲んでいたスープを噴き出しそうになり慌てて飲み込む。

ふと、昨日北郷が言っていた言葉を思い出した。


”新城さんがパパで静流がママ、そして私は2人の子供。毎日こうやって一緒に仕事して一緒にご飯食べる。たったこれだけだけどなんかすっごく楽しくて、もっともぉっとこの空気って言うの?それを味わっていたいってそう思ったの”


自分の家族を持ったことがないからどんな感じか語ることは難しいが、自分の料理をこうやって他愛のない話をしながら食べてそれを見守るこの感じが家族というものなのかなと実感しながら朝食を済ませた。

結局昨日の話は出来ぬまま会社へと出勤し、社長室に入ってからは眠気が限界で2人の許可を得てソファに横になる。

帳場が立ったり張り込みしたりと忙しい刑事時代はそれほど苦でもなかったのに1日でここまでどっと疲れが出るのは、やっぱり歳のせいかなと内心苦笑いを浮かべながらそっと目を閉じた。



———この家の親子がいないんですっ!

———・・・ちゃんがまだ中にいるんだ!

———パパ!ママ!

———大丈夫、大丈夫だから。俺が、



「新城さん、大丈夫ですか?」


夏八木の言葉で目が覚めた。

リアルすぎる夢・・・いや、あれは過去に経験した事件の記憶だ。


「新城さん?」


心配そうに見つめる彼女の手には赤色のタオルケットが握られていて、新城は無意識で手触りの良いそれを力一杯握った。

赤い炎に包まれた家、赤い血に彩られた夫婦、そして手を赤く染めながら冷たい亡骸に縋り付く少女———。

異動や新たな事件で忘れてしまっていた遠い遠い記憶をなぜ、今頃になって思い出したのかはまだ分からない。






——————


少しの睡眠をとった後、新城は行きの車内で美海からリクエストを受けたデザート作りに励んでいて、静流は誰も映らない防犯カメラをチェックしながらも台所に立つ彼をさりげなく見つめた。

時間にして1時間もなかった仮眠の中で彼は魘されて、起き抜けも夢なのか現実なのか分からない状態で静流が持っていたタオルケットを虚ろな瞳で見つめて握りしめていた。


「新城さん?大丈夫ですか?」


何度目かの呼びかけでやっと正気に戻った彼は、寝ぼけてたと笑みを浮かべて静流の視線から逃げるように台所に向かって行ってどこか上の空で料理している。


”大丈夫、大丈夫だから”


彼は最近まで捜査一課の刑事であり世間を賑わせた大きな事件も担当していたこともあるという。

その時の悲惨な記憶が彼の安眠を邪魔したのかどうかは分からないが、無理して作るあの表情はある人物と似通った部分がありなおのこと不安になる。


「少し席を外します」


通知を受けて静流は引き出しからポーチを取り出して席を立ち、その足で美海のいる作業室に入る。

パソコンやディスプレイなどの機器を中心に必要最低限の物しか置いていない部屋で、美海はデスクでこめかみを抑えて突っ伏している。

ポーチから薬を取り出して慎重にその体を起こす。


「美海、美海。大丈夫ですか?」

「うぅ・・・」


目が開けられない程の痛みで唸る美海に薬を飲ませて背中を摩ったり声をかけたりして落ち着くの待つ。

そして痛みが治まればさっきの彼の様に無理して笑顔を作りまた作業に戻り、それを何年と続けてきた。

実は美海には10歳より前の記憶がない。幼い彼女は病院で目が覚めて記憶がないことが分かり、たまたま持っていた煤のついた写真立てに飾られていた家族写真の裏に名前があったことで彼女が”美海”という名前だということは分かった。だがそれ以外の両親や住んでいた場所などは警察も分からなかったらしく、孤児院で新たに”北郷”という名字と”北郷美海”という戸籍が与えられた。

この急な頭痛は孤児院時代からあって医者の見解では記憶を思い出そうとしてなっているものだといい、無理して思い出させると体に大きな負担がかかるため注意してほしいと言われているがここ最近は特にひどくて、顔色も化粧で誤魔化しながら仕事をしているがメイクを取ればは眠れていないせいでクマが濃く残っている。


「パ、パ・・・ママ・・・」


そして失った記憶の誰とも分からない両親をただひたすら呼び続けている。

日に日に憔悴しきっていく我が子の様に大切な彼女を腕の中で感じながら抱きしめてあげることしか出来ないことがもどかしく、このままだと倒れてしまうのではないかと心配が心配を呼び最悪な結果を想像してしまう。

いつものように少しして元に戻った美海が再び作業に入り、静流は部屋を後にして自分のデスクに深々と座ってから大きくため息をついた。


「何かあったのか?」


ひと段落した新城がコーヒーを持ってこちらにやってきたので、ちょっとした休憩がてら美海のことについて話した。

記憶喪失のこと、両親のこと、彼女の体調のこと。聞き上手な彼を前に次々と内容が湧いて出てくる中、険しい表情をして一度静流の話を止めた。


「警察でも身元が分からないって、そう言ったのか?」

「はい。私も不審に思って孤児院に聞きに行きましたが、発見当時のことも教えてくれなくて話を曖昧にされてしまい・・・あの、やっぱりおかしいですよね?」

「ああ。俺達刑事はどんなマルヒやマルガイであっても顔や血液、指紋だったりとあらゆるものから身元を特定する。それが分からないとなると相当間抜けな警官が相手だったのか、それか孤児院が敢えて伏せているか・・・それか、警察側で何かあったかだ」

「それって事件を揉み消すってことですか?そんなドラマや映画のようなことが実際にあるんですか?」


あくまで作り話だと思っていたが、経験者は重々しく頷いて冷めきったコーヒーを一口口にした。


「俺も何度か上からの指示で捜査を中断せざる終えなかったり、緘口令が敷かれたりと色々あったことはある。もし仮にあの子が何かしらの事件に巻き込まれて身の安全を守るためにってことでそうなったのならまだ納得は出来るが、正直分からん」

「そう、ですか」

「・・・だがこれで1つ分かったことがある」

「分かったこと、ですか?」


静流が首を傾げて新城を見つめる。


「ああ。社長の体調不良ってのは今まで何度か会ったがここ最近は特にひどい。となると、何かきっかけがあったはずだ」

「きっかけ?」

「そうだ。それで失ったはずの記憶が戻ろうとしていて、所々の断片を俺と夏八木さんに重ねている。言ってただろ?”俺がパパで夏八木さんがママ”って。人付き合いが苦手な社長だって聞いていたから今までの態度がずっと気になっていたんだ。・・・極度の不安もあってなおのこと守ってくれる”両親”の側に居たいんだろう」

「だからあんな無茶な提案をしたんですね」

「仮定の1つに過ぎないがな」

「・・・それで、新城さんはこれからどうするんですか?」


静流の言葉に頭を乱暴に掻きながらコーヒーをぐびっと飲み干した。


「事情も事情だし、こうなった以上知らん顔するわけにはいかないからな。・・・まぁ、一緒に暮らすっつーことになるわな。ただし!俺だって人間だし男であって魔が差して2人を襲うとも限らない!だからせめて寝室にいるときは鍵をかけてくれ!頼む!」

「あ、は、はい」


あまりに必死に説得する新城に若干慄きつつも頷き、それに満足した彼はお昼の準備に取り掛かるため台所へと行ってしまった。

面倒見も良く正義感の強い新城に底知れぬ安心感を持ちつつもやはり気になるのは美海だ。

率直に言ってしまえば偽装家族のようなものになるが果たしてこれが美海を救う道になるのだろうか。






—————————


昼はクリームパスタとデザートのクッキーに満足し、改めて新城が一緒に暮らすことを承諾したことを伝えると美海は大層喜んだ。その笑顔はやはり子供のようでもしかしたら体調や記憶のせいで子供返りのようなことも起きているのかもしれないと思いつつも、新城と決めたルールを報告するがそれも聞いているのか聞いていないのか分からない嬉しそうな表情で聞いている。


「美海、話は聞いていましたか?」

「聞いてた聞いてた!見られて困るような書類は置きっぱなしにしない、洗濯は分ける、寝室にいるときは鍵をかける!」

「・・・聞いているのならもっとそれらしい表情を作りなさい」

「はーい、ママ!」

「美海!」

「あのな社長さんよ。俺らは真剣に話してんだぞ?ちょっとは真面目に聞いてくれてもいいんじゃねえか?」

「真面目に聞いてるよ、パパ」

「ぱっ・・・はぁ。もういい」


早々に諦めため息をつく新城に美海が不満そうな表情で訴えかけた。


「というかその社長さんていうのはやめてよ。私には美海って名前があるんだから名前で呼んで!」

「一応言っとくが俺とあんたは雇用関係にあって友達でも親子でもない。名前で呼ぶのは可笑しいだろ?」

「でも嫌なものは嫌なの!そんなに言うんなら社長命令にする。私のことは社長ではなく名前で呼ぶこと!じゃないと減給するから」

「ひ、卑怯だぞ!」

「卑怯じゃないもーん!」


本当の親子みたいなじゃれ合いを呆れつつも見守っていると美海のスマホが鳴った。

相手は外部の人間らしくじゃれ合いは一時休戦となり、美海は先程とは違う社長としての表情で電話応対をするが、話が長くなるにつれて表情に陰が落ちていく。


「今週の金曜日、”オメガ・プログラム”のレセプションパーティーに参加しないといけなくなっちゃった」

「オメガと言えば井上社長のところの会社ですね」

「・・・何だ2人して。パーティーだろ?乗り気じゃないのか?」

「実はこの会社、何度か盗作問題が上がっている会社なんです」

「盗作?」

「うちが独自で得た情報だから公にはされていないけどね。それとなく被害に遭った会社の社長にも聞いてみたんだけど話してくれなかったし、被害届を出した感じでもなかった。もしかしたらだけど何か弱みに付け込まれたのかお金を握らされたのかそんな感じだろうね・・・。管理部に話を通しておかないと」

「こちらで対応しますか?」

「・・・いや、パパのお披露目と案内も兼ねて直接行こうかな。午後一番に行こう」

「分かりました。新城さんもそれでいいですか?」

「ちょっと待て。そのパパ設定は続けるのか?」

「うん」

「うんって・・・」


もう何度目か分からない深い溜息に苦笑いを浮かべつつ、静流はもう1つ懸念していることを美海に尋ねた。


「当日の警備はどうしますか?」

「警備?俺達だけじゃダメなのか?」


不思議そうに尋ねる新城に静流が答えた。


「井上社長はその、若い女性が好きと言いますかなんと言いますか・・・」

「なるほど。それで目をつけられてるのか」

「はい。そういった社長が参加される時は警備を多めにつけているんです」

「女性なら見境ない人って結構いるから私達2人だけじゃ不安で警備からも結構出してるの。でも今回からは新城さんもいるし、人数は減らしてもいいかも」

「選定はどうしますか?」

「うーん・・・」


美海はチラッと新城を見て言った。


「実戦経験があるパパに見てもらって選んでもらうのってどうかな?」

「え、俺が?」


もうパパという言葉には反応せず新城は驚きの声を上げて美海を見た。適応力の早い男である。


「警護課の人間も訓練しているけどあくまで型にハマったもので実戦で使えるかはまた別の話だと思うの。だからプロの目線で判断してもらいたいと思って」


見てもらえないかな、という美海の表情は社長のそれでその想いが伝わったのか新城も真剣な様子で答える。


「俺もSPやってた訳じゃないからそんなに言える立場じゃないが力になれるならいいよ」

「!ありがとう!」






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